異世界大使館はじめます

あかべこ

文字の大きさ
上 下
138 / 254
11:大使館の騒がしい夏

11-10

しおりを挟む
「抵抗しても無駄だよ。お姉ちゃんより何倍も力が強いんだから」

自分より年下の少女にマウントを取られてる事実に恥ずかしくなった。が、そんなことを思ってる暇じゃない。

何度も力を入れるが全く腕が離れてくれない。私よりも細い指のどこにそんな力があるのかが疑問だ。

「だから無駄だってー。……ちょっとわからせてあげないとね」

エムプーサがちょっとずつ力を入れはじめた。ギリギリと圧迫される痛みが手に伝わってくる。

「――ッッ……ぁ……ぁあ……」

私の何倍もある力で手を握られているという恐怖と痛みで声が出ない。涙も少し出てきた。

「ふふ……お姉ちゃん可愛い……」

エムプーサが私の涙をペロッと舐めた。恥ずかしさで顔が赤くなる。

「甘いね……これなら血も美味しそう」

血も美味しそう。その言葉で赤くなった顔が青くなっていくのが自分でも分かった。

自分の血が段々と無くなっていくのを想像して頭の中が恐怖で支配されてきた。

脚をなんとかジタバタさせる。体重自体はあんまり重くないから、頑張れば払い除けられるはずだ。

「わ、わ、もう……まだ分からないの?」

エムプーサが脚をグッと閉じた。脚がピタッとくっついて圧迫される。脚を動かすことができない。

「抵抗しない方が痛い思いしなくて済むのに……そういえばお姉ちゃんの名前聞いてなかったなぁ」

エムプーサが私の顔に自分の顔を近づけてきた。

「お姉ちゃん名前はなんて言うの?」
「……」

手を握る力が強くなった。握られてる手がミシミシと音を立てる。

「名前は?」
「ッッ……か、花音」
「へー、可愛い名前だね。私もそんな名前が良かったなぁ。エムプーサって名前なんか気持ち悪いし」

抵抗ができない。完全に手玉に取られてる。全く隙がない。ちょっとでも動こうとすれば力を入れられてまた拘束される。

痛い。握られてる手と締め付けられてる太ももが痛い。痛すぎて涙が流れてきた。



「そろそろ小腹空いてきたねぇ」

エムプーサが顔を私の首筋に近づいてきた。体を動かそうとするが、抵抗できない。

「いただきまーす♪」

首筋を噛まれた。皮膚が切り裂かれる痛みと甘く噛まれてる感覚のくすぐったさが頭の中をいっぱいに埋め尽くす。

「ッッ……」

流れてる血をペロペロと舐められ続ける。時にジュルジュルと音を立てて吸われる。エロいように聞こえるがやられるとなんだか気持ち悪い感じがする。

「っつ……ぅぁ……んんッ……やぁ……」

体が震える。なんか変な感じがする。脚も手も動かせない。逃げられない。足の指をパタパタさせるが意味がない。




エムプーサの口が離れた。エムプーサの唾液が糸を引いている。

「最高だよ花音ちゃん……今まで飲んだ血の中で1番美味しいよ……」

うっとりとした顔で私を見つめてくる。口の周りには赤い血が僅かに付着していた。
唇に付いていた血をペロッと舐めとる。

漏れ出ている吐息が私の顔にかかってくる。生暖かい感覚が体を襲ってきてゾワゾワする。

「ねぇねぇ。花音ちゃん私の奴隷にならない?花音ちゃんの美味しすぎて虜になりそうだよ……」
「な、なるわけないでしょ……んんッ」

手をギリギリ握られる。そろそろ手がしびれてきた。

「もしかして花音ちゃん自分に選択権があるとでも思ってるの?本気で?こんな状況で?」

小馬鹿にするようにクスッと笑う。ムカつくが何もできない。そんな自分が恥ずかしい。

「こんな幼女にマウント取られてて恥ずかしくないの?まぁ赤くなってる花音ちゃんも可愛いけど」
「……」
「あれ?もしかして睨んでる?花音ちゃんの顔が可愛くてわかんなかったー」

