【完結】インテリヤクザと不良牧師はエロ変態どもに屈しない。

とあるインテリヤクザの受難

第2話 とある三兄弟の場合 ２

　「悠！竜崎が来ているぞ。」

　「わぁ、久しぶり！元気だったか？」

　悠は女顔でいつも優しい笑みを浮かべている。もとい、必要に迫られれば優しい笑みを浮かべる。竜崎とは同い年で幼い頃は何かと比べられていた。いつも勝つのは竜崎の方をだったが。

　「竜崎さん！どうぞ今日はゆっくりしていってください。」

　これは蓮。伊達眼鏡をかけて切れ者のふりをした大したことのない奴。いつも竜崎と勝手に張り合っては足元にも及ばない。

　3人が3人、竜崎とさも仲良さげに話してくる。心中穏やかではないのはわかりきったことだが、公の場ではこうして好青年を見せつけてくる。竜崎も宴の席で雰囲気を壊すような不粋な真似はしたくないのて好都合だった。

　「まあ、お前も飲め。」

　海がグラスを渡してくる。本当は飲みたくなかったが父親の前で断るのも気が引けて、グラスを受け取って飲む。

　「…………！？げほっ、ごほっ、何ですかこれ！？」

　めちゃくちゃ苦い。

　「ははは、フェルネットブランカ。世界一苦いとされている酒だ。普通割って飲むんだが、原液はさすがにきつかったか？」

　周りの者たちも一緒になって笑っている。

　「冗談やめてくださいよ、げほっ。」

　「すまんすまん、ほら水だ。」

　嫌な予感がするような、そんな気がした。



　しばらくして、宴もお開きになる頃。

　「おい、竜崎大丈夫か？」

　幹部の一人が座敷にふせって爆睡する竜崎に声をかける。

　「あー、俺が強い酒飲ませちゃったからですかね。」

　「俺ら竜崎別室に連れてって休ませますよ。」

　「あぁ、頼む。お前ら昔からよく一緒にいたからな。回復するまで休ませてやってくれ。」

　「わかりました、ほら竜崎。立てるか。」

　3人がかりで竜崎を抱える。その顔を見合わせて笑いをこらえながら。