【完結】呪われた双子 -犬として育てられた弟がよしよし♡され、次期当主として育てられた兄がボロボロ♡にされる話-

クズ惚れつ

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兄編 次期当主の罪

次期当主の罪 1

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 次期当主はさらに罪を重ねる。

 きっかけは、大学の同期、久留米との出来事だった。
 「双子の弟を犬として一族中で虐待をしている」というとんでもない秘密が、一族外の人間である久留米にバレた時、何だか清々しい気持ちになった。
 このドス黒い秘密が明らかになったら、一体どうなるのだろうか。
 これをきっかけに、一綺は「三条家の秘密が世間にバレたら」と、そればかり考えるようになった。
 三条家の大人たちに一泡吹かせたい。
 狂った三条家を変えられるかもしれない。
 自分が次期当主の重責から解放されるかもしれない。

 その時のことはあまり記憶がない。
 震える指でスマホを持って、普段誰も使わない一室に忍び込み、時が来るのを待った。 
 「犬の散歩」はルートが決まっている。
 窓から下を見ると、ちょうど一階の母屋と離れを繋ぐ渡り廊下が見える。
 心臓がばくばくと鳴っている。
 しかし、後戻りするという選択肢はなかった。
 コツ、コツ、コツ。
 来た……!
 身を隠しながら窓から下を覗き込むと、普段通り「犬の散歩」が行われていた。
 スマホを構える、カシャ、とシャッターを切る音がする。

 どうなってしまうのか、先のことを考える意思はなかった。
 一綺は犬にされた弟の写真を、匿名で週刊誌に送りつけた。

 
 リアリティを帯び始めたのは、週刊誌側が三条家に掲載の連絡をしてからだった。
 事件が大きくなり、一綺はやってしまった事の重大さに気づく。
 三条家を守り、未来を作っていく、ただそれだけを目的に育てられた一綺が、三条家を途絶えさせる危機に陥れてしまった。
 罪悪感。
 焦燥感。
 バレたらどうなる?
 いや、バレるわけがない。
 落ち着け。
 寝ても覚めても不安で不安で仕方がなかった。
 罪の意識に苛まれ、苦しくて怖くて仕方がなかった。

 やがて、精神は限界を迎える。


 本日最後の講義のチャイムが鳴り、学生たちが次々に席を立ち始める。
 久留米も例外ではなく、筆箱とノートをしまい、リュックサックを肩からかけると、出口に歩き始めた。
 エレベーターに乗り損ねて、しょうがないから階段を降り始める。
 数歩降りたところで、リュックサックを後ろから掴み引っ張られ、思わず手すりに寄りかかる。

「おっとと!……何?」

 振り返ると、階段の数段上からリュックを掴んだのは、一綺だった。
 顔色が悪い。
 しょっちゅう顔色が悪い男だな……などと思いながらも、久留米は喜びが抑えられなかった。
 一綺から自分に何かアクションを起こしてくれることが、こんなにも嬉しい。
 しかし、大抵そういう時の一綺は、この世の終わりみたいな顔をしているのだ。
 一綺は久留米の胸ぐらをつかんで、前方に押す。
 必死にバランスをとりながら、何とか後ろ向きに階段を駆け下りる。
 踊り場までたどり着いて、壁にドンと突き飛ばされる。

「一綺くん?どうしたんですか?」

 一綺は掴んでいた胸ぐらを離し、代わりに自身の顔を久留米の胸に埋めた。
 側から見たら異様な光景。
 何も言わない一綺。
 しかし、久留米は彼が求めるものを察知する。
 自分からおねだりなんて、そんな真似ができる男ではない。
 しかし、その一綺の態度からは悲痛な叫びが聞こえてくるようだった。

