異世界大使館雑録

あかべこ

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大使館3年目・秋(17部分)

ほろ酔い休暇

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「この半年本当に苦労かけて申し訳なかった」
北の国ご一行様の訪日イベントが終わった次の日、大使からそんな言葉と一緒に小さめの紙袋を貰った。
中身を確認させてもらうと小さな緑の四角い酒瓶が出てきた。確かこれ、前に何かで見た覚えがある。
「これ……お酒ですよね?国産のジン」
「ああ。この半年ずっとバタバタしてたし、アメリカはうっかり新大統領が国内産業保護政策を取る人になったせいでどんな余波が来るか分からないし、この後は選挙で首相交代の可能性があるからまともに息抜きでないだろうからせめて休みの日は酒でも飲んでのんびりして欲しいと思ってな。帰りに百貨店で買ってきた」
「お心遣いありがとうございます」
大使からの心遣いの品を受け取ると、今度の休みはこれをのんびり飲んで過ごそうかと心に決めた。

***

大使館が休みの日の朝、僕は久しぶりに都内まで出ていくつか買い物をして帰ってきた。
「ただいまー、ジョン!」
庭の雑草を食べていたジョンが僕の帰宅に気づいて近寄ってくる。すっかり僕よりも大きくなったが、相変わらず僕のことを愛してくれて可愛い。
ふかふかの敷物の上に腰を下ろすとジョンも横になって僕の専用ヨギボーのようになってくれる。
「今日は朝から匂うかもしれないけど、許してくれる?」
問いかけつつジョンの顔を覗き込むが、本人(本マジロ?)は不思議そうな顔をしている。
買ってきた氷や冷たい炭酸水はクーラーボックスに入れておき、まずは貰い物のジンをミネラルウォーターて割ってみる。
お酒の香りの奥からお茶やみかんの香りがほのかに漂ってきた、確かに日本的なお酒という雰囲気だ。
「じゃ、いただきます」
まずは一口含んでみればその香りが全身を駆け抜け、アルコールの与えてくれる高揚感が朝から僕を幸せにしてくれる。
おつまみとして買ってきた唐揚げも久しぶりに食べたからか、いつも以上に美味しく感じられる。

「……朝からお酒が飲めるって、最高だなぁ」

休日の朝、可愛いジョンと朝からのんびりちょっとお高いお酒を飲む。
それは何物にも変えがたい贅沢な休みの過ごし方だろう。
今日はもう何にもしないでジョンと2人でほろ酔いな休日を過ごすのだ!
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このお話は本編とセットで読むのがおすすめです
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