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兄編 南という男
南という男 1
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「公開調教を受けている君を見た時、どこかで見たことある顔だと思ったんだ。」
一綺がkeiに会いにバーを訪れ、しばし話した後、バーを出るとすぐ入り口に立っていた男は、突然一綺に声を掛けてきた。
不審者。そう思った一綺は無視して通り過ぎようとした。
「三条家のご子息、三条一綺くん。」
ブワッと一綺の全身に血が回った。振り返り、男の顔を睨みつける。
改めて男を観察する。30代後半ほどの、スーツを着た男。
「さすが、本家のお坊ちゃんは分家の人間のことは知らないだろうねえ。」
「……なんだと。」
「私は南という者だ。ひいひいお爺様の姉の家系、南家当主の次男、三条家の分家だよ。一年に一回の一族の会食では顔を合わせているはずなんだけどね。」
名前を聞いたら、ぼんやりと思い出した。
挨拶を交わしたくらいで、話したことはほとんどない。
しかし、そんな男がなぜこんなところに。
「あのバーにはたまに顔を出すんだけど、タイミングが良かったな。」
じっとりと舐め回すような眼差しで、一綺を足先から頭まで眺める。
「三条家の次期当主ともあろう者が、まさかSMバーで奴隷調教を受けるメス犬だったとはね。」
「違う……。」
「ご両親は手を焼いていると言っていたが、あんなに可愛く鳴くなんて、私のものにしたくなったよ。」
「……気色悪いこと抜かしてんじゃねえ。」
「ところで、今度ご両親と会食の予定があるんだけど。」
無視して一綺が歩き出そうとした時。
「話の種ができたなぁ、『ご子息がSMバーで調教されてた』ってね。」
一綺は思わず足を止めて、勢いよく南を見た。
「……は?」
「ガチガチに拘束されたまま、アナルに男のちんぽ突っ込まれて揺さぶられて、イキ狂ってたってね。あとは……、ちんぽ抜かれてケツまんこヒクヒクさせながら、必死にちんぽ強請って腰振ってたのも可愛かったな。」
「…………何を……言って。」
そういえば、南家の次男は嗜虐趣味の変態だという噂を聞いたことがある。
SMバーを訪れていることも、家中の人間が既に知っているのだろう。
「ご両親に報告しよう。『あんなに可愛くおねだりできる次期当主なら、三条家の未来も安泰だ』ってね。」
「や……めろ……。」
「『弟君よりも、お兄さんを犬にした方が良かったんじゃないか?』」
「黙れっ!!!」
一番触れられたくないところを責められ、声を荒げた。
そんな一綺の前まで、南は歩いてきて、耳元に顔を近づけて言った。
「話されたくないよね。」
「……。」
「分家の次男の私とは違って、本家の長男である次期当主様がそんなことしてるって、ご両親にバレたらお家にいられなくなっちゃうからね。」
ぶるっと全身がわずかに震えた。
不安げな様子を隠せず、南の目を見上げる。
にっこり笑っているが、目は笑っているようには見えない。冷ややかな瞳。
「私に従いなさい。私だけの奴隷として調教を受けると誓えば、このことは誰にも言わない。」
「……なっ!」
「一族中に、君が淫乱メス犬だと触れ回られたくなければね。」
「……っ。」
「大丈夫、ご主人様が変わるだけだよ。」
一綺は唇を噛み締めて、うつむく。
……脅されている。
いくら自分が嘘だと否定しても、噂が出た以上、親は調査を始めるはずだ。
いずれはバレてしまうだろう。
選択肢なんか与えられていないに等しい。
「………………わかった。」
そう答えるしかなかった。
「そんなこの世の終わりみたいな顔しないで。楽しもうね。」
南は一綺の肩を抱いて、歩き出した。
不快感を抱いても、払いのけることができない。
どこに行くのかもわからない。
肩を押されて、黙って歩かされている。
これからどうなってしまうのか。
何をされてしまうのか。
本当に黙っていてくれるのか。
バラされたらどうしよう。
いくつもの不安が襲ってきて、心を曇らせる。
「本当に、あんたに従えば、何も言わないんだな?」
