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とあるインテリヤクザと不良牧師の交錯

第4話 とある教祖の場合 3

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ふっと目が覚めると、辺りは真っ暗だった。両手両足は拘束されて、転がされている。それまでの記憶を必死に手繰り寄せ思い出す。教祖が怪しいという予感は的中していたが油断した。

その時パッと色とりどりのまばゆい光が辰巳を照らした。思わず目を細める。見回すと祭壇のようなものの上に乗せられているのがわかった。


そして目の前には、教祖清羊が立っていた。

「てめぇ……。」

「ようこそ、救魂愛我教団へ。」

「何の真似だ。」

「私の当初の目的は、貴方に私の教えが正しいと理解してもらうことでした。」

「教会に来た理由か。」

「ええ、そうすれば貴方のもとに訪れる方々も救魂愛我の精神を理解していただけると思いまして。」

牧師を自分の宗教に取り込んで、訪れる人間ごと信者にしようって寸法か。

「他の牧師さんにも己の間違いに気付き、救魂愛我教団に入信してくださった方も数多くいますよ。」

もともと牧師にこだわりがない辰巳でも「間違い」などと言われるといささか殺意を覚える。

「で、誘拐して来たって訳か。コーヒーに薬盛って。」

「気づいていましたか。」

「女にインターホン押させて、俺が外でてる間にやったんだろ。」

「ええ、でも目的はそれではありません。」

そういうと清羊は祭壇へと上がって来た。

「おいっ、こっち来るな。」

「何度も何度も何度も何度も教会を訪れて、貴方を見定めていました。」

清羊は転がっている辰巳のそばにしゃがみ顔を近づける。反射的に清羊を睨みつける。

「貴方の性格とタイミングを見て布教をするつもりでした。しかしそれは叶いませんでした。」

「どういうことだ。」

「貴方には布教してもわかっていただけない。そう判断しました。意志が強いが、宗教にこだわりがない。そういった人間は染まりにくい。」

「ぁあ?」

「牧師さんが宗教にこだわりがないとはね。」

「じゃあ何が目的だ。」

清羊は不気味な笑みを浮かべたかと思うと辰巳の前髪を引っ掴んで上を向かせる。
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