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とあるインテリヤクザと不良牧師の交錯

第4話 とある教祖の場合 36

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「でも、俺。」

「ただ、宗教を信じるのと父親を信じるのは違う。お前は後者だろ。」

「……っ。」

「俺が宗教にこだわりがないと言われたことに笑ってたな。」

「……うん。」

「この教会は俺の命の恩人から受け継いだものだ。今でも信心深いって言やあ嘘になるだろうな。俺がここにいるのは信じたい『人』のため、それだけだ。」

「……。」

涙ぐんで言葉に詰まった未来の頭をぽんぽんと優しく撫でた。

「それでいいんだよ。」

「……とんだ、不良牧師さんだね。」

「お前はもっと悪くなっていい。親に反抗して、家出してゲーセンで遊び呆けるくらいがちょうどいいんだよ。」

「今時高校生は家出しないでしょ。」

「そうか?」

「それに俺、友達いないからゲーセンいかないし。」

「じゃあここに来い。教会はいつでも空いてる。」

「ふふ、家出して教会行くとか……。」

「小学生のガキどものためのお菓子ならいくらでも出してやるよ。」

「どんなお菓子があるんです?」

辰巳は教会の奥へ行ってダンボール箱を持ってきた。箱の中には、ハッピーターン、トッポ、しゅわしゅわキャンディー、様々なお菓子が入っている。

「意外と可愛らしいお菓子を買ってるんですね。」

「可愛らしいとはなんだ。と、言いたいところだが、最初煎餅ばかり出してたら文句が出てな。リクエストを聞いているうちにお菓子に詳しくなっちまった。」

「あははっ。」

未来は大きく笑った。

「貴方ともっと早く出会いたかったなぁ。」

「いつかなんて関係ねえだろ。」

「あの、俺。ここでお手伝いさせてもらえませんか。」

「なんだと?」

「あの、お金とかいらないんで、放課後、ボランティア、みたいな。」

辰巳はしばらく考え込んだ後、口を開いた。

「お前の高校はバイト可なのか?」

「え?はい、バイトは大丈夫です。」
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