 ーー忘れさせてほしい、罰してほしい、壊してほしい。
 
 弱みに漬け込むようなものだが、久留米にとってはそれが最高の快楽だった。
 本能的に求める痛みと快楽を与え合う行為。
 それを初めて、一綺の方から求めてきた。
 それだけ、欲しくて欲しくてたまらない証拠だ。
 久留米はカバンの中からボールペンをさっと抜き取り、力強く握る。
 もう片方の手で、自身の胸元に埋まる一綺の前髪を乱暴に掴んで、引き上げた。
 そのまま、ボールペンの先を一綺の目の前に突き立てた。

「一綺くん、ホテル行きましょうか。」

 その鋭い先端は、始まりに過ぎない。
 これから与えられる屈辱と恐怖と快楽を想像し、ゾクゾクと打ち震える体。
 顔を歪め、眉をひそめる。
 その瞳は、どうしようもない、期待の色に染まりきっていた。



 ホテルの一室に入るなり、久留米はリュックサックを放り投げ、一綺の体をベッドに突き飛ばした。

「…おいっ!」

 突き飛ばされた事実に唖然としながらも、反射的に大きな声をあげて威嚇する。
 久留米自身、上着も脱がずに、ベッドに座り込み、壁を背にして凭れかかる。
 
「咥えて、舐めて、勃たせて、気持ち良くして、奉仕しろ。」
「……は?」

 畳み掛けるように命令され、脳が理解の範疇を超える。

「僕のちんぽのことだけを考えて、奉仕して、喜ばせることだけが一綺くんの生きる価値です。わかりますか?」
「……ふざけんなよ。」

 心の奥底では、酷くされたいと願いながらも、頭が本能的に拒否を示す。
 まだ早いか、久留米はそう悟り、ベッドの横の棚に手を伸ばす。
 そこから手錠を取った。
 一綺の体を突然に抱きしめ、後ろ手でその手錠をカチャリ、と嵌める。
 ベッドの上にペタンと座り込みながら、両手首を後ろ手に拘束されると、シャツがピンと張り、筋肉のついた胸を前に強調する姿勢になる。

「は、おい、何これ。」
「鍵はここにあります。でも後ろ手では自分では外せませんね。早く、フェラチオしてイかせなければ、この鍵、飲み込んでしまいますよ。」

 久留米は指でつまんだ小さな鍵をぺろりと舐める。
 さあ、お膳立てはしてあげましたよ、一綺くん。
 これで素直になれますか?
 心の中でそう呟く。

「……クソッ。ズボンのファスナー下ろせ、よ。」
「口で下ろしてください。僕は何もしません。奉仕するのは、あなたです。」

 一綺は震えながら、上半身をかがめる。
 久留米の股間にかしずいた。
 クラスの、一族の、王が、後ろ手に手錠をかけられながら、うだつの上がらない同級生の股間に顔を埋めている。
 その事実だけで、久留米は震えるほどの興奮を覚えた。
 
 拙い動きのまま、歯でファスナーのスライダーを噛む。
 頭全体を動かして、何とか引き下ろすことに成功。
 しかしボタンを外さなければ、ズボンを脱がすことはできない。
 顔を傾けて、厚い唇でボタンを咥える。
 舌をちろちろと突き出し、歯と唇と舌を器用に使って、なんとか外そうとする。
 冷たい金属が口内に擦れるたび、悩ましげに眉を顰める。

「ボタンとディープキスしてるみたいでエロいですね。」
「ころひゅぞ…んぅ…。」
「もう少しで、僕のちんぽとディープキスすることになるんですよ。楽しみですね。」

 言葉で的確に責め立てていく。
 何とかボタンを外したが、口元は唾液でべとべとになっていた。

「はーっ、はーっ♡……クソ。」

 口を使って、ズボンの前を寛げる。
 やっと……と思うと、さらにもう一つ。
 じっとりと汗ばんだ黒の化学繊維が露わになる。
 もちろんノーパンなはずもない。

 一綺は久留米の下着を目の前にして、明らかに怯んだ様子を見せた。
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