新宿アイル

一ノ宮ガユウ

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新宿アイル

新宿アイル(4)

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「あれえ、兄さんだあ……」

 ほえほえほわわん。

 ハルが代わって簡単に状況を説明する。
 そして、お互いに情報交換したい——と、提案した。

 少しの沈黙のあと、ロカは聞き返した。

「信用するのか——?」

 それにはちょくせつ答えず、ハルはコルヴェナに質問した。

「お兄さんって、どんなひと?」
「おにいさん……。おにい……。……!!」

 両目の焦点は急激に定まった。
 紅の眉が三角に尖る。

「ずばり策士! あたしと同じくね! ふふっ、油断は禁物ってところかしら!!」

 コルヴェナは、ばびんっ、とハルに人さし指を突きつけた。

(あ、もとに戻った……)とモジャコ。

 それはともかくとして。
 自称・策士だが実際には策士ではないコルヴェナが策士だというのなら、ロカは策士ではなく、そして要するに嘘は吐けないタイプだということだろう。

 ハルの答えはシンプルだった。

「協力してほしい。ただそれだけ」
「——わかった」

 ロカがありのままに話したことによれば、彼はもともと円環ロンドの形成を失敗させるつもりだったようだ。

「感謝するのは自由の身にしてもらったことだけだよ。あんなヤツに手柄をくれてやる義理は無い」
「ええっ!?」

 伝えられていなかったようで、コルヴェナは抗議した。

「なんでもっと早く教えてくれなかったの!?」
「コルヴェナならすべてを理解して行動してくれると信じていたからだよ」

 完全に棒読み。
 しかしコルヴェナは、ふふ、と笑って胸を張った。

「当然かしら!」

 事前に聞いていたら顔に出ていたに違いない。

(さすが兄妹、わかってるなー)

 ハルもモジャコも感心。

 これ、返しとくわ——と、コルヴェナは何かを差し出した。
 橋の跡で奪ったハルのスマホだ。

 リグナのバズーカから発射されたあおい電撃の光弾を喰らっているのに、ケースが若干黒焦げになっているだけで本体は無事。

(さすが、じじい特製、超薄型なのに雷の直撃にも耐えるケース……)
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