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大使館2年目・春(9部分)
祈りの返信
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金羊国にも祈りの場所は存在する。
虐げられていた獣人達に自由の大地としてこの地を与えた金羊の女神を祀る神殿があり、西の国からの侵攻開始以来神殿には戦勝や無事を祈る人が押しかけている。
僕ももうすぐ大使館での仕事を離れ、後方支援部隊の仕事に就く。
「アントリ、」
大使館での仕事仲間であるオーロフがふと声をかけてくる。周りにいる人たちはきっと彼の家族なのだろう。
「オーロフ、どうしたの?」
「これから妻達が日本へ避難するからその前に無事をお祈りしに来たんだ」
子供を引き連れたオーロフの妻が「いつも夫がお世話になってます」などと言うので僕も「こちらこそ」と咄嗟に返す。
「オーロフはどこの部隊に?」
「僕は地下道のほうだよ」
戦闘経験のない僕らは直接前線に出ることは無いとは言え、やはり戦地へゆくことは怖い。それでも誰かが戦場へ行かなければこのようやく得た自由な土地を守り抜くことはできない。
「頑張ろうね」「うん」
顔見知りとのささやかな約束をすると、アントリの妻は家族と共に日本へつながる道を目指していく。
「この祈りは叶うよね」
「叶うよ、きっと」
僕もアントリも金羊の女神様の夢を見てここに来たタイプだからわかる、金羊の女神様はせっかく与えてくれたものを簡単に奪うようなお方ではない。
だからこの祈りの返事はきっと戦勝と家族の無事として届くはずだ。
虐げられていた獣人達に自由の大地としてこの地を与えた金羊の女神を祀る神殿があり、西の国からの侵攻開始以来神殿には戦勝や無事を祈る人が押しかけている。
僕ももうすぐ大使館での仕事を離れ、後方支援部隊の仕事に就く。
「アントリ、」
大使館での仕事仲間であるオーロフがふと声をかけてくる。周りにいる人たちはきっと彼の家族なのだろう。
「オーロフ、どうしたの?」
「これから妻達が日本へ避難するからその前に無事をお祈りしに来たんだ」
子供を引き連れたオーロフの妻が「いつも夫がお世話になってます」などと言うので僕も「こちらこそ」と咄嗟に返す。
「オーロフはどこの部隊に?」
「僕は地下道のほうだよ」
戦闘経験のない僕らは直接前線に出ることは無いとは言え、やはり戦地へゆくことは怖い。それでも誰かが戦場へ行かなければこのようやく得た自由な土地を守り抜くことはできない。
「頑張ろうね」「うん」
顔見知りとのささやかな約束をすると、アントリの妻は家族と共に日本へつながる道を目指していく。
「この祈りは叶うよね」
「叶うよ、きっと」
僕もアントリも金羊の女神様の夢を見てここに来たタイプだからわかる、金羊の女神様はせっかく与えてくれたものを簡単に奪うようなお方ではない。
だからこの祈りの返事はきっと戦勝と家族の無事として届くはずだ。
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