愛の女神様はほくそ笑む 〜転生王子と十人の妃〜

ネコ野疾歩

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第1章 転がり落ちてきた玉座への道と、繰り上がり王太子の嫁取り事情

1-42.姫騎士って言っても色々な種類が居るんです

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 ユハを筆頭に我が国の専門家がブラッシュアップした催淫の呪術は、催淫効果に感度上昇、加えて近くにいる同性の快感の疑似体験だ。この呪術がちゃんと効いていれば、幼馴染騎士くんは同性扱いのはずのケニーとユハの2人分の絶頂の疑似体験を味わっているはずだ。少なくとも、彼の履くスラックスの股間部分は漏らしたかのような色が濃くなっている。あまり気にしないようにしていたけど、彼のあげる嬌声からいっても、イったのだろうと思う。
 つまりは、呪術は正常に作用したということで、……嫁達を怒らせてはいけないという証明にもなりました。是非とも家庭円満を希望します!

 戯言はさておき、このまま幼馴染騎士くんを放置して続きをしてもいいんだけど、この先はベッドでやりたいなぁ。この部屋にもベッドはあるけど、幼馴染騎士くんの方の空間にあるんだよね。たぶん、媚薬でおかしくなった罪人扱いの貴人を犯すためだと思うんだけども。……雄だからって、掘られない保証はないのだ。だいたい罪人扱いでこの部屋に来た人は、雄雌関係なく掘られる。罪人扱いの女性がここに来ることは少ない、女性は女性で他の方法が取られることが多いからね。これは男女差別、というより区別というか性質に合わせて効果的な方法をとった結果だと思われる。

 俺が続きをする気がない気配を感じ取ったのか、呼吸を整えたユハが、幼馴染騎士くんを除く俺達3人に浄化魔法を唱えてくれた。魔法も呪術も精通しているユハには、このくらいの簡単な魔法は問題がない。まあ、簡単な魔法だけあって、あとで湯浴みしないとって思う程度の軽い浄化なんだけども。少なくともイった2人にとっては、スラックスの中が綺麗になっただけでもサッパリするだろう。
 俺? イってないから、息子さんが痛いですがナニか?


「お前たち、大丈夫かい? 私の我儘に付き合わせて悪かったね」
「構いません。全ては旦那様の御心のままに」
「ええ、ご主人様のお望み通りに」

「――さて、ホーカンソン公爵家の『欠陥品』殿。ご機嫌はいかがかな?」
「ぁっ……」


 2人に声に出して様子を確認してから、幼馴染騎士くんに声をかける。ほら、一応こういう作戦となった時に被害に遭うのは、雌であるこの2人だからね。気に掛けるのは当然のこと、というより2人のご機嫌は何が何でも損ねたくない。お嫁さんの尻に敷かれること、それが家庭円満の秘訣だとこっそり父上から聞いたしね。数少ない父子の会話の一つがこの薫陶とは、泣けてくるけども!

 先ほども確認したが、幼馴染騎士くんはそれはもう大変なことになっている。感度を無理やり上げてあるはずだから、普通に快感を得たケニーとユハよりも、だいぶキツめの強い快感を覚えさせられたはずだ。しかも2人分を同時に、しかも絶頂もほぼ連続して2人分。その上で、意識が飛んでしまわないように、現状を認識できるだけの意識を繋ぎとめる回復系の魔法も組み込んであるらしいので、もう地獄だっただろう。たぶん、幼馴染騎士くんが可笑しくなるほどではないのは、理性が微かにでも残っているからだと思われる。
 そんなドロドロの状態で、虚ろな目をしていたが、ふと俺達が視界に入ったらしい。悔しげなその表情の奥、瞳にはチリチリとした情欲の色が見え隠れしていた。

 その様子を確認すると、パンパンと手を叩いて合図する。しばし待つと、一人の麗人が三人の騎士と共に入ってきた。顔ごと入り口へ向けると、主従揃って首を垂れて俺の声掛けを待っていた。


「ごきげんよう、叔母上。私の申し出を受けてくださり、嬉しい限りです」
「なに、可愛い甥っ子の為ならお願いを聞くのもやぶさかではない。相手は、騎士だというしな。お前よりも私の方が適任だ、むしろ頼ってくれて嬉しいよ」
「叔母上なら、そう仰ってくださると思っていました。武勇伝は爺から聞かされておりますよ」
「そう言われると照れるが、まあ若気の至りだ。とはいえ、まだまだ現役のつもりだがね」


 マッダレーナ・ヴァッリアーレ。現国王である父上の妹――王妹であり、現在は臣籍降下して公爵家を興した現当主だ。で、俺にとっては叔母という立場の方であり、俺の武術の指南はこの方から受けている。なぜなら、この方は王女時代は姫騎士と名高いほどで、剣技に優れた現役の騎士だからだ。王族とそれに連なる者は、要職の中でもトップには立てない決まりなので、王立騎士団の副団長の位を預かっていると聞いている。まあ、騎士団長は叔母上に心酔しているため、実のところ騎士団は叔母上が支配しているといっても過言ではない。
 ちなみに、他国の貴族がいるので公爵家当主として王太子に目されている俺に礼を取った、というだけで普段はざっくばらんだ。

 叔母上に出張ってもらったのは、俺がまだ14歳で未成年ということもあるが、それ以上に俺のワガママからだ。何で一対一できちんと向かい合って最後まで致したことないのに、公開セックスショーをせねばならんのだ。最初は俺がやることに意味があると言われ、まあ納得したよ? でもケニーやユハとの、実質のハジメテをこんな拷問で済ますつもりはなかった。
 そんな訳で、叔母上に泣きついたら、面白がった叔母上が仕上げを担ってくださることになったのだ。

 ここまでくれば察して貰えると思うが、叔母上は生粋の女の雄だ。特に、前世で言うところの『わからセックス』が大好きな性質で、若かりし頃の騎士団をまとめ上げる時に大変無双されたそうだ。成人してからじゃないと所謂『ふたなり』になる魔術は受けられないのに、そこから腰使いとかブツの扱いとかさっさと把握して、屈強な男どもを組み敷きまくったというのだから恐ろしい。ついでに言えば、この部屋の主と言われるくらい、ここの担当として呼ばれることが多いとも聞いた。……なんであんな影の薄い父上の妹が、こんなにアグレッシブなんだろうか。


「ところで叔母上、あそこに自分を雌と認めない騎士が転がっているのですが。食指はわきますか?」
「ふふっ、お前もなかなか意地が悪いな。私が好んで調教してきた奴らが、どういう性質か知っているだろう」
「なら、後学のために見学させて頂いても?」
「構わん。王族の雄とは、どう振る舞うべきか手本を見せてやろう。なあに、多少早いがお前なら大丈夫だろう。しっかり学びなさい」


 ぼんやりと俺達の会話を聞いていた幼馴染騎士くんは、自分の行く先がなんとなく想像出来たようで、顔をこわばらせていた。とはいえ、身体中がドロドロだし頬は紅潮していて、見ていなければ気付けない程度の小さな変化だったけれど。

 さて、俺と違って叔母上は騎士をよく知っている。俺の行った責め苦の比でないくらい、容赦がないのが目に見えている。まあ、頑張ってくれたまえ。俺はもう、高みの見物をするだけだからな。
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