「お前が私のメスマゾおちんぽ奴隷であり続ける限り、言わないでおいてあげるよ。」
南はそう耳元で囁いて、意地悪そうにニヤリと笑った。
一綺がkeiに会いにバーを訪れ、しばし話した後、バーを出るとすぐ入り口に立っていた男は、突然一綺に声を掛けてきた。
不審者。そう思った一綺は無視して通り過ぎようとした。
「三条家のご子息、三条一綺くん。」
ブワッと一綺の全身に血が回った。振り返り、男の顔を睨みつける。
改めて男を観察する。30代後半ほどの、スーツを着た男。
「さすが、本家のお坊ちゃんは分家の人間のことは知らないだろうねえ。」
「……なんだと。」
「私は南という者だ。ひいひいお爺様の姉の家系、南家当主の次男、三条家の分家だよ。一年に一回の一族の会食では顔を合わせているはずなんだけどね。」
名前を聞いたら、ぼんやりと思い出した。
挨拶を交わしたくらいで、話したことはほとんどない。
しかし、そんな男がなぜこんなところに。
「あのバーにはたまに顔を出すんだけど、タイミングが良かったな。」
じっとりと舐め回すような眼差しで、一綺を足先から頭まで眺める。
「三条家の次期当主ともあろう者が、まさかSMバーで奴隷調教を受けるメス犬だったとはね。」
「違う……。」
「ご両親は手を焼いていると言っていたが、あんなに可愛く鳴くなんて、私のものにしたくなったよ。」
「……気色悪いこと抜かしてんじゃねえ。」
「ところで、今度ご両親と会食の予定があるんだけど。」
無視して一綺が歩き出そうとした時。
「話の種ができたなぁ、『ご子息がSMバーで調教されてた』ってね。」
一綺は思わず足を止めて、勢いよく南を見た。
「……は?」
「ガチガチに拘束されたまま、アナルに男のちんぽ突っ込まれて揺さぶられて、イキ狂ってたってね。あとは……、ちんぽ抜かれてケツまんこヒクヒクさせながら、必死にちんぽ強請って腰振ってたのも可愛かったな。」
「…………何を……言って。」
そういえば、南家の次男は嗜虐趣味の変態だという噂を聞いたことがある。
SMバーを訪れていることも、家中の人間が既に知っているのだろう。
「ご両親に報告しよう。『あんなに可愛くおねだりできる次期当主なら、三条家の未来も安泰だ』ってね。」
「や……めろ……。」
「『弟君よりも、お兄さんを犬にした方が良かったんじゃないか?』」
「黙れっ!!!」
一番触れられたくないところを責められ、声を荒げた。
そんな一綺の前まで、南は歩いてきて、耳元に顔を近づけて言った。
「話されたくないよね。」
「……。」
「分家の次男の私とは違って、本家の長男である次期当主様がそんなことしてるって、ご両親にバレたらお家にいられなくなっちゃうからね。」
ぶるっと全身がわずかに震えた。
不安げな様子を隠せず、南の目を見上げる。
にっこり笑っているが、目は笑っているようには見えない。冷ややかな瞳。
「私に従いなさい。私だけの奴隷として調教を受けると誓えば、このことは誰にも言わない。」
「……なっ!」
「一族中に、君が淫乱メス犬だと触れ回られたくなければね。」
「……っ。」
「大丈夫、ご主人様が変わるだけだよ。」
一綺は唇を噛み締めて、うつむく。
……脅されている。
いくら自分が嘘だと否定しても、噂が出た以上、親は調査を始めるはずだ。
いずれはバレてしまうだろう。
選択肢なんか与えられていないに等しい。
「………………わかった。」
そう答えるしかなかった。
「そんなこの世の終わりみたいな顔しないで。楽しもうね。」
南は一綺の肩を抱いて、歩き出した。
不快感を抱いても、払いのけることができない。
どこに行くのかもわからない。
肩を押されて、黙って歩かされている。
これからどうなってしまうのか。
何をされてしまうのか。
本当に黙っていてくれるのか。
バラされたらどうしよう。
いくつもの不安が襲ってきて、心を曇らせる。
「本当に、あんたに従えば、何も言わないんだな?」
「お前が私のメスマゾおちんぽ奴隷であり続ける限り、言わないでおいてあげるよ。」
南はそう耳元で囁いて、意地悪そうにニヤリと笑った。
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