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とあるインテリヤクザと不良牧師の交錯

第4話 とある教祖の場合 29

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「わかりまし……って、俺も教会入っていいですか?」

未だ出禁のことを気にしている七瀬に、辰巳は思わず吹き出した。

「ふっ。勝手にしろ、教会は全ての人間を等しく受け入れる場所だ。」

教会までの帰途、二人は寄り添いながらゆっくりと歩いた。



「まぁ、一件落着ですかねはふっ、ふーっ、ふーっ。」

「はふ、はふっ。俺らは一仕事終えた形になるが、お前はなんの仕事にもなってないだろ。」

「言うなれば、その通りですね。友人と友人の好きな人を助けて、俺の好きな人の仕事を手伝ったってとこですかね。」

「何が好きな人だ、頭のこと変な目で見るんじゃねえ。はーっ、ふーっ、ふーっ。」

いつものように、九条の家。一つのすき焼きの鍋をつつく。唯一違うことは、今日は二人きりではなく、もう一人いることだ。

「ていうか俺、虎居さんのこと呼んでないんですけど。はふはふ。」

「はあ?頭とお前を二人きりにさせられるわけないだろ。ふーっ、ふーっ。ていうかこんなところですき焼き食ってたこと自体驚きだ。」

「とか言いながらめちゃくちゃすき焼き食ってんじゃねえか。」

「そりゃ割り勘しましたから、三分の一以上は食いますよ。」

「ケチ臭いですねえ。」

「ああん?」

「喧嘩すんじゃねえ、飯が不味くなる。」

一息ついて、虎居はごろんと寝転がった。

「めちゃくちゃくつろいでるじゃないですか他人ん家で。」

「こんな狭いボロ家住んだことねえからな、意外と居心地いいぞ。」

「俺だってこんな職業じゃなければもっといい家買ってますよ。」

竜崎は九条の方を見て言った。

「やめたらどうだ、そんな仕事はよ。」

「……俺の天職ですから。」

「説教臭いことは言いたくないが、まだ23なら何かしらまともな職には就けるだろ。」

「俺はこれしかできないんですよ。他の仕事なんて考えられません。」

九条は肉を一口ほうばって、竜崎の方を見つめた。
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