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「浮ついてるとかいうなよ。これでも大学じゃあ真面目な方だったんだぜ。」
「ほう。」
「その日は、寝坊して2限に遅刻して、チャリで爆走してたわけ。」
「真面目な学生とは思えん発言だな。」
「信号待ちしてたけど、車も人も来る気配がしなかったから、赤信号だけど突っ切ったわけ。そしたら運悪くなんかトラックぽいものが横から走ってきて、ぶつかって轢かれて、自転車とともに空に飛んで、そこから記憶がない。」
「馬鹿だな。」
「わかってるよ!バカってことは!遅刻したくなかったんだよ。周囲を確認したつもりだったし、大丈夫だと思ったんだよ。」
「それで、起きたらこの世界にいたって訳か。痛みはないのか?轢かれた時怪我してるだろう。」
「それが全く痛くないし、怪我の跡すらない。事故る前みたいな状態だ。」
イサゴはしばらく考えて、口を開いた。
「そうだ。さっき服屋の店員が、お前が現れた時桜の花びらが舞い散ったと言っていたな。」
「あ、そうそう。大学行ってる途中の桜並木のとこで事故にあったんだよな。それで、事故った直後も突風が吹いて花びらが散って、桜の花びらに包まれてる感じがして、ここに現れたときも桜の花びらが舞い散ってたんだよな。」
「……なるほど。」
「俺が転生した時に周りにあった花びらも一緒に来ちゃったんじゃね?」
「……。あるいは、お前の属性がそうさせたか。」
「ああ~、俺の属性桜だったな確かに。そのせいなのか?」
「偶然とは思えないが、しかし妙だな。」
「妙?」
「ここに来た当時、お前に魔力はないはずだ。魔力がなければいくら属性が決まっていても、目に見える形にはならないはずだ。」
「じゃあやっぱ偶然じゃない?それか、轢かれた時に桜があったから俺の属性が桜になったとか?」
「属性は本人の素質によるものだ。それは関係ない。いや……。」
それっきりイサゴは黙った。なんなんだよ、はっきりしねえな。
「まあ、こうやってなんとか生きてるみてえだし。俺的にはラッキーって感じだけど。それかもしかして、これ夢の中か?事故って昏睡状態の俺が頭の中で描いた幻想?」
「いや、私は確実に存在する。幻想ではない。」
「そっかー。どうなってんだろうねぇ、本当に俺。そうだ、お前のことも教えろよ。今の所伝説の魔導師ってことしか知らねえよ。さっき服屋のお姉さんに聞かれた時も、いつの時代から来たか濁したし。」
「そうだな、私のことも伝えておきたいのは山々だが、実はほとんど覚えていない。」
「はあ?覚えてないのか?」
「私が伝説の魔導師として、村を救うために召喚される存在だということは覚えている。しかし、召喚される前、どのような環境でどのように生活していたのか、全く覚えていない。」
「ほう。」
「その日は、寝坊して2限に遅刻して、チャリで爆走してたわけ。」
「真面目な学生とは思えん発言だな。」
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「馬鹿だな。」
「わかってるよ!バカってことは!遅刻したくなかったんだよ。周囲を確認したつもりだったし、大丈夫だと思ったんだよ。」
「それで、起きたらこの世界にいたって訳か。痛みはないのか?轢かれた時怪我してるだろう。」
「それが全く痛くないし、怪我の跡すらない。事故る前みたいな状態だ。」
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「あ、そうそう。大学行ってる途中の桜並木のとこで事故にあったんだよな。それで、事故った直後も突風が吹いて花びらが散って、桜の花びらに包まれてる感じがして、ここに現れたときも桜の花びらが舞い散ってたんだよな。」
「……なるほど。」
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「……。あるいは、お前の属性がそうさせたか。」
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「妙?」
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「じゃあやっぱ偶然じゃない?それか、轢かれた時に桜があったから俺の属性が桜になったとか?」
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それっきりイサゴは黙った。なんなんだよ、はっきりしねえな。
「まあ、こうやってなんとか生きてるみてえだし。俺的にはラッキーって感じだけど。それかもしかして、これ夢の中か?事故って昏睡状態の俺が頭の中で描いた幻想?」
「いや、私は確実に存在する。幻想ではない。」
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「そうだな、私のことも伝えておきたいのは山々だが、実はほとんど覚えていない。」
「はあ?覚えてないのか?」
「私が伝説の魔導師として、村を救うために召喚される存在だということは覚えている。しかし、召喚される前、どのような環境でどのように生活していたのか、全く覚えていない。」
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