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17:大使館と王の来訪
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上野の森から都道をひた走ること30分弱。
「これは……」
「首相官邸、今朝上野で皆様をお出迎えした我が国を取りまとめる人物の住まう邸宅です」
「私邸でのもてなしの割に随分と人がいるが、これは?」
「新聞社やそれと似たような商売をする人たちですね。
少々やかましく思われるかもしれませんが、我が国は庶民が意見を出し合って国を動かす仕組みである関係上、年齢・性別・身分等に関わらず、国政を仔細に知る権利が法律で保障されています。自国のまとめ役である首相が異世界の国王とどのような話をするかを誰もが知るためですので、ご理解ご協力をお願いします」
俺のコメントに面倒臭いなという感情を目元に滲ませる国王に対し、ハルトル宰相は「こういう仕組みも作らないとな」とつぶやいた。
この辺は王政と民主主義という思想の違いが生む支配者層の思考の違いなのだろう。
ハルトル宰相は自らのこともあって民主主義的な国家運営を志向している人だから国民による監督を受け入れるが、北の国は王権神授説に基づいた王政国家であるので無知で素人な国民の監督をむしろ面倒に感じるのだろう。
首相官邸のエントランスホールにへ足を踏み入れると、世界中のメディアを引き連れた現内閣揃い踏みの大歓迎となっていた。
(……今回の件に絶対関係無さそうな特命大臣や復興大臣までいるんだが?)
お互いに挨拶と歓迎を受け入れると、メディアの記者やカメラを引き連れてさっそく大ホールへ移動する。
ふかふかの桜色のじゅうたんと行燈に似た柔らかな光に包まれた広々とした大ボールにはいかにも座り心地の良さそうな椅子と小さな机が並べられており、係員たちの誘導に従って自分の席へと腰を下ろしていく。
主賓である北の国王・ハルトル首相をお誕生日席に、左側に現内閣全員が並び、右側には北の国の貴族一同、その後ろには従者達が用意された椅子に座ることなく背筋をピンと伸ばしたまま立っている(無理せず座って欲しいと伝えてあるが断られていた)
ちなみに俺と木栖は日本側のスタッフとして首相の斜め後ろに椅子を用意してもらっている。
そして主賓と首相に相対する位置には簡易柵を設けてその向こう側からマスメディアがカメラを光らせており、今頃日本中のテレビがこの光景を生中継してることだろう。
北の国の国王がお茶に口をつけるとゆっくり口を開いた。
「まず、この度の歓迎に心からの感謝を申し上げます。
そしてこれからの両国と仲立ちとなる金羊国を含めた3カ国の交友についてゆっくりと話し合えればと思います」
北の国の国王が声を出した瞬間、俺たちを除く日本・地球側の人々から(シャ、シャベッタァァァァ!!!!!)という心の声が聞こえた気がした。
ハルトル宰相のような獣人たちが喋る姿よりはインパクトが薄いが、その口から出てくる言葉が明らかに地球のものではなく異世界のものであることに意味がある。あと日本人から見ると色素薄めの北欧系美男子だしな。
それぞれの国や北の国から同行した各貴族達からの贈り物の交換や、現時点までの日本に対する感想だとかハルトル宰相と北の国の国王についての軽い身の上話など、当たり障りの無い軽い雑談を交わしていると時間は思いの外すぐに過ぎていく。
「そちらの国は一日2食が普通とお伺いしましたが、我々の国では一日3食が基本となります。せっかくですから皆様とお昼ご飯など食べられたらと思って軽食を準備をしたのですが、いかがでしょうか?」
「……入るか?」
ハルトル宰相や連れてきた人達の方を向くと、小腹も空いてるしせっかくなら食べて行こうかという空気が生まれる。
事前に昼飯の話もしておいたので昼食の準備をみんな予想していたのかもしれない。
同意を確認すると首相はニコリと笑って「では、お願いします」と声をかけた。
「これは……」
「首相官邸、今朝上野で皆様をお出迎えした我が国を取りまとめる人物の住まう邸宅です」
「私邸でのもてなしの割に随分と人がいるが、これは?」
「新聞社やそれと似たような商売をする人たちですね。
少々やかましく思われるかもしれませんが、我が国は庶民が意見を出し合って国を動かす仕組みである関係上、年齢・性別・身分等に関わらず、国政を仔細に知る権利が法律で保障されています。自国のまとめ役である首相が異世界の国王とどのような話をするかを誰もが知るためですので、ご理解ご協力をお願いします」
俺のコメントに面倒臭いなという感情を目元に滲ませる国王に対し、ハルトル宰相は「こういう仕組みも作らないとな」とつぶやいた。
この辺は王政と民主主義という思想の違いが生む支配者層の思考の違いなのだろう。
ハルトル宰相は自らのこともあって民主主義的な国家運営を志向している人だから国民による監督を受け入れるが、北の国は王権神授説に基づいた王政国家であるので無知で素人な国民の監督をむしろ面倒に感じるのだろう。
首相官邸のエントランスホールにへ足を踏み入れると、世界中のメディアを引き連れた現内閣揃い踏みの大歓迎となっていた。
(……今回の件に絶対関係無さそうな特命大臣や復興大臣までいるんだが?)
お互いに挨拶と歓迎を受け入れると、メディアの記者やカメラを引き連れてさっそく大ホールへ移動する。
ふかふかの桜色のじゅうたんと行燈に似た柔らかな光に包まれた広々とした大ボールにはいかにも座り心地の良さそうな椅子と小さな机が並べられており、係員たちの誘導に従って自分の席へと腰を下ろしていく。
主賓である北の国王・ハルトル首相をお誕生日席に、左側に現内閣全員が並び、右側には北の国の貴族一同、その後ろには従者達が用意された椅子に座ることなく背筋をピンと伸ばしたまま立っている(無理せず座って欲しいと伝えてあるが断られていた)
ちなみに俺と木栖は日本側のスタッフとして首相の斜め後ろに椅子を用意してもらっている。
そして主賓と首相に相対する位置には簡易柵を設けてその向こう側からマスメディアがカメラを光らせており、今頃日本中のテレビがこの光景を生中継してることだろう。
北の国の国王がお茶に口をつけるとゆっくり口を開いた。
「まず、この度の歓迎に心からの感謝を申し上げます。
そしてこれからの両国と仲立ちとなる金羊国を含めた3カ国の交友についてゆっくりと話し合えればと思います」
北の国の国王が声を出した瞬間、俺たちを除く日本・地球側の人々から(シャ、シャベッタァァァァ!!!!!)という心の声が聞こえた気がした。
ハルトル宰相のような獣人たちが喋る姿よりはインパクトが薄いが、その口から出てくる言葉が明らかに地球のものではなく異世界のものであることに意味がある。あと日本人から見ると色素薄めの北欧系美男子だしな。
それぞれの国や北の国から同行した各貴族達からの贈り物の交換や、現時点までの日本に対する感想だとかハルトル宰相と北の国の国王についての軽い身の上話など、当たり障りの無い軽い雑談を交わしていると時間は思いの外すぐに過ぎていく。
「そちらの国は一日2食が普通とお伺いしましたが、我々の国では一日3食が基本となります。せっかくですから皆様とお昼ご飯など食べられたらと思って軽食を準備をしたのですが、いかがでしょうか?」
「……入るか?」
ハルトル宰相や連れてきた人達の方を向くと、小腹も空いてるしせっかくなら食べて行こうかという空気が生まれる。
事前に昼飯の話もしておいたので昼食の準備をみんな予想していたのかもしれない。
同意を確認すると首相はニコリと笑って「では、お願いします」と声をかけた。
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