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第1章 転がり落ちてきた玉座への道と、繰り上がり王太子の嫁取り事情

1-11.白い欲望の行方と、幼い異母妹による公開処刑

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【ぼっち】主人公のみ【自慰】
 * * *

 夜、寝室には俺一人であり、本来であれば既に寝ていて可笑しくない時間。もちろん、寝室のさらに外の資質の前には護衛がいるのだろうが、そこまで離れていれば多少の物音はそこまで聞こえないだろう。それをいいことに、声を漏らしながら行為に耽っていた。何を、って自慰だよオナニーだよ、それ以上は許可出てないんだから仕方ないだろ!

 本日のお見合いは概ね成功、ユーハン殿も婚約者に内定となった。これで晴れて、婚約者が3人になったと言っていいだろう。全員、お膳立てされた相手ばかりだが、王族なんだからそんなものだ。学園入ってから、ルールを守れば自分でも選べるらしいし。いや、むしろ綺麗どころばかり俺の周りに集まっていてそれでいいのかなぁとは思うけれども。俺、一応は王子だし刺されないよね?
 ずっとユーハン殿は雄だと思ってたから、生粋の雌であるというギャップにめっちゃ興奮した。思わず高ぶって息子を扱いているけど、あの恥ずかしそうに頬を染めながらも微笑んでくれた、あの顔だけでイケる。あれはエロい、ぶっかけたくなるよね。童貞の俺はエロ雑誌の切り抜き(ラミネート加工済)のえっちぃお姉さんにぶっかけたことしかないけど。いや、今世に転生してからおかずというアレが無いのか、俺が望めばおかずになるエロい女の子がリアルに出てきてしまうというか。10歳の閨教育の時には、目の前で雌がオナニーするのを見て愉しむことは出来ると言われた。たぶん、お手付きしても困らない不妊の魔術はかかっている子なのだろうが、一応建前は手出し禁止、見て指示するだけだそうだ。そんな怖いおかず、抜けないよ! ……婚約者達が、目の前でオナニーショーしてくれたらヤバいかもしれない。実際、ケネスのオナニーは見たけど興奮しすぎて息子が痛かった。
 あ、ヤバい。思い出したからか、エロい妄想が頭に渦巻いてて、限界だ。


「っく、はぁ……っ。……虚しい」


 それとなく侍従たちが用意してくれている端切れで、吐き出した白濁のそれを受け止めて丸める。サイドテーブルの奥の方に隠すように丸めたそれを置いておけば、気が付いた奴がそれとなく捨ててくれるだろう。寝室なんて王族が一番無防備になる場所だから、その辺は信の厚い使用人がやってくれるはず。下手したらコレをケネスが片づける可能性については、全力で見ないフリすることにする。
 うーん、取り敢えず寝よう。あまり考えすぎると眠れなくなってしまう。婚約者、残りあと7人と思うと気が重い。2人は両陛下が紹介してくれるだけ、安心だけども。


「兄上様! 妾を、兄上様の嫁にしてくださいまし!」
「……シェンティス、淑女が寝起きの雄の寝室に入るものじゃない。俺が異母妹いもうとを手折ってしまったら、どうしてくれる」
「既成事実を作る気なのですね! 不肖シェンティス、兄上様のために支度をしてまいります。それとも今すぐをご希望ですか?」
「待て。10歳になったばかりのお前を、どうこうする気はない」


 翌朝、寝起きに異母妹である第三王女シェンティスが突撃してきた。何で、俺の周りは大人しくしてくれていないんだ。

 シェンティス・ルツォ・シェルクヴィスト。4つ下の俺の異母妹であり、第三王女でもある。燃えるように紅い艶やかな髪はなんか三つ編みにして頭に括りつけられてる? 感じだけど、本当はその髪がふわふわとした癖っ毛で、シェンティスが気にしているのを知っている。小さい頃から、母上の離宮に遊びに来ていて、あれはもう母上に半分預けられていたようなものだ。産みの母である王妃陛下は、その頃に第二側妃から正妃へと移行のアレコレもあって、かなり忙しくされていた。その上、リモに決定した異母兄上の教育の進捗確認もあって、目まぐるしかっただろう。だからなのか、シェンティスは実兄である第一王子よりも、異母兄であるはずの俺を兄と慕ってくれている。
 そんなシェンティスは、生粋の雄だ。まあ好みとしては女の雌に傾倒しがちではあったけれど、リモやセドとしても立てるのに、今回の問題が起きても頑なにルツォを希望したと聞いた。そんなに百合ハーレム作りたかったのだろうか。シェンティスが臣籍降下するならば、公爵家を賜る程度の功績は叩き出せるだろうし。騎士になるって言ってたもんなぁ、将来は騎士団長とかその辺りだろう。

 身を起こして、周りを見るが誰一人いやしない。いくら雄同士で異母兄妹とはいえ、二人きりにしないで欲しい。がっくり項垂れる俺に、シェンティスは甲斐甲斐しく水差しからコップに水を入れて差し出してくる。有り難く受け取って一口飲むと、はぁと息を吐いた。


「シェンティス、何がどうしたら嫁だなんだという話になるんだ。お前は、嫁取りの方だろう」
「何をおっしゃいますの、小さな頃から妾は兄上様のお嫁さんになると言っておりますのに」
「小さな頃は、だろう。……なんだ? アガタ殿のように、王族に残る異母兄に嫁いでやりたいことがあるのか?」
「やりたいこと、ですか。……あら?」


 シェンティスが何かに気付いたように、サイドテーブルをごそごそ漁っている。何をしているんだ、と半目で見ていたのだが、そういえば昨晩は……と思い出した。慌てて、止めようかと思ったのだが、間に合わず。使用済の端切れを、シェンティスが握っていた。……ばっちぃから離しなさい、と言えたらいいのだが。なぜばっちぃのか説明しなければならないのかと思うと、死にたくなる。何で、今朝、最初にシェンティスが来たんだ! いつもなら、使用人達が片づけてくれるのに!

 丸まったそれを開いて、首を傾げていたシェンティスは、何かに気付いたようにばっと顔を上げて、走り去っていった。……走り去ってしまった。声をかけあぐねている間に、居なくなってしまった。あの顔は絶対、俺が何をしたか気付いたに違いない。シェンティスは10歳、閨教育もそろそろ終わっているはずだ。

 おおう、最悪過ぎて泣けてきた。兄上様キライ! って言われたらどうしよう。実の妹のようにかわいがってきたのに……、泣いていいだろうか?
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