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第一話 生ける屍からの依頼
7 俺は……死んでなんか、ない……んっ… *R18
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「ぁ…あぅ…はっ…ぅ♡」
「いい声が漏れてきたね、生きた屍も性感は得られるのかな?」
「……はっ…はぁ……俺は……死んでなんか、ない……んっ…」
汐見は自身の股間をまさぐる手を、震える指で押さえ込んだ。
端から見れば無表情かもしれない。
しかし、眉を寄せ、葛宮を睨み付けるその顔は確かに感情を滲ませていた。
「俺は、生きてる。あなたと同じ、心臓が動いてるんです」
「君にも『怒り』などという感情があったんだな。興味深い、もっと見せてくれ」
期待、興味、好奇心、探求心。
汐見の頬を愛おしそうに優しく撫でる。
感動に瞳を輝かせる葛宮とは裏腹に、汐見の瞳は死者のように濁る。
しかし懸命に伝えようとまっすぐな瞳で見つめる。
頬に触れる葛宮の手を掴んで、自身の胸に押し当てた。
トクン…トクン…トクン、と小さく、確かに鳴り続ける鼓動が指先から伝わる。
「……聞こえてませんか?あなたに触れられて、速くなってる心臓の鼓動が」
葛宮は自分が面食らったことを痛感した。
汐見が自分から誰かに触れるような、能動的で大胆な人間だとは思っていなかった。
ゾクリと身震いがする。
目の前のこの男が、自身に触れる手から伝わる体温は酷く熱く、呼吸は乱れ、瞳は潤む。
それでもなお彼には死の匂いがこびりついて離れないのだ。
ーー生ける屍は、どこまで僕を楽しませてくれる?
その疑問は、心の中にしまっておいた。
汐見が胸元に引き寄せた手を動かして、彼の乳首をさっと撫でた。
「……んっ……ぁ……」
「確かに、君の心臓は動いている。もっと、速くしてもいいかな?」
「あんまりやると、本当に死んでしまいます……」
葛宮は汐見の下着の中に伸ばした手の動きを再開した。
ねとついた先走りで揉みこまれ、びっく♡びっく♡と痙攣する。
「ぁっ……あ…ひっ……出る……っ……♡」
「イク時は、『イク』って言うんだよ」
「ぁっ、ぃ……らめ……れす……」
「ほら、気持ちいい?イク?」
「はひ……ぃ、イク……いく……ぅ…♡♡」
身震いさせながら長い長い射精を迎えた。
上ずりそうになる声を必死に抑えて、葛宮に言われた通りに絶頂宣言を繰り返す。
グッと腕の筋肉が隆起し、僅かに脚をバタつかせて絶頂に耐える。
悩ましげに眉を寄せて、ぎゅっと唇を噛む顔が酷く唆る。
はぁ…はぁ……、と絶え絶えの息を整えながら、汐見は葛宮を見上げた。
菩薩のようにただ微笑んでいる葛宮が目に入り、汐見は少しほっとした表情を見せる。
しかし、快感はそれでは終わらなかった。
汐見は30分間ほど余韻イキに苦しんだ。
身体の変化に自分自身もついていけていないような感覚だった。
じくじくと疼き電流の走る指先足先を快感を逃すように、ふみふみと毛布をこねる猫かのごとく、ぐーぱーぐーぱーと開いたり閉じたりを繰り返す。
はー…はーっ……とか細くも余裕のない吐息を漏らす。
何十分も余韻でイキ続けている身体が苦しくて、もはや恐怖すら覚える。
意思に反してぽろっと涙が零れ落ちる。
葛宮はじっとりと汗ばむ汐見の背中をあやすようにさすって、大丈夫、大丈夫、と落ち着かせる言葉をかける。
しかしむしろ、触れられたところがぶわっと熱くなって、ガクガクと手足の痙攣は激しさを増す。