エムプーサの顔がまた近づいてきた。また血を吸われるのかと思い、目を瞑ってしまった。これ以上恥ずかしい顔を見られたくない。






「――んんッ!?」

いつまでもこない痛みに疑問を覚えて目を開けた瞬間、エムプーサの唇が私の唇に触れた。

まさか初めてのキスが幼女になるとは思わなかった。体を動かそうとするが、全然抵抗させてくれない。

「んふふ……ん、んん」
「……ッッ……んん……ふぁ……」

口の中に舌を入れ込んでくる。なんだかトロッとしててヌメっとしてた。生暖かい感触が口の中を這いずり回ってくる。


ムチュ……クチュ……スチュ……。


周りに生々しい音が響く。AVの撮影ってわけじゃないのに……。なんで……こんなことに……。

握られてる手に力が込められた。痛いはずなのにそれどころじゃないから痛みをあまり感じない。

「ア……あふ……ん……ぁ……」

舌の裏側まで舐め取られる。口の中の唾液が全部すくい取られた。代わりにエムプーサの唾液が口の中全体に擦り付けられる。








ズボッ


「ふぅ!?……うぐ……が……ガフッ……」

喉の奥に何かを突っ込まれた。ずっとキスされたままだから手で突っ込まれたわけじゃない。

何か分からない。何かわからないのにどんどん喉の奥に押し込まれていく。不快感が凄まじい。



「ゲホッッゲホッッ……カホッッ」

ようやく離れてくれた。唇と唇の間に銀色の線が掛かっている。拭き取りたいが、手を握られているので吹けない。

喉に入れられた物を吐き出そうと咳を吐くが、どんどん奥に入っている感覚がする。

「ケ、ケホッッゲホッッ……ハァハァ……な、何入れたの!?」
「んー?なんだろねー?」
「と、とぼけないで」
「んふふーん♪」

私の口から出ている涎を舐め取られた。ビクッと体がはねてしまう。ちょっと声が出てしまった。

「ぁ……ぅ」
「可愛いなー花音ちゃんは……何入れられたのか教えて欲しい?」

コクっと頷く。顔は真っ赤で涙目になってる。場合が場合ならエッチな状況なのに……。

「あーもー!可愛すぎるよ花音ちゃん……可愛いから教えてあげるね。花音ちゃんに入れたのは私のだよ」
「た……卵?」
「そう。あと3日くらいしたら孵化しちゃうかな。よかったね。花音ちゃんお母さんになるよ♪」
「なッッ!?」

体を動かそうとするが、やっぱり動かない。恐怖と嫌悪感で体が気持ち悪くなった。体から血の気が抜ける感覚がする。

「あ、ごめんね。処女だった?まーいーよね。あとで私と本番しちゃおっか?」

暴れようとするがまったく動かない。動かせてくれない。嫌だ。こんな……こんなんで無くなるなんて……。

「ふふふ。絶望してる顔も可愛い……」

おでこにキスをされた。もう何も感じないくらいに絶望してるはずなのに、体がビクッと跳ねてしまった。

こ、こんな……こんなので……。涙がポロポロと流れてきた。声が出てこない。

「ずっとずっと一緒にいようね。私、あなたのことが好きになっちゃった」

ようやく手が離されて、手の力が抜けた。私の手が力なくポソッと地面に落ちる。

エムプーサが私のことをギュッとしてきた。力いっぱいに抱きしめられる。もう何も感じてくれない。

「あー私もほんとに運がいいなぁ。まさか初日にこんな可愛い子を捕まえられるなんてねーー」

ドシュ。












続く
しおりを挟む
気に入ってくださったら番外編も読んでみてください
マシュマロで匿名感想も受け付けています、お返事は近況ボードから。
更新告知Twitter@SPBJdHliaztGpT0
感想 0

あなたにおすすめの小説

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

アレク・プランタン

かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった と‥‥転生となった 剣と魔法が織りなす世界へ チートも特典も何もないまま ただ前世の記憶だけを頼りに 俺は精一杯やってみる 毎日更新中!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

処理中です...