【完結】呪われた双子 -犬として育てられた弟がよしよし♡され、次期当主として育てられた兄がボロボロ♡にされる話-

クズ惚れつ

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兄編 次期当主の罪

次期当主の罪 5

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 体液を拭われ、されるがままにシャワーを浴びせられ、上着を着て、久留米が会計を終えるのを呆然と眺め、ホテルを出た。
 ふら、ふら、とおぼつかない足取りで歩く一綺の肩を、久留米が支えながら歩く。
 一綺は、はー、はー、とか細く熱い吐息を永遠に繰り返す。
 久留米が一綺の額に手を当てると、酷く熱を持っていた。

「熱、出てますね……。」

 二人はそのまま、コンビニへと足を運んだ。


「一綺様、いかがなされましたか!」

 三条家に辿り着いた時には、一綺はふらふらで出迎えた執事が驚いた声を上げた。
 額にはコンビニで買った冷却ジェルシートがつけられている。
 ここまで肩を貸していた久留米は、執事に一綺の体を預けたかと思うと、一綺に飲ませていたペットボトルの水を渡した。

「僕、一綺くんの同級生なんですけど、道の途中で体調崩して座り込んでいたので、連れてきました。すぐそこだったので、電話するより早いかと思って……。」
「それはそれは、お世話かけました。ありがとうございます。」
「いえいえ、たまたま冷えピタ持っててよかった。では、僕はこれで。」

 挨拶をすると、久留米は速やかにその場を立ち去った。

「一綺様、大丈夫ですか?歩けますか?」
「ぁ”…ぁ”。問題ない”……。」
「声も掠れて……すぐ部屋に薬を持って来させます。」

 執事は一綺を自室まで送り届けた。


ーー頭がぽわぽわする。

 自室の布団の中で横になって休む一綺。
 体調は悪いものの、布団の中はほかほかで気持ちがいい。
 外から執事が扉をこつこつと叩いた。
 
「一綺様、失礼いたします。お薬をお持ちしました。」

 お盆に乗せた薬と水を、床に置く。

「悪い。」
「いえ……三条家も今は混乱していて、心労が溜まっていることでしょうが、一綺様が気にすることはございません。我々に任せていてください。」


ーー三条家、混乱。

「う"っ…。」
「一綺様!?いかがされましたか!?」

 嫌なことを思い出して、吐き気。
 執事が背中をさすってくれるも、動悸が治らない。


 ひとしきり嘔吐いて、ようやく落ち着くと、執事は部屋を後にした。
 ぼーっと布団に横になる。
 気が気でない。
 罪悪感に加え、自分が犯人だとバレたら、両親から見放されてしまうという恐怖。
 自分も犬に落とされたらどうしようという不安。
 もしかしたら、弟と立場を交代させられるかもしれない。

 自分が犯してしまった罪のことばかり考えてしまう。
 久留米に犯されていなければ、頭を不安が支配する。
 食事が喉を通らない、吐き気を覚える。

 酷くしてほしい、犯してほしい、縛り付けてほしい、
 喉奥にちんぽを突き込んで窒息させてほしい。
 馬鹿みたいに太いものを裂けるまで無理やり突っ込んで腸内をこじ開けてほしい。
 全身を拘束して、暴れても暴れても何もできない無力感に突き落としてほしい。

 すでに、依存症のように、一綺の体と頭を支配していた。
 欲しい、久留米が欲しい。
 しかし、久留米に何度も何度もそんなおねだりをするのは一綺のプライドが許さなかった。



 数日後のとある夜。
 ある程度体調の回復した一綺は、マスクとサングラスの完全防備で家を出た。
 繰り出した先は、夜の街。

 別に久留米が相手じゃなくたって、俺を満足させられれば誰だっていいんだ。
 自分のことを知らない、プライベートを詮索しない、行きずりの男を探して、ネオン街を練り歩く。
 駅前のメイン通りから一本入った裏道は、夜にも関わらず、多くの人がいた。
 バーやホテル、水商売の店など夜の店が多数並ぶ。
 ゲイカップル、オネエ、水商売の女性、パパ活らしき二人、普段どこに隠れているのやらと思うほど多様な人々が行き交う。
 一綺はその通りの脇で、スマホをいじっていた。
 コミュニティのことは何もわからない、どんな格好をしていればいいのかもわからない。
 そう簡単に相手が見つかるものなのか、それすらもわからないが、独特の雰囲気を持つ夜の街に立っているだけで幾分気が紛れた。


 そうこうしていると、一人の男が声をかけてきた。
 30~40代ほどのラフな格好をした小綺麗な男だった。
 年齢が上の方が、落ち着いており慣れているだろうと踏み、この男についていくことにした。
 つれない態度のまま、おとなしくついていく一綺。 
 しかし、一綺の想定は大幅に食い違った。
 ホテルへ向かう途中、やたらめったら喋りかけ、詮索してくる。
 キスやセクハラを要求してくる。
 思ったような相手ではなく、気色悪さすら感じる。
 そもそも久留米ほどの徹底的な奉仕のSなどなかなかいないのに、一綺はそれが当たり前だと思っていたのだ。
 それを自覚することもなく、一綺はホテルに着く前に拒否して帰ろうとした。

 そんな一綺の様子に、男は態度を一変させた。
 突然、一綺の手首を乱暴に掴み上げたのだ。

「……ッ、おいっ!」
「調子に乗るなガキ。」

 必死で抵抗するも、無理やり路地裏に引っ張り込まれる。

「クソッ、離せ!」

 相手の力が強く、振りほどけない。
 人目のつきにくい路地裏まで入ると、男は一綺の体に手足を絡ませてきた。

「ひっ!やめろ……!」

 大声を出すか、通報するか、様々な考えが頭をめぐるが、行動に起こせない。
 問題を起こせば、自分が夜の街に繰り出していたことが家にバレてしまう。
 服の中に手を突っ込まれ、ズボンの中にも反対の手を滑らす。

 クソ、気色悪い、嫌だ。
 不快感、恐怖。
 久留米に触られるのとは比べ物にならない。
 しかし、力の差で抵抗も叶わない。

ーーこれも、罰の一つか。

 一綺が諦めかけたその瞬間。
 通りから路地裏に入ってくる人影。
 その人影は目の前の男の腕を掴み、突き飛ばした。
 
 それは、南だった。
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