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16:大使館とエルダールの島
16-22
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エルダールの民による薬の定期購入が決まると、各方面への送る報告書のまとめに入る。
ある程度の段取りは既にできた状態なので日本側に現状把握の上さっそく動き出してもらえば、俺の仕事はほぼ終わったと言ってもいい。
「国境なき医師団の人たちは冬までこの島に駐在するんだったよな?」
「そうですね、僕らと研究所の人たちは今月末には戻りますが」
いちおう今月末で一度戻る予定も船の提供者であるカウサル女公爵には伝えてあるが、エルダール側にも俺たちの帰国の時期を伝えておく必要がある。
医療廃棄物の回収や次回以降の物資輸送についての取り決めをしてから島を出た後、ヤマンラール商会による定期的な薬と医療物資輸送の話も詰めてから大使館に戻る。あと深大寺も連れて帰らないとな。
「……まだ少し仕事残ってたな?」
「残ってますね」
「とりあえず直近でやるのは医療ごみの分別回収とエルダール側との物資輸送についての最終決定じゃないのか?」
「だな。柊木先生は医療ごみの分別回収お願いしますね」
「わかりました。医療廃棄物の最終処分がこっちで出来ないのは不便ですけど、しょうがないですよね」
今回の治療で出たごみのうち、注射針やゴム手袋のような現地での焼却処分が難しいものは日本に持って行って処分することが最初から決まっていた。
血の付いた注射針や検査薬の廃液の処分は一歩間違えると感染症の蔓延や現地環境汚染に繋がるのでここでは無理だ。
それらの管理は国境なき医師団の専門家に丸投げしていたが、彼らは冬まで現地に駐在しての医療支援が決まっているので地球への持ち帰りは柊木医師や専門家集団にお任せする。
「あとは物資輸送についての取り決めをどうするかだよな、これは俺達だけじゃなくてヤマンラール商会も絡んでくるから確認しながらやらないといけないし……」
「伝書鳩は連れて来てるよな?」
「連れて来た鳩は大使館には戻れるが双海公国には飛ばないぞ、うちで面倒見てる鳩だから自分の巣認定してる場所にしか飛んで行かん」
「それもそうか」
そんな時にふと思い出したのがあの美しい緑のうろこを持ったドラゴンとその主たる少女のことだった。
ちょっとばかし彼女とあの美しいドラゴンにひとっ飛びしてもらい、双海公国側に確認を取ればスムーズに進むだろう。それにいちいちあの大きな船で往復するより効率もよさそうだ。
「確か船乗りたちと一緒に緑色のドラゴンがいたよな?」
「あのドラゴンを伝書鳩にするのか、豪華な使い方だな」
「使えるものは何でも使うさ、木栖の方で交渉してきてくれるか?」
「わかった」
(さ、あと少しだ)
報告書にドラゴンの事も書き足してから、最後に間違いがないか読み返す。
誤字脱字はあったが内容などにとりあえず問題はなさそうだ。
連れて来た鳩たちに報告書をしっかりと括りつけると、鳩たちは己の巣たる金羊国を目指し夏の大空へと飛びだした。
ある程度の段取りは既にできた状態なので日本側に現状把握の上さっそく動き出してもらえば、俺の仕事はほぼ終わったと言ってもいい。
「国境なき医師団の人たちは冬までこの島に駐在するんだったよな?」
「そうですね、僕らと研究所の人たちは今月末には戻りますが」
いちおう今月末で一度戻る予定も船の提供者であるカウサル女公爵には伝えてあるが、エルダール側にも俺たちの帰国の時期を伝えておく必要がある。
医療廃棄物の回収や次回以降の物資輸送についての取り決めをしてから島を出た後、ヤマンラール商会による定期的な薬と医療物資輸送の話も詰めてから大使館に戻る。あと深大寺も連れて帰らないとな。
「……まだ少し仕事残ってたな?」
「残ってますね」
「とりあえず直近でやるのは医療ごみの分別回収とエルダール側との物資輸送についての最終決定じゃないのか?」
「だな。柊木先生は医療ごみの分別回収お願いしますね」
「わかりました。医療廃棄物の最終処分がこっちで出来ないのは不便ですけど、しょうがないですよね」
今回の治療で出たごみのうち、注射針やゴム手袋のような現地での焼却処分が難しいものは日本に持って行って処分することが最初から決まっていた。
血の付いた注射針や検査薬の廃液の処分は一歩間違えると感染症の蔓延や現地環境汚染に繋がるのでここでは無理だ。
それらの管理は国境なき医師団の専門家に丸投げしていたが、彼らは冬まで現地に駐在しての医療支援が決まっているので地球への持ち帰りは柊木医師や専門家集団にお任せする。
「あとは物資輸送についての取り決めをどうするかだよな、これは俺達だけじゃなくてヤマンラール商会も絡んでくるから確認しながらやらないといけないし……」
「伝書鳩は連れて来てるよな?」
「連れて来た鳩は大使館には戻れるが双海公国には飛ばないぞ、うちで面倒見てる鳩だから自分の巣認定してる場所にしか飛んで行かん」
「それもそうか」
そんな時にふと思い出したのがあの美しい緑のうろこを持ったドラゴンとその主たる少女のことだった。
ちょっとばかし彼女とあの美しいドラゴンにひとっ飛びしてもらい、双海公国側に確認を取ればスムーズに進むだろう。それにいちいちあの大きな船で往復するより効率もよさそうだ。
「確か船乗りたちと一緒に緑色のドラゴンがいたよな?」
「あのドラゴンを伝書鳩にするのか、豪華な使い方だな」
「使えるものは何でも使うさ、木栖の方で交渉してきてくれるか?」
「わかった」
(さ、あと少しだ)
報告書にドラゴンの事も書き足してから、最後に間違いがないか読み返す。
誤字脱字はあったが内容などにとりあえず問題はなさそうだ。
連れて来た鳩たちに報告書をしっかりと括りつけると、鳩たちは己の巣たる金羊国を目指し夏の大空へと飛びだした。
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