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「サクーーー!!となりの農家のおばちゃんがさあ、リンゴいっぱい採れたからおすそ、わ、け……。」
ノックもせずに扉がバンッと開いた、満面の笑みでトルンがリンゴが入ったカゴを抱えていた。ベッドに座ったイサゴ、床で跪く俺、巻き付く触手、べとべとの体。荒い息。視界に取られてみるみる語気に元気さが失われた。
「はー、はー……。」
「サク?」
ひっ!ひひっ!?ななななんでトルンが!?見られた!見られたああああ!!俺は慌ててベッドの上の毛布を引きずり下ろしてくるまる。
「と、とるん……。」
「あ、俺……ごめん!!」
バッと後ろを向いて逃げ出そうとしたトルンに、イサゴが砂の縄をかけてこっちに引きずり寄せた。
「ひいいい!!俺何にも見てないから!!ほんとに!殺さないで!!」
必死になって暴れるトルンを横目に、俺とイサゴは囁き合う。
「ちょっちょっ!イサゴ、どうすんだよ!!」
「まずいな。」
「こんなとこ見られるとか最悪だ!」
「貴様が伝説の魔導師ではないことがバレるかも知れん。」
「そっちかよ!ちげえよ!見られたこと自体が問題だろうが!!」
とりあえず半狂乱になっているトルンを落ち着かせて、俺たちは話をすることにした。しゃくしゃくとリンゴをかじりながらトルンは話し始めた。
「そういえばイサゴの口調がたまに変わってたもんな……。」
「と、いうと?」
「丁寧語でいかにも補佐官って感じの時と、なんか荒い口調?の時あるよな、あんた。」
「チッ、耳がいい。さて、どうやって黙っててもらいましょうか。」
「ひいっ、心配すんなよ!誰にも言わないって、」
「口約束では信用できな、
「伝説の魔導師がドMだったなんて!!!!」
「……はあ!?」
「伝説の魔導師が補佐官に虐められて興奮するドMだなんてそんな!言いふらすつもりねえから!」
なんか、良からぬ勘違いをしているような……。
「ペットの触手まで巻き込む変態だなんて誰にも言わねえからさ!!」
「ち、ちげえよ!!」
「そうなんです、私も伝説の魔導師の指示には逆らえなくて…。」
「おい!!!イサゴ!!!この野郎!!」
「伝説の魔導師の威厳のためにもどうかこのことは内密に……。」
「わかったよ。俺は他人の性的嗜好に文句つける気ねえから、安心しろサク。」
「だああああああ!!!!!」
2対1じゃ誤解が解ける訳がない。俺は小声でイサゴに抗議する。
「おいイサゴ!何適当なこと言ってんだ!指示してんのはお前の方だろ!」
「このまま勘違いしてくれれば、お前が伝説の魔導師だと騙し通せるだろ。」
「だとしてもやり方が!俺の人権は。」
「性奴隷のくせに人権を主張するな。」
きいいいいいいい!!!!こんのド鬼畜!悪魔!
俺の罵倒は心の中に留められた。トルンはなんだか知らないがご機嫌でリンゴをほうばっている。俺とイサゴもりんごに口をつけた。甘酸っぱいリンゴだった。満足したトルンはそのまま部屋を出ていった。俺とイサゴは一息ついて顔を見合わせたが、なんだか気まずくなってそのまま寝た。
ノックもせずに扉がバンッと開いた、満面の笑みでトルンがリンゴが入ったカゴを抱えていた。ベッドに座ったイサゴ、床で跪く俺、巻き付く触手、べとべとの体。荒い息。視界に取られてみるみる語気に元気さが失われた。
「はー、はー……。」
「サク?」
ひっ!ひひっ!?ななななんでトルンが!?見られた!見られたああああ!!俺は慌ててベッドの上の毛布を引きずり下ろしてくるまる。
「と、とるん……。」
「あ、俺……ごめん!!」
バッと後ろを向いて逃げ出そうとしたトルンに、イサゴが砂の縄をかけてこっちに引きずり寄せた。
「ひいいい!!俺何にも見てないから!!ほんとに!殺さないで!!」
必死になって暴れるトルンを横目に、俺とイサゴは囁き合う。
「ちょっちょっ!イサゴ、どうすんだよ!!」
「まずいな。」
「こんなとこ見られるとか最悪だ!」
「貴様が伝説の魔導師ではないことがバレるかも知れん。」
「そっちかよ!ちげえよ!見られたこと自体が問題だろうが!!」
とりあえず半狂乱になっているトルンを落ち着かせて、俺たちは話をすることにした。しゃくしゃくとリンゴをかじりながらトルンは話し始めた。
「そういえばイサゴの口調がたまに変わってたもんな……。」
「と、いうと?」
「丁寧語でいかにも補佐官って感じの時と、なんか荒い口調?の時あるよな、あんた。」
「チッ、耳がいい。さて、どうやって黙っててもらいましょうか。」
「ひいっ、心配すんなよ!誰にも言わないって、」
「口約束では信用できな、
「伝説の魔導師がドMだったなんて!!!!」
「……はあ!?」
「伝説の魔導師が補佐官に虐められて興奮するドMだなんてそんな!言いふらすつもりねえから!」
なんか、良からぬ勘違いをしているような……。
「ペットの触手まで巻き込む変態だなんて誰にも言わねえからさ!!」
「ち、ちげえよ!!」
「そうなんです、私も伝説の魔導師の指示には逆らえなくて…。」
「おい!!!イサゴ!!!この野郎!!」
「伝説の魔導師の威厳のためにもどうかこのことは内密に……。」
「わかったよ。俺は他人の性的嗜好に文句つける気ねえから、安心しろサク。」
「だああああああ!!!!!」
2対1じゃ誤解が解ける訳がない。俺は小声でイサゴに抗議する。
「おいイサゴ!何適当なこと言ってんだ!指示してんのはお前の方だろ!」
「このまま勘違いしてくれれば、お前が伝説の魔導師だと騙し通せるだろ。」
「だとしてもやり方が!俺の人権は。」
「性奴隷のくせに人権を主張するな。」
きいいいいいいい!!!!こんのド鬼畜!悪魔!
俺の罵倒は心の中に留められた。トルンはなんだか知らないがご機嫌でリンゴをほうばっている。俺とイサゴもりんごに口をつけた。甘酸っぱいリンゴだった。満足したトルンはそのまま部屋を出ていった。俺とイサゴは一息ついて顔を見合わせたが、なんだか気まずくなってそのまま寝た。
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