愛の女神様はほくそ笑む 〜転生王子と十人の妃〜

ネコ野疾歩

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第1章 転がり落ちてきた玉座への道と、繰り上がり王太子の嫁取り事情

1-43.拘束椅子って、もはやSMの領域な件

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【BL】モブ騎士×モブ騎士【抜き合いな疑似百合?】
 * * *

 叔母上はこの呪術の仕様を聞いて、連れてくる護衛を二人から三人に増やしたと聞いている。戦える叔母上に対して護衛がこの人数とはどう考えても過剰なのだが、何を考えているのやら。どうせこの世界のろくでもないエロの価値観で生きてきた人間だ、とんでもないことを考えているのは間違いない。

 どうやら、一人は見張り扱いらしい。中央にある鉄格子の鍵を開けると、二人の騎士が中へ入っていく。あれ、叔母上は? と思っていると、見張りの騎士が鍵を再び閉めてしまった。叔母上はこちら側で見学するつもりのようで、俺が座る椅子の後ろ側に回ると、背もたれに腕と顎を乗せてリラックスモードだ。席を譲るか視線を送ると、軽く首を振られたので、このままでいいらしい。ケニーとユハも居心地が悪そうだが、移動されるとそれはそれで貴人用拷問が続いている関係上、問題があるので我慢してもらう。

 中に入った騎士は、一人は何故か幼馴染騎士くんの縄を解いて、もう一人は隅にあった調教用の椅子を引っ張り出していた。事前に打ち合わせはしていたようで、二人がかりで幼馴染騎士くんの騎士服をさっさと脱がしてしまい、調教用の椅子に座らせて拘束してしまった。
 調教用の椅子は、黒い革製のひとり掛けソファーのようになっていて、背もたれの上部両端には革製のベルトが短い鎖でつけられている。こちらは手首用で、足はひじ掛けの両側にある太い革製のベルトで太ももを固定するようだ。個人的所感だが、腕は鎖で繋がれているから多少の遊びがあるし、太ももを固定するということは膝下は自由に動かせるということだ。その微妙に自由があるところに、意地の悪さが透けて見える気がする。

 準備が終わったのか、二人の騎士は拘束椅子の少し後ろにある大きなベッドの前で起立していた。叔母上は、満足げに次の指示を出した。


「さて、お前たち。いつもの遊びをしようじゃないか。ルールも罰もいつも通り、先にイった方が負けだ。――始めろ」
「「はっ」」


 指示に従い、二人の騎士はブーツを脱いでベッドに上がった。そして、性急にディープキスをしてお互いの性感帯を攻めているように見える。あれ? 二人とも雌だと思ったけど、違ったのかな。
 ちなみに、幼馴染騎士くんは急な快感に驚いたのか、ジタバタしている。うん? 何が起きているんだろうか。


「……叔母上、いつもの遊びとは?」
「なあに、ちょっとした射精我慢比べだ。先にイった方が負けで雌役になり、我慢できた方が雄として突っ込む権利を得る。罰として、性交が終わったら私からのお仕置きが待っている。が、何故か私に仕置きされたい奴が多くてな。だから手による自慰は禁止、相手の身体に擦り付ける程度の自慰はOKとしている」
「なんていうか、叔母上も趣味がいいですねぇ……」
「そうだろう? 明らかに遅漏の奴にはハンデを与えているから、毎回割といい勝負になる。予想外の結果に終わることも多く、見ていて愉しいんだ」


 メシーも真似していいぞ? などと戯言を言ってくるが、俺は騎士とか男所帯に行くつもりはないからお断りです。俺の嫁さんたちにもやらせないからね! だからケニー、勉強しないと……とか怖いこと言うのヤメて。

 騎士達は手順でもあるのか、ディープキスしながらお互いの騎士服を脱がせ合っていた。さっき、幼馴染騎士くんの騎士服を簡単に脱がせていたのは、この経験のおかげっぽいな。おかげと言っていいか分からないが、鉄格子の向こうに全裸の男が3人。前世の感覚からすると騎士というガチムチということもあって、むさくるしい。ただ、雌だと思うとちょっと見る目が変わる気がする。まあ、3人とも俺は手を出すつもりはないから、AVでも見ている感覚なんだけども。

 騎士たちは、お互いの身体を触り合っているが、胸と股間だけは避けている。なんていうか、高度な心理戦が始まっていそうで、ちょっとびびる。たかだか抜き合い程度で、こんな真剣になるなんてどうなんだ。まあ、目当ては恐らく叔母上のセックスだろう。お仕置きって言っているが、そういう名目で呼び出して犯しているだけな気がする。
 幼馴染騎士くんは、ぴくぴくと身体を震わせている。呪術はまだ解呪していないから、感度上昇も催淫効果も継続中だ。ここまでくると、ご愁傷様といった感じである。


「お前ら、今日は予定が詰まっているから巻きでやれ。ああ、いいことを思い付いた。二人同時にイった場合は、公平に褒美を取らせてやる」
「「っ!?」」
「さあ、私を楽しませろ。それだけ、褒美を豪華にしてやろう」


 これまた、えげつない提案である。二人とも雌みたいなので、同時にイったら幼馴染騎士くんは二倍三倍の快感の疑似体験をすることになる。ただでさえ、二人に同時に身体をまさぐられているような感覚だろうに、叔母上の提案でどんどん快感が加速してしまうということだ。

 案の定、騎士二人は主の命を正しく受け取り、互いのイチモツを掴んで扱き始めた。お互いに視線でやり取りしていたので、恐らく同時か近いタイミングでイくのではなかろうか。呪術によって、理性を手放しきれないであろう幼馴染騎士くんの精神状態が、敵であるのに心配になるレベルだ。

 二人の荒い息遣いと、既に二度もイっていて敏感になっている男の嬌声が部屋中に響き渡る。うーん、真似したくはないけど叔母上のような性質は見習うべきかもしれない。


「はっ、はあっ、……主様、そろそろ限界です」
「くっ、ぁ……っ、私も、限界が近いです」
「ほう。いい子だ、ひとつ目の褒美をやろう。――イけ」
「「「あぁああぁああああっ」」」


 絶叫ともとれる、3人分の矯正が木霊する。ついでに、ガシャガシャと鎖が暴れる音もしている。
 ……というか、案の定騎士たちは調教済なんだな。叔母上の一言でイけるって、相当だ。
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