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とあるインテリヤクザの受難

第4話 とあるインテリヤクザの境遇 3

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「なんですかあんたら?信心しに来たようにゃ見えねーが。」

ずいぶんと態度の悪い牧師だ。

「俺たちはここで待ち合わせをしている。」

そう答えた瞬間、教会の奥から女性が出てきた。自分の母親だろうとすぐに気づいた。どう声をかけよう、と思うまもなく。

「あー!馬谷さーん!待ってましたよ!!うおぉ、大きくなったな!イケメンに育って!」

竜崎に近づいてきて背中をばんばん叩く。

「ちょっ、あの。」

「しかも眼鏡なんかかけてヤクザらしからぬ……。あっ、今はやりの『インテリヤクザ』ってやつ?あはは。」

確かに竜崎が知っている由実は明るくて自由な女性だった。でももうちょっと静かだったような……。近所のおばちゃんと化している。

「あの後俺が竜崎を引き取ったんですよ。」

「あぁ、そうだったの。ご迷惑をかけましたねそれは。」

「全然!それで大学もでて今や一会を任される幹部にまで成長してくれて、由実さんの血が入ってるからですね。とても聡明ですよ。」

「大学!?そりゃまぁ……。」

由実は組を出てからすぐに辰巳という普通の男と結婚し、普通の主婦として生活しているということだった。

馬谷と由実の話が弾んでいるところ、竜崎は何も話せずにいた。


一通りの話が終わって、25年ぶりの再会がお開きになるであろう頃。

「じゃあ、由実さん。今日のところはこれで。また会いましょう。」

「あぁ!ちょっと待って。紹介したい人がいるのよ。」

由実がさっきの牧師の背中を押す。

「これね、私の息子!」

「………………!?!?!?!?」

「ほら、挨拶しなさい!」

牧師が軽く礼をする。

「……てことは、竜崎の兄弟?」

「そう!種違いのね!弟!」

「…………。」

本日最高に言葉の出ない竜崎であった。
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