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11:大使館の騒がしい夏
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ある日、ウルヴル魔術官から1通の手紙が渡された。
今週末までに返事が欲しい、という言葉と共に受け取った手紙を開くとハルトル宰相による手書きの招待状であった。
その招待状を熟読しながら少しばかり考え事をしていると、木栖が「どうかしたか?」と聞いて来る。
「今月末に地球への留学生たちを励ますパーティをやるらしいんだが、それに招待された」
留学生たちは秋から地球へ渡り、半年から1年の準備期間を経て地球の学校での勉強を始める。
そうした若者たちを励ます事を目的としたパーティだそうだ。
「パーティか、ハルトル宰相はあまり華美を好まない印象だったがあの人もパーティもするんだな。参加するのか?」
「するつもりはあるんだが、もし可能ならなにかお祝いの品があると嬉しいって書いてあってなぁ」
「お祝いの品か……」
若者たちへのお祝いの品というのがどうも思いつかない。
本来なら少し高めの文房具なんかが良いのだろうが、何十人分と渡すことになるだろうから財布の中身がスカスカになりそうなのだ。
かと言って他に案があるかと言われると何も思いつかない。
「なにかお祝い料理がいいんじゃないか?飯山さんに相談して作って貰えばいい」
「やっぱりそうなるよな。ちなみにパーティにはお前も伴侶として出て貰うぞ」
「別にいいさ。お前の伴侶としての証拠もあるしな」
薬指の指輪を見せびらかしながら満足げに答える木栖を見ていたら何となくムッとしたので「お前も何か贈り物用意したほうがいいと思うぞ?」とだけ言い含めておいた。
大人数にあげられる贈り物という高難易度な問いにお前も頭抱えてろ!
***
さて、参加の旨を伝える手紙を政経宮に戻るウルヴル魔術官に託してしまったので何か考えなくては。
とりあえずお祝い料理が良いだろうと考えた俺は飯山さんに相談してみることにした。
「お祝い料理ですかー……」
「予算は大使館の社交費用として出すから何か考えてもらえるか?」
「日本だったらお赤飯とかお餅なんでしょうけどお赤飯こっちの人にはあんまり好まれなさそうですしね~お餅も餅米持ってこなきゃな~」
そこがお互いネックだったのが、しばらくしていると飯山さんは何か思いついたように口を開いた。
「ローストチキンにしませんか?」
「確かにローストチキンならお祝い事だな」
「味付けの工夫次第でこっちの人の好みに合いますし、内臓系も鳥モツ煮にしたら捨てるとこ無いですしねー」
そんな訳で飯山さんが楽しそうに鶏肉を余す事なく使ったセットの計画を立ててくれた。
ニンニクを効かせたピラフを詰め込んだローストチキンは美味しそうだし、こちらではあまり好まれないモツも甘辛く煮付けて大使館メンツの酒の肴になる予定らしい。
「じゃあ、お任せしますね」
「はーい!あ、あと終わったらでいいので日本に小旅行していいですか?」
「大使館休館のタイミングであればご自由にどうぞ」
今週末までに返事が欲しい、という言葉と共に受け取った手紙を開くとハルトル宰相による手書きの招待状であった。
その招待状を熟読しながら少しばかり考え事をしていると、木栖が「どうかしたか?」と聞いて来る。
「今月末に地球への留学生たちを励ますパーティをやるらしいんだが、それに招待された」
留学生たちは秋から地球へ渡り、半年から1年の準備期間を経て地球の学校での勉強を始める。
そうした若者たちを励ます事を目的としたパーティだそうだ。
「パーティか、ハルトル宰相はあまり華美を好まない印象だったがあの人もパーティもするんだな。参加するのか?」
「するつもりはあるんだが、もし可能ならなにかお祝いの品があると嬉しいって書いてあってなぁ」
「お祝いの品か……」
若者たちへのお祝いの品というのがどうも思いつかない。
本来なら少し高めの文房具なんかが良いのだろうが、何十人分と渡すことになるだろうから財布の中身がスカスカになりそうなのだ。
かと言って他に案があるかと言われると何も思いつかない。
「なにかお祝い料理がいいんじゃないか?飯山さんに相談して作って貰えばいい」
「やっぱりそうなるよな。ちなみにパーティにはお前も伴侶として出て貰うぞ」
「別にいいさ。お前の伴侶としての証拠もあるしな」
薬指の指輪を見せびらかしながら満足げに答える木栖を見ていたら何となくムッとしたので「お前も何か贈り物用意したほうがいいと思うぞ?」とだけ言い含めておいた。
大人数にあげられる贈り物という高難易度な問いにお前も頭抱えてろ!
***
さて、参加の旨を伝える手紙を政経宮に戻るウルヴル魔術官に託してしまったので何か考えなくては。
とりあえずお祝い料理が良いだろうと考えた俺は飯山さんに相談してみることにした。
「お祝い料理ですかー……」
「予算は大使館の社交費用として出すから何か考えてもらえるか?」
「日本だったらお赤飯とかお餅なんでしょうけどお赤飯こっちの人にはあんまり好まれなさそうですしね~お餅も餅米持ってこなきゃな~」
そこがお互いネックだったのが、しばらくしていると飯山さんは何か思いついたように口を開いた。
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「確かにローストチキンならお祝い事だな」
「味付けの工夫次第でこっちの人の好みに合いますし、内臓系も鳥モツ煮にしたら捨てるとこ無いですしねー」
そんな訳で飯山さんが楽しそうに鶏肉を余す事なく使ったセットの計画を立ててくれた。
ニンニクを効かせたピラフを詰め込んだローストチキンは美味しそうだし、こちらではあまり好まれないモツも甘辛く煮付けて大使館メンツの酒の肴になる予定らしい。
「じゃあ、お任せしますね」
「はーい!あ、あと終わったらでいいので日本に小旅行していいですか?」
「大使館休館のタイミングであればご自由にどうぞ」
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