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「はっ!俺様は一体!?て、てめえらよくも俺を!!」
しばらくしてトルンが目を覚ました。抵抗を見せたが、イサゴの拘束はとんでもなく強く解けないと悟ったのか、抵抗をやめた。
「さあさあ。トルンくん?色々聞きたいことがあるんだけど??」
「ひっ!あんたほんとに伝説の魔導師だったのかよ……。」
「『サク』だ。こっちはイサゴ。」
「サク様の補佐官、イサゴです。」
俺とイサゴはいつもの演技モードに入る。
「さぁて、トルン。お前、この森を守ってるとか言ってたな。」
「ああ、雇われてるんだよ。」
「誰に?」
「よくわからない男、この森の侵入者を排除しろって。そしたら金くれた。」
「私とサク様がここに来るというのはその男からの情報ですか?」
「……あぁ、そうだよ。昨日男から連絡が来て。」
「昨日……。貴方、トパーズの在り処を知っているでしょう。」
「ト……?なんだよそれ、知らねえよ。」
そうだ。村長が持っていた本によると、村に最も近い森林の奥深くに封印されるトパーズを破壊しなければならない。イサゴの封印された能力の一部と、記憶の一部が取り戻されるらしい。
「森の奥、何か守れと言われていませんか?」
「あぁ、『神木』」のことか?」
「神木?」
「森の奥にひときわ大きい木があって、男からそれを守れって言われてる。神木を傷つけようとたくらむ刺客が来るからそいつらを排除しろって。あと神木の存在は誰にも知られちゃいけないから誰にも言うなって…………あ!!」
何から何まで全部喋ってくれたなこいつ。見た所、まだ中高生くらいだし(この世界の年齢と学年の概念がわかんねえけど。)中身はまだ子供なのかな。とにかく、その男は魔王の手先だろう。何も知らない無関係のトルンを傭兵として雇い、宝石を守らせてたってわけか。
「そこに案内してください。」
「やっ、やだよ!!それだけは無理だ!!」
「酷いことはしたくないんですけどね。」
と言いながらも、トルンの体に巻きついている拘束がギリギリと締め付けているのが見ただけでわかる。
「くっ、ぃ、いてえ……。」
「あと3秒以内に案内しないと伝説の魔導師が貴方を消し炭にしますよ。」
「ひっ、ヒィ!言います!言うから!!」
トルンは足の拘束を解かれた。腕は拘束されたまま、その先をリードのようにイサゴが握っていた。そのままトルンは森の奥へと歩みを進めた。
しばらく歩いていると、トルンは一本の木の前で足を止めた。それはまさに『神木』と呼ぶにふさわしい様相をしていた。
「なあ、頼むよ。神木だけは壊さないでくれよ。」
「なんでだ。」
「俺、あの男に殺されるかもしれねえ。」
「金で雇われてんだろ?」
「……そうだけど、ほとんど脅されてるようなものだ。」
「ご自身の能力にさぞ自信があるように見えましたが?」
「……あの男は俺なんかじゃ太刀打ちできない。伝説の魔導師ならわかんないけど。俺が神木を守れなかったとわかったらあの男は俺を殺すかもしれない。」
「……。」
魔王と戦うっていうのは、こういうことなんだ。それを今になって、嫌という程知らしめられた気がする。弱い者は魔王側にいとも簡単に殺される。その恐怖を常に背負っているんだ。
しばらくしてトルンが目を覚ました。抵抗を見せたが、イサゴの拘束はとんでもなく強く解けないと悟ったのか、抵抗をやめた。
「さあさあ。トルンくん?色々聞きたいことがあるんだけど??」
「ひっ!あんたほんとに伝説の魔導師だったのかよ……。」
「『サク』だ。こっちはイサゴ。」
「サク様の補佐官、イサゴです。」
俺とイサゴはいつもの演技モードに入る。
「さぁて、トルン。お前、この森を守ってるとか言ってたな。」
「ああ、雇われてるんだよ。」
「誰に?」
「よくわからない男、この森の侵入者を排除しろって。そしたら金くれた。」
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「……あぁ、そうだよ。昨日男から連絡が来て。」
「昨日……。貴方、トパーズの在り処を知っているでしょう。」
「ト……?なんだよそれ、知らねえよ。」
そうだ。村長が持っていた本によると、村に最も近い森林の奥深くに封印されるトパーズを破壊しなければならない。イサゴの封印された能力の一部と、記憶の一部が取り戻されるらしい。
「森の奥、何か守れと言われていませんか?」
「あぁ、『神木』」のことか?」
「神木?」
「森の奥にひときわ大きい木があって、男からそれを守れって言われてる。神木を傷つけようとたくらむ刺客が来るからそいつらを排除しろって。あと神木の存在は誰にも知られちゃいけないから誰にも言うなって…………あ!!」
何から何まで全部喋ってくれたなこいつ。見た所、まだ中高生くらいだし(この世界の年齢と学年の概念がわかんねえけど。)中身はまだ子供なのかな。とにかく、その男は魔王の手先だろう。何も知らない無関係のトルンを傭兵として雇い、宝石を守らせてたってわけか。
「そこに案内してください。」
「やっ、やだよ!!それだけは無理だ!!」
「酷いことはしたくないんですけどね。」
と言いながらも、トルンの体に巻きついている拘束がギリギリと締め付けているのが見ただけでわかる。
「くっ、ぃ、いてえ……。」
「あと3秒以内に案内しないと伝説の魔導師が貴方を消し炭にしますよ。」
「ひっ、ヒィ!言います!言うから!!」
トルンは足の拘束を解かれた。腕は拘束されたまま、その先をリードのようにイサゴが握っていた。そのままトルンは森の奥へと歩みを進めた。
しばらく歩いていると、トルンは一本の木の前で足を止めた。それはまさに『神木』と呼ぶにふさわしい様相をしていた。
「なあ、頼むよ。神木だけは壊さないでくれよ。」
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「……そうだけど、ほとんど脅されてるようなものだ。」
「ご自身の能力にさぞ自信があるように見えましたが?」
「……あの男は俺なんかじゃ太刀打ちできない。伝説の魔導師ならわかんないけど。俺が神木を守れなかったとわかったらあの男は俺を殺すかもしれない。」
「……。」
魔王と戦うっていうのは、こういうことなんだ。それを今になって、嫌という程知らしめられた気がする。弱い者は魔王側にいとも簡単に殺される。その恐怖を常に背負っているんだ。
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