異世界大使館雑録

あかべこ

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大使館3年目・秋(17部分)

じょいふる・とうきょう

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北の国王家ご一行訪問イベントを終えた東京・上野エリアいつもの賑やかさを取り戻していた。
「やっぱ上野はこういう感じだよねぇ」
「この間来た時はなんとなく緊張感があったしな」
ファンナルとそんな話をしつつ人でごった返すアメ横の一角へと足を伸ばす。
「あ、二木の菓子寄ってこ」
「そうだな、差し入れを買っとこう」
上野では名の知れたお菓子の専門店へ足を踏み入れると、ちょうどポッキーの大安売りがされている。
「これ前にアケノが買ってきてくれたやつだよな?」
「そうそう。あれはお土産用に少し特別な味付けのやつだったけど、これは一般的なやつだね」
ポッキーの日合わせで大量入荷して安売りしてるらしく、ノーマルなポッキーだからあまり嫌いな人も少なさそうだ。
「じゃあ差し入れこれにしようか」
そんな訳でポッキーを箱で一つ取るとなんの躊躇もなくレジへと運んだ。

***

アメ横のとある一角には獣人の露天商が居並び、異世界産の物販(主に小物や民芸品など)が行われている。
行政からの許可を得た露天エリアにはいつも観光客が集まっており、トラブルなどの起きてないかを把握するため時折通うスポットでもあった。
「おつかれさん」
顔馴染みとなった露天商に差し入れのポッキーを渡しながら声をかけると「久しぶりです」と気軽に応じてくれる。
商売の調子やトラブルなどがないかを聞き取るファンナルはなんとなく気が抜けていて、側から見ていて好ましい。
私はポッキーをつまみながらそれを眺めているのが結構好きだった。
これもある意味では仕事なのだろうが、東京に来てるなかで気の抜けた感じを見れる貴重な機会でもあるのだ。
「そうだ、ひとつだけ聞いていい?」
ふと思いつきが口をついた。
「東京は楽しい?」
そんな質問をした2人は「まあまあ楽しいかな」と軽く答えた
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