【完結】呪われた双子 -犬として育てられた弟がよしよし♡され、次期当主として育てられた兄がボロボロ♡にされる話-

クズ惚れつ

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兄編 SMバーに行こう

SMバーに行こう 2*

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※女性による緊縛表現があります

「ちょっとぉ、この子お酒の飲み方知らないんじゃないの?」

 口数が少ない分、酒が進んでしまった一綺はぽやぽやと頰を紅潮させ、瞳を潤ませていた。

「久しぶりのお酒なんですよ、許してあげてください。」
「久留米くんもあと数ヶ月経てば一緒に飲めるね。」

 keiがジョッキ片手に上機嫌でそう言って笑う。
 一綺が未成年であることは隠していた。
 もちろんそんなことを知ったら、マスターが酒など出してくれるわけがないからである。

「ビール……。」
「もう終わりよ。ジンジャーエールにしておきなさい。」
「にしても、いい体してるよねぇ彼。縄映えそうだな。」
「keiさん!ダメですよ!?」
「あはは、わかってるよ。人のもんには手出さないし。」
「……とは言ったものの、今日はちょっとお願いが。」

 keiとマスターと久留米は顔を寄せて、こそこそと話をする。

「……へ?」 

 keiが素っ頓狂な声を上げる。

「いいですか、マスター?」
「いやまぁ、いいけど……。同意なんでしょうね?」
「もちろんです。それに、マスターも見たいでしょ?」

「ライオンの調教ショー。」

「私はいいけど、本当に大丈夫?酔った相手とか流石に……。」
「keiさんにしか頼めません。簡単なやつで構わないので。」
「わかったわかった。でも、危険だと判断したらすぐやめるから。」

 そう言うとkeiは店の奥へと入っていった。
 久留米は一綺の腕を掴んで立たせて、その腕を引っ張った。
 ふらりとよろめきながら、千鳥足で歩く。

「何してんら……馬鹿。」

 すとん、と座らせた場所はバーに併設されている舞台の上だった。
 観客たちが、なんだなんだと舞台上に注目する。
 あたりが暗転して、舞台上に座っている一綺に紅のスポットライトが当たる。

「……は?」

 一綺が状況を理解できないまま、舞台袖から何やら道具を持ったkeiが現れた。

「まさかあのkeiの緊縛が見れるのか?」
「今は数ヶ月予約待ちで、お金払っても見れないらしいじゃない。」

 観客がヒソヒソと話す。
 keiは赤の麻縄を引っ張り出して、一綺の胸の上にぐっと張る。

「何……して……?」
「大丈夫、力抜いて。」

 状況を飲み込めない一綺の耳元でkeiは囁く。
 されるがまま、ぐったりとしている一綺の体にしゅるしゅると縄が絡められていく。
 白いシャツの上から、縄が食い込み、胸の筋肉がくびり出される。
 あっという間に、後ろ手にガチガチに縛り付けられた。
 白いシャツと肌の上に這い回る、赤がよく映える。
 
「や…め……んぅっ!」

 本能的な拒否の言葉を出すも、ぎゅっと体を締め上げられるたびに、甘い悲鳴で掻き消される。
 keiの美しい手つきとどんどんと縛り上げられていく一綺の体に、観客たちは見惚れていた。

 丁寧だが、素早い手つきで、あっという間にその芸術作品は完成した。
 1ミリも動かせないのではないかと思うほど全身をガッチリと戒め、うつ伏せにされている。
 美しく絡み合う赤縄。
 手首は後ろ手で固定され、脚は折りたたまれ伸ばせないようにひとまとめにされている。
 足の指の間一つ一つまで縄が這わされ、開かされる感覚。
 普段触らない場所に縄が擦れる感覚で、一綺は身悶えた。

「はっ……はひ……ぅ、ぁ、あ……。」

 わずかにあげたその顔は、恍惚にとろけていた。
 抵抗しようと体を揺らしても、縄がぎちっと食い込むだけで、逆に快感を助長する。
 尻肉が縄でぐっと寄せられる。
 肩の筋肉が隆起する。
 絞り出された胸筋の先の、敏感になった乳首がシャツに擦れるたび悲鳴が漏れる。
 頭がふわふわと浮遊。
 体が熱を持って、どこまでも浮遊して降りてこられない感覚に恐怖すら感じる。
 胸、腹、股間、腿、腕、全身の筋肉に縄が食い込んで、くびり出されるのが酷く気持ちいい。
 こんなので、気持ちいいはずがない。
 体がおかしくなってしまう。
 
「やぇ……ろ……はず、せ……♡」
「久留米くんの言った通り、素直じゃない子だな。」

 ふと前を向くと、たくさんの瞳がこちらに向いている。
 それを自覚した瞬間、体がビクンと跳ねた。
 縛られて、衆人環視に晒されて、逃げられなくて、そんな状態を知っている。
 弟の姿が脳裏をよぎる。
 ひっ!と悲鳴をあげる。
 ガクガクと体の痙攣が大きくなっていく。
 体の異変にいち早く気づいたkeiは、注意深く様子を見ている。
 
「あ”……ぅ”……ごめ……」
「…………?」

 これは罰だ。
 身代わりにした弟。
 人権を無視して、酷い扱いをして、殴って、蹴って、躾けて、辱めて。
 同じ容姿で、自分の分身で。
 だから、自分も同じように……。
 いや、あれは俺だったか……?
 頭が混乱する。
 アルコール漬けになり、縛られて酸素が回らない脳はどんどんと混乱の思考の海に落ちていく。

「~~~~~ッ!?♡♡」

 ひときわ大きく痙攣して、背が仰け反り、喉がびくりと跳ねる。
 脳で絶頂を迎える。
 はっ♡はっ♡と浅い呼吸を繰り返す。
 胸が上下するたびに縄が食い込んで、それだけで感じてしまう。

「はーっ♡はーっ♡…あ……え、ぇ♡」

 罰せられてる。
 許されたい。
 もっと、もっと、酷く。
 戒めて、酷くして。

 無意識の涙をぼろぼろと溢す。
 ガクガクと、大きな震えが止まらない。
 
 犬にした弟よりも、酷いことをされないと。
 罰を受けないと。
 許されない。
 許して、許して、許してくれ。

 終わらないと、反射的にkeiはそう判断する。
 緊縛してトランス状態になる人間は少なからずいる。
 その多くは、充足感と多幸感で深い海に沈んでいくような感覚だという。
 しかし、今一綺が突き落とされている快感は明らかに荒波だ。
 恐らく続けても身体的な問題はないだろう。
 ただ、あまりにも感じすぎているのが気がかりだった。
 緊縛は初めてであろう彼に、無理を強いるのは主義ではなかった。

 keiが縄を解こうと手をかけると、素早い動きで舞台上に上がってきた久留米がその手を制した。
 次は自分の番だ、とでも言うように、久留米はkeiの顔を見る。
 最初からその手はずだった。
 keiが縛り、久留米が調教する。
 そういうショーをしようと、提案したのだ。
 少々不安は残るものの、そもそも全て久留米の提案であるため、断る選択肢はなかった。
 keiは静かに舞台袖に下がった。
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