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とあるインテリヤクザと不良牧師の交錯
第4話 とある教祖の場合 11
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「それで、俺はなんでこんなことになってんだ。」
「あの儀式に参加してるのは、信者の中でも金持ちの人たちだけだよ。『神と繋がる』ためにお金を払ってるんだ。まぁ、神と繋がるのが目的なのか、性欲処理が目的なのかは知らないけどね。」
その言葉で、辰巳は気を失う前までの行為を思い出して軽くえずいた。
「ごめん、思い出させちゃったね。」
「いや、いい。」
「でも早く慣れた方がいいよ。多分この先何度もこういうことあるから。」
「つまり俺は金儲けの道具にされたってわけか。」
「まぁ、平たくいえばそうだね。」
「待て、お前は金持ちなのか?」
「……いや。」
未来はまずい、と言った表情を見せた。
「じゃあなんであそこにいたんだ。」
「たまたまだよ。」
「『救魂愛我教の将来を担う』とか言われてたな。」
「それは。」
「お前は一体何者なんだ。」
未来は黙り込んだ。しかし辰巳がまっすぐに見つめると、観念したように口を開いた。
「俺は清羊の息子なんだ。」
「な……。」
「だからきっと、次期教祖だと思われてるんだよ。継ぐつもりなんて少しもないのにね。」
「だから、逃げられないのか。」
「逃げようと思えば逃げれると思うよ。でも『意志が弱い』からかな。逃げる勇気はなかった。報復が怖いからね。」
辰巳はこれ以上、かける言葉を見つけられなかった。しばらく沈黙が続いたが、辰巳は切り出した。
「……この拘束、外してくれ。体さえ自由になれば。全員ぶん殴ってお前と一緒にこんな教団出て行ってやる。」
「それはできない。俺は貴方とこうやってたわいもない話をするしかできないよ。」
「なぜ。」
「清羊が怖いから。さっきも言ったでしょう、報復が怖いからだよ。」
「……。」
「あの儀式に参加してるのは、信者の中でも金持ちの人たちだけだよ。『神と繋がる』ためにお金を払ってるんだ。まぁ、神と繋がるのが目的なのか、性欲処理が目的なのかは知らないけどね。」
その言葉で、辰巳は気を失う前までの行為を思い出して軽くえずいた。
「ごめん、思い出させちゃったね。」
「いや、いい。」
「でも早く慣れた方がいいよ。多分この先何度もこういうことあるから。」
「つまり俺は金儲けの道具にされたってわけか。」
「まぁ、平たくいえばそうだね。」
「待て、お前は金持ちなのか?」
「……いや。」
未来はまずい、と言った表情を見せた。
「じゃあなんであそこにいたんだ。」
「たまたまだよ。」
「『救魂愛我教の将来を担う』とか言われてたな。」
「それは。」
「お前は一体何者なんだ。」
未来は黙り込んだ。しかし辰巳がまっすぐに見つめると、観念したように口を開いた。
「俺は清羊の息子なんだ。」
「な……。」
「だからきっと、次期教祖だと思われてるんだよ。継ぐつもりなんて少しもないのにね。」
「だから、逃げられないのか。」
「逃げようと思えば逃げれると思うよ。でも『意志が弱い』からかな。逃げる勇気はなかった。報復が怖いからね。」
辰巳はこれ以上、かける言葉を見つけられなかった。しばらく沈黙が続いたが、辰巳は切り出した。
「……この拘束、外してくれ。体さえ自由になれば。全員ぶん殴ってお前と一緒にこんな教団出て行ってやる。」
「それはできない。俺は貴方とこうやってたわいもない話をするしかできないよ。」
「なぜ。」
「清羊が怖いから。さっきも言ったでしょう、報復が怖いからだよ。」
「……。」
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