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とあるインテリヤクザと不良牧師の交錯

第4話 とある教祖の場合 4

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「‥‥‥っ!!」

「貴方の中に眠っているもっと別の、強大な魅力に気づいたんですよ。」

「はぁ?」

「それを利用しない手はない。貴方自身はまだ気づいていないようですがね。」

辰巳が教祖の顔に唾を吐く。

「何だか知らねぇけど、やれるもんならやってみろよ。」

強がる辰巳だが、自身を見下ろす清羊のあまりにも冷たい目に思わず背筋が凍った。清羊はすっと立ち上がり、辰巳から離れて言った。

「乱暴なことは嫌いなのですけれど。そうですね、好きにさせていただきます。早速ですが明日、『儀式』を行います。」

「儀式……?」

「神を貴方に乗り移させる儀式ですよ。」

「は?」

「貴方の体を使って、信者と神がより深く繋がることができるのですよ。」

「どういう、」

「どういうことかは、明日になればわかりますよ。」

ではおやすみなさい、そう言い残すと清羊は部屋から去った。窓一つない部屋だったせいか、時間の感覚がなかったが清羊のその言葉でもう夜だということに気がついた。

祭壇に取り残された辰巳、どうにか両腕両足を拘束するベルトを外そうとするがぎちぎちに締められていて外すことはできない。

「くそ、なんなんだよ。」

まずいことになった。清羊が怪しい新興宗教の教祖だということはわかっていたのに、初老の爺さんなんていざとなれば抵抗できるだろうと侮っていた。まさか薬を使うなんて。しかし辰巳は冷静になって考える。先ほどの清羊の様子、殺すつもりはなさそうだ。大人しくしているしかないかもしれない。教会には常にある程度の人が来るし、夜遅くまで毎日開けてきたのだ。訪れた人が異変に気づくだろう。それに日曜日の礼拝の時間になれば一度に何人も訪れる。それまでは刺激しないようにするしかないだろう。

そんなことを考えつつ、辰巳はしばらく寝れないでいた。しかし疲れていたのだろう、そのうち眠りについた。

突然の強烈な明かりで目が覚めた。寝起きの目には凶器で、思わず目を細める。

「さてみなさん、神がお目覚めになったようです。」
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