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神々のうた
カルナとケヤキちゃん②
しおりを挟む「ここには、かつて周辺一帯が『下総町』と呼ばれていたころに生まれた若い精霊がいるのです。動物たちの強い願いをもらったとか」
「『下総町!!』
きらーん♡
「下総国の下総町——も、もしや、こここそがかつて栄華を極めた下総国の中心!?」
【下総町】
2006年まで千葉県に存在した町。読みは歴史的仮名遣いの「しもふさ」。現在の成田市北部の一角に当たる。町の名称は、いわゆる昭和の大合併で1町2村が合併する際にもめた結果、当たり障りのない旧国名の「下総」が採用されただけであって、この地が、栄華を極めた下総国の中心であったことは歴史上、一度たりともない。そして、下総国が栄華を極めたことも、一度たりともない。
ゲートから入って左手奥へ進むと、レストハウスのガラス屋根に、うさ耳の女の子がちょこんと、寂しそうに座っていた。
「わたしにはよくわかりませんが、『ゆるキャラ』と呼ばれる一種のマスコットの兎田ぴょん?だったらしいのです——もとは。それが当時の町長に、下総は『しもふさ』であって『しもうさ』ではないから『うさぎ』に縁はない! ——と却下され、幻になり、いまにいたるようで」
「えーなんで!? かわいそう!!」
少女は兎田ぴょん?のお面をおでこに着けていた。
「こんばんぴょーん」
「ハイハイ♪ こんばんぴょーん♡」
「初めましてだぴょーん」
「こちらこそだぴょーん♥」
順応性が高過ぎる……。
「もし気を悪くされないのであれば、ウサギちゃんと呼んでもらえると嬉しいのです」
「もちろんですにゃん♡」
兎田ぴょん?の精霊、誠実な願い。
そしてカルナさん、動物が違います。
——で。
「それではこれより先んじて、わたしは姉さまと取手の地へ戻ります」
「ハイハーイ♪ 『シライ』っとこに、ウサギちゃんの知り合いがいるっていうから、あたしはそっちへ行くね~♬」
ケヤキちゃんとジャモちゃんを見送ったあと、カルナとウサギちゃんはセテュードの背に乗り、東南東のほうへ。
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