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第1章 転がり落ちてきた玉座への道と、繰り上がり王太子の嫁取り事情

1-13.君たちにしか許さない愛称だと囁く

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【BL】主人公×健気尽くし系幼馴染【エロ下着、キスのみ】
※始まりそうで始まらない

 * * *

 何故か前世の名作のわんこにまで助けを求めるほど、混乱に陥ったが少し落ち着いてきた。どうやら、王族のずりネタ担当さんは、身近な乳兄弟が担当することになる、と。……そんなの言われなきゃわかるかー! ついでに言えば、その姿を見たいかどうかって別問題だろ! 俺はケネスのオナニーショーは見たいけどな!

 ケネスは頭を抱える俺の姿を見て、おろおろし始めた。ごめんケネス、だがお前も何故教えてくれないんだ。……いや自分からオナニーしますけど見ますか、なんて言える訳がない。ヒントがなくもないのに、気付けなかった俺が……やっぱり気付けるか!


「その、殿下が閨の御供を呼ばれないので、俺は求められていないのかと……」
「まず、閨教育の時、閨の御供は乳兄弟が担当するって聞いた覚えないんだが」
「まあ、本当に担当するかは別ですけども。第十側妃になる可能性もあるから、自慰の練習するよう言われましたし……。仮に閨の御供を呼ばれて、嫌と言われたらどういうタイプを呼ぶかヒアリングする目的もあります。そういう意味でも、第十側妃候補の乳兄弟が都合いいんですよ」
「つまり、呼ばなきゃ始まらなかったと。知らない雌コワイ、って避けてた俺が悪いってことか!」


 つい、と顔を逸らされたので、何で呼んでくれないと不満をため込んでいた模様。そうだよな、第十側妃になってくれと請うた時にお前が雌オナニーめっちゃしてたって、張り型まで使ってるの知っているって言ったもんな、俺。それなのに、何故閨の御供に呼ばれないのかと思うのも分からなくない。だが、そういう不満は声に出してくれ、コミュニケーション大事。

 ふむ、とケネスの横顔を見る。気まずいのか俺の方を見ようとしない。それをいいことに静かに隣に座るケネスの耳まで腕を伸ばし、そうっとそうっと耳朶を撫でる。これはフェザータッチになっているだろうか、それすら分からない童貞だからそこは勘弁してほしい。ただ、びくびくと身体を震わせているように思うので、成功かもしれない。そんなケネスの耳は真っ赤に染まっていて、両手で顔を隠してしまった。あえてその辺はスルーして、ケネスの腰に腕を回し抱き寄せると、耳元で囁いてから、ふぅと息を吹きかけてやった。


「今夜、閨の御供の準備をしろ。お前が来るんだろう? きちんと準備して、必要なもの全部を用意しておけ」


 こくこくと一生懸命に頷いているケネスは、漫画ならぷしゅーっと湯気が出てきそうなほど真っ赤だった。襲わなかった俺を、誰か褒めて欲しい。めっちゃ可愛かった、流石俺の嫁その1。
 ちなみに、襲わなかった理由に、場所が執務室だったからというのも多分にある。別に、執務室は二人きりじゃないからね。護衛の近衛兵もいるし、母上の執事である爺が俺の執事が決まるまで手伝ってくれることになってて部屋の隅で書類片づけてるし。人に見られながらヤる趣味はない、ないったらない。

 夜、色々と終えてあとは就寝だけとなった頃。侍従たちが下がりベッドに腰掛けて待っていると、しばらくしてケネスが来た。が、俺としては許容しかねることがある。


「ケネス、その格好で外を歩いたのか?」
「えっと、似合わなかったでしょうか……?」
「違う、他の者にその姿を見せたのかと聞いている」
「いえ、殿下の部屋にある控室で着替えましたので。爺としか会っておりません」
「……ならいい。言っておくが、お前もう俺の妃なんだからな! そういうの、他の奴に見せるなよ? というか何ならここで着替えてくれ、不安だ」


 ケネスの格好が、どう考えてもエロすぎるのが悪い。ベビードールというやつだろう、キャミソールなのだが前が分かれている。それを大きめのリボンが胸元にあって、おそらくそれが完全に前が開かないようになっているのだろう。で、そのベビードールと揃いのパンティーというべき女性用のような下着をつけていて、エロい。このベビードールは控えめに裾やリボンがレースになっていて、大人カワイイというやつではなかろうか。ついでに言えば、淡い紫色でフリルやリボンは濃いめの上品な紫。どうみても俺の色であり、俺のモノ感がすごい。あと、男のロマン、黒のレースのガーターベルトをつけている。膝上までのストッキングに、留め具が淡い紫色で、……これ用意したのリリーじゃなかろうか? こんなに俺の色を前面に出しているのは、流石のケネスもしないのでは。いや、すごくそそるけど。

 部屋に入って早々に不機嫌な俺にケネスはびくびくしていたが、嫉妬しぃな俺の発言が嬉しかったのか頬を染めている。いや、他の奴にそんな姿を見せるなとは思うけど、こんな面倒くさい発言に喜ぶとかいいのだろうか。まあ、王族の俺がダメと言えば、よほどのことがない限りダメになるし、俺は困らないけれど。


「取り敢えず、いつも通り喋ってくれ。流石に、ここもプライベート扱いでいいだろ。お前も、侍従として来ている訳でもあるまいし」
「分かった。でも、殿下が望んだらお手付きしても大丈夫な侍従や侍女しか、殿下の目に入らないはずだから気をつけろよ」
「え、気が付いたら愛妾わらわら増えてましたパターン? 冗談だろ……」
「まあ、それ狙いの奴はだいたい異動していったよ。だから、殿下の周りは既婚者ばかりだろ?」
「人のこと耳年増にしようとする既婚者ばかりだな。……なぁ、ケネス。その殿下、ってのやめないか? というか、ひとりの時は昔みたいに呼んでくれているんだろう?」


 ぽっ、という音が聞こえそうなほどすぐに赤面したケネスに、にっこりと微笑んでやる。こうすると、俺から圧を感じるのだとか。それこそ、愛称を呼べと強要するのも不本意だし、自主的に愛称を呼んでもらいたい今、活用すべきである。
 もごもごとしていたが、諦めたのかぽつりと零した。


「レーメ様……。本当に呼んでいいのか?」
「プライベートの時は構わない、というか殿下呼びは表だけで十分だろ」
「……だって、リンドフォーシュ様パウリーネだってレーメ様とおっしゃっているじゃないか」
「そりゃ、好きな子にだけ許す愛称だって教えたからな。だいたい、リリー乳母だって母上と同じメシーって方の愛称で呼んでくるだろうに」


 突然へにゃり、と寝室の入口でケネスがへたり込んだ。びっくりして腰が抜けたのだろうか、なんかするんと崩れ落ちてた。慌てて駆け寄ったが、頬を染めて瞳が潤んでて、なんかもう食べてくださいって感じだった。うーん、これもう手を出していいのかなぁ、と思ったけど取り敢えずこんな薄着では冷えてしまう。ケネスを横抱きにして、ベッドに自分が座ると、膝の上に腰を支えながら座らせた。最近のケネスとのスタイルである、接する面積が多いからお気に入りなのだ。
 取り敢えず、腰を支える腕とは反対の手で髪を梳きながら、頬に口づけた。
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