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12:大使館に新しい風
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お茶を飲みながら自己紹介や自分の経歴などを軽く語り合いながら3人がすんなり馴染めそうで少し安心した。
ベテラン外交官である石薙さんが見聞きした出来事や、深大寺が趣味だと言う楽器を演奏してくれたり、なかなか賑やかな時間になる。
「夏沢ちゃんは三沢で何してたの?」
納村が夏沢にそう話を振ってくる。
「私ですか?私戦闘機パイロット乗りなんですよ」
「戦闘機乗りかー!初めて会った!」
「女の戦闘機乗りは数が少ないですからねえ、どうしても男ばっかりになりがちですし。防府にいた時も男ばっかりで……」
木栖が「防府?」と不思議そうに聞いてくる。
「あ、私空自の航空学生なんで」
「航空学生か、と言うことは最初から戦闘機乗り志望だった感じか?」
「ですね。戦闘機に憧れて自衛官になったんで」
「となると地元に基地があったパターンだな」
「ですね、まあ航空学生になってから勉強きつくて後悔しましたけど。過程終わってからはずっと三沢ですね」
柊木医師も交えて乗っていた戦闘機の話だとか空と陸での訓練の違いだとかで盛り上がりはじめてしまう。
納村は自衛官同士で盛り上がってるなら口を挟まないほうがいいと判断したのか、飯山さんやオーロフと一緒に深大寺の私物だと言うスティールパンを鳴らし始めている。
嘉神は先程から先輩外交官である石薙さんからベテランの経験知を取り入れようとずっと質問攻めである。
みんなが俺を置いて別に盛り上がるのは勝手だがなんとなく寂しい気がしたのをハーブティーで流し込み、ちらりと木栖の方を見ると妙に距離が近い。
どうやら夏沢のスマホを見てるようで夏沢が木栖の身体が触れ合いそうな程身体を寄せている。
「木栖」
名前を呼ぶと2人の身体的距離が一気に離れ視線がこちらに向く。
飼い主に呼ばれた犬のような木栖の真っ直ぐな眼差しが俺の心を満たしてくれる。
「……お前が夏沢に興味無いのは知ってるが不用意に異性の体に触れる程近づくのはやめておけ」
そう言われて納得するものがあったようで夏沢に「悪い」と詫びた。
「私元々距離感近めなんで気にしないでください!」
2人の身体的距離感がちょっと離れたのを見ると少しばかりの満足が湧いてくる。
(そうか、今のは俺の子供じみた嫉妬か)
こいつが好きなのは俺だけでいいと言うしょうもない嫉妬が今の夏沢と木栖の距離感を許さなかったのだ。
理解してしまえば自分にその心の動きが女々しく思えてきた。
自分の手元にはもうお茶もお菓子も無い。俺はこのくらいで退散して仕事に戻ったほうが良さそうだ。
「飲み終わったカップは俺の方で回収しておくから、適当なタイミングで仕事に戻るなり引っ越しの片付けするなりしといてくれよ」
了承の返事を聞きながら席を立つと、木栖が「俺も手伝おう」とついてきた。
オーロフは親指ピアノを片手に仕事に戻らねばとオロオロしていたので「気にしなくていい」返せば、いいのかと不安を匂わせつつも「では、お願いしていいですか」と告げた。
木栖と全員分の空のコップを回収し、台所へ向かう。
その道すがらで「お前があんなふうに俺の名前を呼んでくれて嬉しかった」と木栖が笑いつつ言う。
「あんな風って何だ」
「惚れてる相手にされて嬉しい顔とだけ言っておく」
そんなにあからさまに出てたんだろうか?
疑問は胸の奥に置いておいた。
ベテラン外交官である石薙さんが見聞きした出来事や、深大寺が趣味だと言う楽器を演奏してくれたり、なかなか賑やかな時間になる。
「夏沢ちゃんは三沢で何してたの?」
納村が夏沢にそう話を振ってくる。
「私ですか?私戦闘機パイロット乗りなんですよ」
「戦闘機乗りかー!初めて会った!」
「女の戦闘機乗りは数が少ないですからねえ、どうしても男ばっかりになりがちですし。防府にいた時も男ばっかりで……」
木栖が「防府?」と不思議そうに聞いてくる。
「あ、私空自の航空学生なんで」
「航空学生か、と言うことは最初から戦闘機乗り志望だった感じか?」
「ですね。戦闘機に憧れて自衛官になったんで」
「となると地元に基地があったパターンだな」
「ですね、まあ航空学生になってから勉強きつくて後悔しましたけど。過程終わってからはずっと三沢ですね」
柊木医師も交えて乗っていた戦闘機の話だとか空と陸での訓練の違いだとかで盛り上がりはじめてしまう。
納村は自衛官同士で盛り上がってるなら口を挟まないほうがいいと判断したのか、飯山さんやオーロフと一緒に深大寺の私物だと言うスティールパンを鳴らし始めている。
嘉神は先程から先輩外交官である石薙さんからベテランの経験知を取り入れようとずっと質問攻めである。
みんなが俺を置いて別に盛り上がるのは勝手だがなんとなく寂しい気がしたのをハーブティーで流し込み、ちらりと木栖の方を見ると妙に距離が近い。
どうやら夏沢のスマホを見てるようで夏沢が木栖の身体が触れ合いそうな程身体を寄せている。
「木栖」
名前を呼ぶと2人の身体的距離が一気に離れ視線がこちらに向く。
飼い主に呼ばれた犬のような木栖の真っ直ぐな眼差しが俺の心を満たしてくれる。
「……お前が夏沢に興味無いのは知ってるが不用意に異性の体に触れる程近づくのはやめておけ」
そう言われて納得するものがあったようで夏沢に「悪い」と詫びた。
「私元々距離感近めなんで気にしないでください!」
2人の身体的距離感がちょっと離れたのを見ると少しばかりの満足が湧いてくる。
(そうか、今のは俺の子供じみた嫉妬か)
こいつが好きなのは俺だけでいいと言うしょうもない嫉妬が今の夏沢と木栖の距離感を許さなかったのだ。
理解してしまえば自分にその心の動きが女々しく思えてきた。
自分の手元にはもうお茶もお菓子も無い。俺はこのくらいで退散して仕事に戻ったほうが良さそうだ。
「飲み終わったカップは俺の方で回収しておくから、適当なタイミングで仕事に戻るなり引っ越しの片付けするなりしといてくれよ」
了承の返事を聞きながら席を立つと、木栖が「俺も手伝おう」とついてきた。
オーロフは親指ピアノを片手に仕事に戻らねばとオロオロしていたので「気にしなくていい」返せば、いいのかと不安を匂わせつつも「では、お願いしていいですか」と告げた。
木栖と全員分の空のコップを回収し、台所へ向かう。
その道すがらで「お前があんなふうに俺の名前を呼んでくれて嬉しかった」と木栖が笑いつつ言う。
「あんな風って何だ」
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そんなにあからさまに出てたんだろうか?
疑問は胸の奥に置いておいた。
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