闇に咲く花~王を愛した少年~

めぐみ

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闇に咲く花~王を愛した少年~61

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 光宗の真心が伝わってくる求愛の言葉だ。誠恵が男であると承知しながら、生涯、妃として傍にいて欲しいとは、よほどの決意と覚悟がなければ口にはできないだろう。
 誠恵は最も気がかりなことを訊ねた。
「領相大監とのことは、お訊きにならないのですか?」
 光宗は真っすぐに誠恵を見つめて淀みなく言う。
「そなたが結局は予を選んだというのなら、予は過去にはもう、こだわらぬ。だが、これからは予以外の男のことを考えることは許さん。予の傍にて、予だけを見ていろ、良いな?」
 そんなはずはない。男なら、きっと嫌なはずだ。他の男の抱いた使い古しなんて、抵抗ないはずないし、何より誠恵は王をずっと騙していたのだ。もっと怒って当然だし、もう顔も見たくないと言われ、突き放されても当たり前なのに。
 判りきった嘘を吐(つ)く王に、誠恵は胸が締めつけられるような痛みを感じる。自分のために吐いた嘘。気を遣わせないための嘘だと判っているから、本当に優しい人だと眼の奥がじんわり熱くなった。
 心からの真摯な言葉に余計に泣けてきた。あんまり泣いてばかりいたら、嫌われるかもしれない。愛想を尽かされるかもしれないと思っても、涙は堰を切ったように後から後から溢れてくる。
「何故、泣く、―ん?」
 ふいうちで額に軽い口づけを落とされ、誠恵の頬が上気した。
「やはり、男の身で女として生きるのは嫌なのか?」
 誠恵は嫌々をするように首を振った。
「いいえ、嬉しくて泣いているのでございます」
「女とは哀しいときだけでなく、嬉しいときも泣くのか! あ、いや、誠恵は男であったな」
 光宗は屈託なく笑った。
 そのときの王の晴れやかな笑顔を誠恵は一生涯忘れないで、瞼に灼きつけておこうと思った。
「一つだけ約束して下さいますか?」
 二人は生まれたままの姿で褥に横たわっている。下になった誠恵に覆い被さった王が眼を見開いた。
「何なりと申せ」
 誠恵の面に花のような微笑がひろがった。
「もし、今度次の世で私が女として生まれ変わってきたら、必ず今度も私を愛して下さいませね」
「ああ、誓おう。今ここで、予は心から誓う。来世でも必ずそなたを見つけ出し、愛すると」
 光宗が力強く頷き、誠恵は微笑んだ。
 王の悪戯な指が気紛れに誠恵の胸の小さな突起を摘む。やわらかく指で押されると、誠恵の華奢な身体がピクンと跳ねた。
「―チ、殿下(チヨナー)」
 紅くなって上に乗った光宗を睨むと、彼は軽い笑い声を立てながら、更に顔を胸に近付け、桃色の突起を口に含み音を立てて吸った。
「ぁああっ」
 甘い喘ぎ声を上げ、誠恵の身体が活きの良い魚のようにまた跳ねる。
 光宗は意地悪な顔で含み笑いしながら、誠恵の耳許で囁いた。
「可愛いのは顔だけでなく、身体も同じのようだな。反応も随分と良いぞ?」
「殿下は意地悪にございますね」
 誠恵が負けずに言い返すと、光宗は嬉しそうな顔をした。
「よし、それではもっと意地悪をしてやろう。予はまた誠恵が欲しくなってきた」
 再び乳首を口に銜えられ、誠恵は悲鳴を上げた。
「どうだ、気持ち良いだろう?」
 跳ねる身体を押さえ込みながら、光宗が誠恵のすんなりとした両脚を高々と抱え上げ、彼の中にひと突きに押し入ってきた。
 ふいに訪れためくるめく波に押し上げられる。誠恵は艶めいた声を上げながら、高みからあまりにも烈しい快楽の淵に一挙に落とされ、意識を手放した。
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☆ついに若き国王が寵姫の正体を知る! 美しき女官は実は、領議政が国王暗殺のために後宮に送り込んだ刺客の少年であった。真実を知った光宗は、緑花が男と知りながら、敢えて寝所に呼ぶがー。残酷な運命に翻弄される二人。朝鮮王朝時代、激動の中で美しく開き、一瞬で散った儚い恋のゆくえはー。ご覧頂き、ありがとうございます。大体、週に一度くらいの更新です。よろしければ、ご覧戴けますと幸いです。
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