45 / 135
大使館2年目・春(9部分)
パスポートを作る
しおりを挟む
「ああそうだ、支社設立までにパスポート作っておいてね」
紅忠での就職が決まってすぐ、俺の上司になる河内さん言われたのがそれだった。
「パスポートは持ってますけど……ビザとかいいんですか?」
「ナリくんビザは知ってたか」
「プロ入り決まった時にお祝いでスペイン行った時にビザの申請で苦労したんで」
「なるほど。ビザに関しては大丈夫、上野の森条約ってニュースで見た?」
「あー、俺今までサッカーのことで精一杯でニュースとかドラマあんまり見てないんですよね」
そう素直に打ち明けると「素直でよろしい」と褒められた。
棚から大きなファイルを取り出すと新聞の切り抜きが貼られたページを見せてくる。
「上野の森条約は大使館が出来る少し前に出来たもので、この条約に加盟した国の人は指名された都市において30日以内の出入国が自由になる。しかも30日以内であれば営利目的……つまり、商売のための出入国も認められてる。ナリくんの場合は商売目的ではあるけど30日以内で指定された指名された都市から出ないだろうからビザなしでの入国が出来るんだよ。まあ金羊国内ではパスポート持ち歩いてる必要はあるけどね。」
確かに俺は朝出て夕方には戻るのを繰り返す予定だからビザがなくても良いのかもしれない。
でも決まった場所からは出られないのかと思うとちょっとつまらない感じがする。
「ちなみに金羊国の場合は第一都市と第二都市のみだが割と大きな街だし仕事で往復する分には充分だと判断した、必要なら私とささが取得したのと同じビザ取得も検討しておくから当座はこれで我慢してもらうよ」
「色々回りたいですけど、まあ諦めます」
「仕事だからねえ」
そう言ってわしゃわしゃと髪を撫でる河内さんに、ちょっとキュンとした。
紅忠での就職が決まってすぐ、俺の上司になる河内さん言われたのがそれだった。
「パスポートは持ってますけど……ビザとかいいんですか?」
「ナリくんビザは知ってたか」
「プロ入り決まった時にお祝いでスペイン行った時にビザの申請で苦労したんで」
「なるほど。ビザに関しては大丈夫、上野の森条約ってニュースで見た?」
「あー、俺今までサッカーのことで精一杯でニュースとかドラマあんまり見てないんですよね」
そう素直に打ち明けると「素直でよろしい」と褒められた。
棚から大きなファイルを取り出すと新聞の切り抜きが貼られたページを見せてくる。
「上野の森条約は大使館が出来る少し前に出来たもので、この条約に加盟した国の人は指名された都市において30日以内の出入国が自由になる。しかも30日以内であれば営利目的……つまり、商売のための出入国も認められてる。ナリくんの場合は商売目的ではあるけど30日以内で指定された指名された都市から出ないだろうからビザなしでの入国が出来るんだよ。まあ金羊国内ではパスポート持ち歩いてる必要はあるけどね。」
確かに俺は朝出て夕方には戻るのを繰り返す予定だからビザがなくても良いのかもしれない。
でも決まった場所からは出られないのかと思うとちょっとつまらない感じがする。
「ちなみに金羊国の場合は第一都市と第二都市のみだが割と大きな街だし仕事で往復する分には充分だと判断した、必要なら私とささが取得したのと同じビザ取得も検討しておくから当座はこれで我慢してもらうよ」
「色々回りたいですけど、まあ諦めます」
「仕事だからねえ」
そう言ってわしゃわしゃと髪を撫でる河内さんに、ちょっとキュンとした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる