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とあるインテリヤクザの受難
第2話 とある三兄弟の場合 6
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九条が住むのはこじんまりした古くさいアパートの小さな一室だった。
「お前こんなとこ住んでるのかよ。」
「ほら職業柄すぐに荷物まとめて逃げれるようにしておかないと。」
「…………なるほど。」
九条が詐欺師であることをふとすると忘れてしまう。九条のビジュアルはおよそ詐欺師のような狡猾さを見せないし、年齢も23と若く学生でもおかしくないくらいだ。どうして詐欺師なんかしているのか、たまらなく聞きたかったが深く知るのも危ないので踏みとどまる。
「竜崎さんは?あんなところで座って何してたんですか?あの家ヤクザさんのお家なのであんまり留まってると危ないですよ。敵かと思って撃たれちゃうかも!」
「…………実家だ。」
「……え、あ。そういえば竜崎さんヤクザでしたね。あはははは。」
確かに俺もヤクザらしいとはいえないか。
「じゃあ、早速準備しましょう!今日はいい肉買ってきたんでほんとは一人で食べたいんですけど、竜崎さんは特別ですよ。」
「そりゃどーも。」
ぐつぐつと煮えたぎる鍋。九条がネギをはふはふとほうばっている。
宴の席で食事は済ませているのでお腹はすいていなかったが食べるために来ておいて食べないのもおかしいので肉をつまむ。
こんな小さな部屋で詐欺師とヤクザがすき焼きを食べている。なかなか異常な光景だが、悪くないとか思ったりした。
しばらくして先ほどの疲れからか、竜崎は眠りこけていた。
「自分を襲った相手の家で寝るなんて、油断しすぎですよ。」
すうすうと吐息をたてて寝るその無防備な寝顔に戦意をそがれる。
「まぁ、今日はいいか。信頼してもらうためのご奉仕ってことで。次会ったら覚悟してくださいね、竜崎さん。」
竜崎の寝顔にキスをして、その寝顔をパシャリとカメラにおさめた。
「お前こんなとこ住んでるのかよ。」
「ほら職業柄すぐに荷物まとめて逃げれるようにしておかないと。」
「…………なるほど。」
九条が詐欺師であることをふとすると忘れてしまう。九条のビジュアルはおよそ詐欺師のような狡猾さを見せないし、年齢も23と若く学生でもおかしくないくらいだ。どうして詐欺師なんかしているのか、たまらなく聞きたかったが深く知るのも危ないので踏みとどまる。
「竜崎さんは?あんなところで座って何してたんですか?あの家ヤクザさんのお家なのであんまり留まってると危ないですよ。敵かと思って撃たれちゃうかも!」
「…………実家だ。」
「……え、あ。そういえば竜崎さんヤクザでしたね。あはははは。」
確かに俺もヤクザらしいとはいえないか。
「じゃあ、早速準備しましょう!今日はいい肉買ってきたんでほんとは一人で食べたいんですけど、竜崎さんは特別ですよ。」
「そりゃどーも。」
ぐつぐつと煮えたぎる鍋。九条がネギをはふはふとほうばっている。
宴の席で食事は済ませているのでお腹はすいていなかったが食べるために来ておいて食べないのもおかしいので肉をつまむ。
こんな小さな部屋で詐欺師とヤクザがすき焼きを食べている。なかなか異常な光景だが、悪くないとか思ったりした。
しばらくして先ほどの疲れからか、竜崎は眠りこけていた。
「自分を襲った相手の家で寝るなんて、油断しすぎですよ。」
すうすうと吐息をたてて寝るその無防備な寝顔に戦意をそがれる。
「まぁ、今日はいいか。信頼してもらうためのご奉仕ってことで。次会ったら覚悟してくださいね、竜崎さん。」
竜崎の寝顔にキスをして、その寝顔をパシャリとカメラにおさめた。
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