葛宮に迷惑をかけまいと、いつもの冷静さを取り繕って喋ろうとするも、舌先まで感じてしまう。
痙攣してしまって、舌足らずで呂律の回らない言葉になってしまう。
次々と襲いかかる快感に耐え抜こうと、内股を擦り寄せ、両足首を絡めて、虚空を掴んで、葛宮の服にしがみついて、必死に呼吸を整えようとする。
ぼた、ぼた、とこめかみから汗を落としながら、ふーっふーっと荒い息を漏らし、耐える、耐える、耐える。
「て、手洗いに…」
うわ言のようにそう呟き、床に手をつくも、ガクッガクッと力が入らず何度も肘が折れる。やっとのことで肘をついても腰が抜けてしまって、まるで生まれたての小鹿のようにすてんと転んでしまう。
「はぅ…ぅ……すみ、ませ………はっ…♡」
「大丈夫、ゆっくり深呼吸してね」
時折、消え入りそうな声で、葛宮に教えられたようにイク……イク……と呟いては、ぶるりと身体を震わせる。
何度も余韻イキを繰り返す度、律儀に葛宮の言いつけを守り、うわ言のように自身が絶頂を迎えていることを宣言する。
「気持ちいい?イっちゃう?」
葛宮が耳元で囁くと、顔を真っ赤にして小さくコクコクと頷く。
目眩がしそうな光景に、背筋がゾクゾクする。
生ける屍に対する好奇心は、それを超えて汐見自身への興味に変わりつつある。
もっと追い込んだらどんな顔をするのか、どんな言葉を発するのか。
「ずっとイってるの?」
「イく、イく、いくぃ……わから、なっ…なん、イクぅぅ……」
何度も襲いかかる吐精を伴わない絶頂に、訳が分からなくなって涙の溜まる目元を赤らめながら、壊れたようにイク、イクと呟く。
快感に慣れていない男が、悪い大人の手練手管に翻弄され、身悶え狂う。
「俺…ばっかり…擦らないで……葛宮、さ、んも俺で、気持ちよく…なって…くら、くださ、ぃ…」
「ふふ、それはまた今度ね。今日は君が気持ちよくなるだけ」
「なんれ、ぁっ、あっ、まら、またイクっぅう……」
汐見がもう何度目かわからない脳イキに身体を震わせた瞬間、空間内が揺れるような、地響きのような低い声が響いた。
『あ"あ"あ"もう我慢ならねえ!俺のテリトリーで好き勝手しやがってぇ"!』
ミツラとかいう悪霊がしびれを切らして叫んだかと思うと、二人は強い光の中に包まれた。
「いい声が漏れてきたね、生きた屍も性感は得られるのかな?」
「……はっ…はぁ……俺は……死んでなんか、ない……んっ…」
汐見は自身の股間をまさぐる手を、震える指で押さえ込んだ。
端から見れば無表情かもしれない。
しかし、眉を寄せ、葛宮を睨み付けるその顔は確かに感情を滲ませていた。
「俺は、生きてる。あなたと同じ、心臓が動いてるんです」
「君にも『怒り』などという感情があったんだな。興味深い、もっと見せてくれ」
期待、興味、好奇心、探求心。
汐見の頬を愛おしそうに優しく撫でる。
感動に瞳を輝かせる葛宮とは裏腹に、汐見の瞳は死者のように濁る。
しかし懸命に伝えようとまっすぐな瞳で見つめる。
頬に触れる葛宮の手を掴んで、自身の胸に押し当てた。
トクン…トクン…トクン、と小さく、確かに鳴り続ける鼓動が指先から伝わる。
「……聞こえてませんか?あなたに触れられて、速くなってる心臓の鼓動が」
葛宮は自分が面食らったことを痛感した。
汐見が自分から誰かに触れるような、能動的で大胆な人間だとは思っていなかった。
ゾクリと身震いがする。
目の前のこの男が、自身に触れる手から伝わる体温は酷く熱く、呼吸は乱れ、瞳は潤む。
それでもなお彼には死の匂いがこびりついて離れないのだ。
ーー生ける屍は、どこまで僕を楽しませてくれる?
