41 / 75
とあるインテリヤクザと不良牧師の交錯
第4話 とある教祖の場合 4
しおりを挟む
「‥‥‥っ!!」
「貴方の中に眠っているもっと別の、強大な魅力に気づいたんですよ。」
「はぁ?」
「それを利用しない手はない。貴方自身はまだ気づいていないようですがね。」
辰巳が教祖の顔に唾を吐く。
「何だか知らねぇけど、やれるもんならやってみろよ。」
強がる辰巳だが、自身を見下ろす清羊のあまりにも冷たい目に思わず背筋が凍った。清羊はすっと立ち上がり、辰巳から離れて言った。
「乱暴なことは嫌いなのですけれど。そうですね、好きにさせていただきます。早速ですが明日、『儀式』を行います。」
「儀式……?」
「神を貴方に乗り移させる儀式ですよ。」
「は?」
「貴方の体を使って、信者と神がより深く繋がることができるのですよ。」
「どういう、」
「どういうことかは、明日になればわかりますよ。」
ではおやすみなさい、そう言い残すと清羊は部屋から去った。窓一つない部屋だったせいか、時間の感覚がなかったが清羊のその言葉でもう夜だということに気がついた。
祭壇に取り残された辰巳、どうにか両腕両足を拘束するベルトを外そうとするがぎちぎちに締められていて外すことはできない。
「くそ、なんなんだよ。」
まずいことになった。清羊が怪しい新興宗教の教祖だということはわかっていたのに、初老の爺さんなんていざとなれば抵抗できるだろうと侮っていた。まさか薬を使うなんて。しかし辰巳は冷静になって考える。先ほどの清羊の様子、殺すつもりはなさそうだ。大人しくしているしかないかもしれない。教会には常にある程度の人が来るし、夜遅くまで毎日開けてきたのだ。訪れた人が異変に気づくだろう。それに日曜日の礼拝の時間になれば一度に何人も訪れる。それまでは刺激しないようにするしかないだろう。
そんなことを考えつつ、辰巳はしばらく寝れないでいた。しかし疲れていたのだろう、そのうち眠りについた。
突然の強烈な明かりで目が覚めた。寝起きの目には凶器で、思わず目を細める。
「さてみなさん、神がお目覚めになったようです。」
「貴方の中に眠っているもっと別の、強大な魅力に気づいたんですよ。」
「はぁ?」
「それを利用しない手はない。貴方自身はまだ気づいていないようですがね。」
辰巳が教祖の顔に唾を吐く。
「何だか知らねぇけど、やれるもんならやってみろよ。」
強がる辰巳だが、自身を見下ろす清羊のあまりにも冷たい目に思わず背筋が凍った。清羊はすっと立ち上がり、辰巳から離れて言った。
「乱暴なことは嫌いなのですけれど。そうですね、好きにさせていただきます。早速ですが明日、『儀式』を行います。」
「儀式……?」
「神を貴方に乗り移させる儀式ですよ。」
「は?」
「貴方の体を使って、信者と神がより深く繋がることができるのですよ。」
「どういう、」
「どういうことかは、明日になればわかりますよ。」
ではおやすみなさい、そう言い残すと清羊は部屋から去った。窓一つない部屋だったせいか、時間の感覚がなかったが清羊のその言葉でもう夜だということに気がついた。
祭壇に取り残された辰巳、どうにか両腕両足を拘束するベルトを外そうとするがぎちぎちに締められていて外すことはできない。
「くそ、なんなんだよ。」
まずいことになった。清羊が怪しい新興宗教の教祖だということはわかっていたのに、初老の爺さんなんていざとなれば抵抗できるだろうと侮っていた。まさか薬を使うなんて。しかし辰巳は冷静になって考える。先ほどの清羊の様子、殺すつもりはなさそうだ。大人しくしているしかないかもしれない。教会には常にある程度の人が来るし、夜遅くまで毎日開けてきたのだ。訪れた人が異変に気づくだろう。それに日曜日の礼拝の時間になれば一度に何人も訪れる。それまでは刺激しないようにするしかないだろう。
そんなことを考えつつ、辰巳はしばらく寝れないでいた。しかし疲れていたのだろう、そのうち眠りについた。
突然の強烈な明かりで目が覚めた。寝起きの目には凶器で、思わず目を細める。
「さてみなさん、神がお目覚めになったようです。」
0
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜
ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。
高校生×中学生。
1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。
松本先生のハードスパンキング パート1
バンビーノ
BL
中学3年になると、新しい学年主任に松本先生が決まりました。ベテランの男の先生でした。校内でも信頼が厚かったので、受験を控えた大事な時期を松本先生が見ることになったようです。松本先生は理科を教えていました。恰幅のすごくいいどっしりした感じの先生でした。僕は当初、何も気に留めていませんでした。特に生徒に怖がられているわけでもなく、むしろ慕われているくらいで、特別厳しいという噂もありません。ただ生活指導には厳しく、本気で怒ると相当怖いとは誰かが言っていましたが。
初めての理科の授業も、何の波乱もなく終わりました。授業の最後に松本先生は言いました。
「次の授業では理科室で実験をする。必ず待ち針をひとり5本ずつ持ってこい。忘れるなよ」
僕はもともと忘れ物はしない方でした。ただだんだん中学の生活に慣れてきたせいか、だらけてきていたところはあったと思います。僕が忘れ物に気がついたのは二度目の理科の始業ベルが鳴った直後で、ほどなく松本先生が理科室に入ってきました。僕は、あ、いけないとは思いましたが、気楽に考えていました。どうせ忘れたのは大勢いるだろう。確かにその通りで、これでは実験ができないと、松本先生はとても不機嫌そうでした。忘れた生徒はその場に立つように言われ、先生は一人ずつえんま帳にメモしながら、生徒の席の間を歩いて回り始めました。そして僕の前に立った途端、松本先生は急に険しい表情になり、僕を怒鳴りつけました。
「なんだ、その態度は! 早くポケットから手を出せ!」
気が緩んでいたのか、それは僕の癖でもあったのですが、僕は何気なくズボンのポケットに両手を突っ込んでいたのでした。さらにまずいことに、僕は先生に怒鳴られてもポケットからすぐには手を出そうとしませんでした。忘れ物くらいでなぜこんなに怒られなきゃいけないんだろう。それは反抗心というのではなく、目の前の現実が他人事みたいな感じで、先生が何か言ったのも上の空で聞き過ごしてしまいました。すると松本先生はいよいよ怒ったように振り向いて、教卓の方に向かい歩き始めました。ますますまずい。先生はきっと僕がふてくされていると思ったに違いない。松本先生は何か思いついたように、教卓の上に載せてあった理科室の定規を手に取りました。それは実験のときに使う定規で、普通の定規よりずっと厚みがあり、幅も広いがっしりした木製の一メートル定規です。松本先生はその定規で軽く素振りをしてから、半ば独り言のようにつぶやいたのでした。「いまからこれでケツひっぱたくか……」。
森光くんのおっぱい
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
「下手な女子より大きくない?」
そう囁かれていたのは、柔道部・森光の胸だった。
僕はそれが気になりながらも、一度も同じクラスになることなく中学校を卒業し、高校も違う学校に進学。結局、義務教育では彼の胸を手に入れることはできなかった。
しかし大学生になってから彼と意外な接点ができ、意欲が再燃。攻略を神に誓う。
おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話
こじらせた処女
BL
網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。
ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる