日本の時代劇を愛するラビ村が韓国時代劇にハマった理由~情感たっぷりorノリの良いスピード展開か?

めぐみ

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小説「絶唱~身代わり姫の恋~」完結時、あとがき、、のようなもの

日本の時代劇を愛するラビ村が韓国時代劇にハマった理由~情感たっぷりorノリの良いスピード展開か?

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  あとがき

 二ヶ月に渡って書き継いできた鎌倉シリーズは、いかがでしたでしょうか? 前作〝潮騒鳴り止まず~久遠の帝~〟の〝あとがき〟でもお話しましたように、鎌倉時代は私が十二歳で小説らしきものを書き始めた頃、最初の作品舞台となりました。大変思い入れのある時代でもあります。
 また、今回は前編・後編ともに実在の人物を主人公に設定したところも、いつもとは違っています。実在の人物を使うとやはり色々と制約が出てくるのですが、現在の自分の持てる力はすべて注いで書きました。お見苦しい箇所はいつもながら多々あるかと思いますが、どうかエンターテイメント作品として少しでも愉しんで頂ければ幸いです。
 さて、第二話のヒロインとなった竹御所。この人の存在を私は早くから知っていました。私の父は私が十八歳のときに亡くなりましたが、その歴史好きの父と竹御所について語り合った記憶があるので、その頃から知っていたのだろうと思います。
 源氏の血を引く高貴な女性、しかも皆が次々に死んでゆく中、最後の生き残りとなったこと、また十六歳も年下の頼経と結婚して子どもまで儲けたこと。更には、その十六歳差の夫婦がとても仲が良かったことなどなど、竹御所という女性の生涯を知るにつけ、何ともその数奇な運命に興味を憶え惹かれました。
 しかし、小説として書いてみたいという気持ちはわずかにあれども、どう考えても難しいように思えていました。二十代の頃、倉本由布さんという作家がコバルト文庫から〝雪の系譜~竹御所鞠子~〟という作品を出されました。もちろん、読みました。プロ作家に対して僭越ですが、そのときは〝先を越された〟という感じたものです。
 そのときもまだ自分が書いてみようとは思いませんでしたが、私は見聞きした小説やドラマの影響を割と受けやすい方なので、倉本さんの小説の記憶がなくなるまでは書けないだろうとも思いました。
 そして、更にそれから長い長い年月が経ちました。今回、第一話で安徳天皇を主人公にしたときから、続きもののような形で第二話を書きたい、もし書くとしたら、竹御所でいこうとその時、初めて竹御所を書こうという気になりました。
 まだ今年の春のことです。放送大学の面接講義で私の尊敬する島内祐子先生が徒然草の講義に岡山学習センターに来られた日、授業の合間に思い浮かんだ構想を走り書きしたのも忘れられない出来事でした。
 第二話を書きながら感じたことを少しお話しますと、千種というヒロインがあまりに心が優しくて綺麗なので、私、何か物凄く自己反省という自己嫌悪に陥った部分があります。難しかったのは千種の心的変化です。
 最初は理不尽なことを押しつけられて憤りを感じていたのに、いつしか政子の意図を正しく理解して自分なりに使命を果たそうとする。そういう心の強さや潔さというのがとても私には眩しく思えました。
 自分には絶対にない部分だと判るだけに、余計に惹かれたのかもしれないですね。健気なヒロインを描く度に、我が身を振り返り大変恥ずかしい想いもしました。
 しかし、千種は理想化された女性ではありません。生身の人間で、悩み傷つき歓び、様々な体験をしながら成長していきます。そして、それを側で見守り支えていたのが良人である頼経の存在であったろうと思います。
 竹御所の生涯を史実として知った時、私は十六歳差の夫婦が仲良く過ごしていて、子までなしたというのが信じられませんでした。歴史上、政略結婚で結ばれた夫婦であれば、奥さんが年上というのはありがちとはいえ、それでも数歳から十歳くらいまでが普通。
 なのに、十六歳差というのは無理がありずきる。当時は十五、六歳で第一子を産むのは普通でしたから、母と息子の歳の差と考えても良い。そんな中で自然な夫婦らしく仲良くなれたというのは何かとても二人の間に強い結びつきや感情の通い合いがあったのではないか。私はずっと以前から、そんな風に考えていました。小説にはなりそうだけど、では、どんな風にそれらの史実を味付けし組み立てていくのか?
 それが最大の課題だったといえます。
 今回、やっと三十年越しの願いが叶い、竹御所の生涯を描くことができて嬉しく思います。ただ、繰り返しになりますが、まだまだ不十分かと思います。
 これからは実在の人物にもトライして、更によりよい形で描けるように精進していきたいです。
 皆さん、竹御所の死後、頼経は二度めの妻を迎えて子どもも儲けています。竹御所が亡くなった時、彼はまだ十六歳でした。将軍という立場がなかったとしても、やはり再婚したのは仕方なかったと思います。
 でも、私はこう思うのです。きっと頼経は六十過ぎで亡くなるまで、きっと最初の年上の妻のことを忘れることはなかったのではないか、と。 
 今回、私が竹御所をなかなか書かなかった理由のもう一つとして、この話が哀しい結末になると決まっていたからでした。竹御所という実在の人物を描く限り、パターンは決まっています。三十二歳で死産して難産のために亡くなったという事実がある以上、この最後を書かなくはいけないのが何とも辛かった。
 実際、けしからんと思われるかもしれませんが、自分で自分の作品を描きながら、この小説は後半はずっと涙が止まらない状態でした。あまりに感情移入しすぎてもいけないと判っていながらも、どうすることもできませんでした。
 長々と失礼しました。
 ヒロインへの思い入れが強かったため、つい長くなってしまいました。
 いつもながら拙い作品を最後までご覧頂いて、本当にありがとうございました。

                            東 めぐみ拝
二〇一四年十月吉日
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