その疑問は、心の中にしまっておいた。
汐見が胸元に引き寄せた手を動かして、彼の乳首をさっと撫でた。
「……んっ……ぁ……」
「確かに、君の心臓は動いている。もっと、速くしてもいいかな?」
「あんまりやると、本当に死んでしまいます……」
葛宮は汐見の下着の中に伸ばした手の動きを再開した。
ねとついた先走りで揉みこまれ、びっく♡びっく♡と痙攣する。
「ぁっ……あ…ひっ……出る……っ……♡」
「イク時は、『イク』って言うんだよ」
「ぁっ、ぃ……らめ……れす……」
「ほら、気持ちいい?イク?」
「はひ……ぃ、イク……いく……ぅ…♡♡」
身震いさせながら長い長い射精を迎えた。
上ずりそうになる声を必死に抑えて、葛宮に言われた通りに絶頂宣言を繰り返す。
グッと腕の筋肉が隆起し、僅かに脚をバタつかせて絶頂に耐える。
悩ましげに眉を寄せて、ぎゅっと唇を噛む顔が酷く唆る。
はぁ…はぁ……、と絶え絶えの息を整えながら、汐見は葛宮を見上げた。
菩薩のようにただ微笑んでいる葛宮が目に入り、汐見は少しほっとした表情を見せる。
しかし、快感はそれでは終わらなかった。
汐見は30分間ほど余韻イキに苦しんだ。
身体の変化に自分自身もついていけていないような感覚だった。
じくじくと疼き電流の走る指先足先を快感を逃すように、ふみふみと毛布をこねる猫かのごとく、ぐーぱーぐーぱーと開いたり閉じたりを繰り返す。
はー…はーっ……とか細くも余裕のない吐息を漏らす。
何十分も余韻でイキ続けている身体が苦しくて、もはや恐怖すら覚える。
意思に反してぽろっと涙が零れ落ちる。
葛宮はじっとりと汗ばむ汐見の背中をあやすようにさすって、大丈夫、大丈夫、と落ち着かせる言葉をかける。
しかしむしろ、触れられたところがぶわっと熱くなって、ガクガクと手足の痙攣は激しさを増す。
葛宮に迷惑をかけまいと、いつもの冷静さを取り繕って喋ろうとするも、舌先まで感じてしまう。
痙攣してしまって、舌足らずで呂律の回らない言葉になってしまう。
次々と襲いかかる快感に耐え抜こうと、内股を擦り寄せ、両足首を絡めて、虚空を掴んで、葛宮の服にしがみついて、必死に呼吸を整えようとする。
ぼた、ぼた、とこめかみから汗を落としながら、ふーっふーっと荒い息を漏らし、耐える、耐える、耐える。
「て、手洗いに…」
うわ言のようにそう呟き、床に手をつくも、ガクッガクッと力が入らず何度も肘が折れる。やっとのことで肘をついても腰が抜けてしまって、まるで生まれたての小鹿のようにすてんと転んでしまう。
「はぅ…ぅ……すみ、ませ………はっ…♡」
「大丈夫、ゆっくり深呼吸してね」
時折、消え入りそうな声で、葛宮に教えられたようにイク……イク……と呟いては、ぶるりと身体を震わせる。
何度も余韻イキを繰り返す度、律儀に葛宮の言いつけを守り、うわ言のように自身が絶頂を迎えていることを宣言する。
「気持ちいい?イっちゃう?」
葛宮が耳元で囁くと、顔を真っ赤にして小さくコクコクと頷く。
目眩がしそうな光景に、背筋がゾクゾクする。
生ける屍に対する好奇心は、それを超えて汐見自身への興味に変わりつつある。
もっと追い込んだらどんな顔をするのか、どんな言葉を発するのか。
「ずっとイってるの?」
「イく、イく、いくぃ……わから、なっ…なん、イクぅぅ……」
何度も襲いかかる吐精を伴わない絶頂に、訳が分からなくなって涙の溜まる目元を赤らめながら、壊れたようにイク、イクと呟く。
快感に慣れていない男が、悪い大人の手練手管に翻弄され、身悶え狂う。
「俺…ばっかり…擦らないで……葛宮、さ、んも俺で、気持ちよく…なって…くら、くださ、ぃ…」
「ふふ、それはまた今度ね。今日は君が気持ちよくなるだけ」
「なんれ、ぁっ、あっ、まら、またイクっぅう……」
汐見がもう何度目かわからない脳イキに身体を震わせた瞬間、空間内が揺れるような、地響きのような低い声が響いた。
『あ"あ"あ"もう我慢ならねえ!俺のテリトリーで好き勝手しやがってぇ"!』
ミツラとかいう悪霊がしびれを切らして叫んだかと思うと、二人は強い光の中に包まれた。
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