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10:大使館のあとしまつ
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昼飯を食べ終えてお会計をしていると、店の外に数人のマスコミが来ているのに気づいた。
さすがに店内までは侵入できないようだがあんなところにうろついてたら営業妨害じゃないのか?いいのかあれ?などとつらつら余計なことを考え始めてしまう。
そんなことを無視して店に入ってきたのは折笠1尉だ。
「店の前に車を横付けしてあります、終わったらさっさと来てください」
折笠1尉についていく形で店を出るとすかさずマイクが伸びてきて「今回の件についてのコメントを!」「この事態についてどのような責任があるとお考えですか?」という声が飛び交う。
かるい目礼をしつつガン無視して車に乗り込むと、最後に折笠1尉が「処遇等につきましては後日正式発表がありますのでしばらくお待ちください」と大き目の声でマスコミに告げると車のエンジンをかけた。
「なんで普通にチェーン店で飯食ってるんですか」
俺は「なんかすいません」と弱い声しか出せない。
「俺も真柴も久しぶりの日本だ、和食が恋しくてな」
「木栖1佐は相変わらず厄介ごとばっかり呼び込みますね」
「相変わらず、と言うのはアレを言ってるのか?」
「地本にあなたの不倫相手の奥さんが乗り込んできたときのアレです」
この様子だと折笠1尉のなかで木栖のイメージはたぶん不倫トラブルを職場に持ち込んできた馬鹿なんだろう、辛辣になるのも少しわかる気がする。
「あれは既婚者なのを伏せて付き合ってた向こうが悪いんだがな……」
「お前もしかして恋愛運悪いのか?」
「そうかもな、俺が歴代好きになった男の中じゃお前はマシな方かもしれない」
サラッと俺のこと褒めて来るのは何なのだろうか、初恋の人パワーなんだろうか。わからん。
しかし褒められるのは嫌いじゃないので素直に受け取っておくことにした。
「おい、駐日金羊国大使館が声明出してるぞ!」
飯島がそう切り出したので、スマホを見やすい位置に置くと全員の視線がその小さな液晶画面に集中した。
駐日金羊国大使館大使・ロヴィーサが急遽ネット配信で声明を発表したのだ。
要約すると『今回の侵攻において我々の武器取り違えに目をつぶってくれた真柴・木栖両名は我が国の恩人である、したがって金羊国はふたりへの減刑・量刑減軽を希望している』という内容であった。
参考人招致直前のこのタイミングで、可愛らしいうさぎの獣人であるロヴィーサ大使が涙ながらに恩人への感謝と量刑軽減の嘆願を訴えるその映像は世界を駆け回っていくのを俺たちは見つめるしかなかった。
さすがに店内までは侵入できないようだがあんなところにうろついてたら営業妨害じゃないのか?いいのかあれ?などとつらつら余計なことを考え始めてしまう。
そんなことを無視して店に入ってきたのは折笠1尉だ。
「店の前に車を横付けしてあります、終わったらさっさと来てください」
折笠1尉についていく形で店を出るとすかさずマイクが伸びてきて「今回の件についてのコメントを!」「この事態についてどのような責任があるとお考えですか?」という声が飛び交う。
かるい目礼をしつつガン無視して車に乗り込むと、最後に折笠1尉が「処遇等につきましては後日正式発表がありますのでしばらくお待ちください」と大き目の声でマスコミに告げると車のエンジンをかけた。
「なんで普通にチェーン店で飯食ってるんですか」
俺は「なんかすいません」と弱い声しか出せない。
「俺も真柴も久しぶりの日本だ、和食が恋しくてな」
「木栖1佐は相変わらず厄介ごとばっかり呼び込みますね」
「相変わらず、と言うのはアレを言ってるのか?」
「地本にあなたの不倫相手の奥さんが乗り込んできたときのアレです」
この様子だと折笠1尉のなかで木栖のイメージはたぶん不倫トラブルを職場に持ち込んできた馬鹿なんだろう、辛辣になるのも少しわかる気がする。
「あれは既婚者なのを伏せて付き合ってた向こうが悪いんだがな……」
「お前もしかして恋愛運悪いのか?」
「そうかもな、俺が歴代好きになった男の中じゃお前はマシな方かもしれない」
サラッと俺のこと褒めて来るのは何なのだろうか、初恋の人パワーなんだろうか。わからん。
しかし褒められるのは嫌いじゃないので素直に受け取っておくことにした。
「おい、駐日金羊国大使館が声明出してるぞ!」
飯島がそう切り出したので、スマホを見やすい位置に置くと全員の視線がその小さな液晶画面に集中した。
駐日金羊国大使館大使・ロヴィーサが急遽ネット配信で声明を発表したのだ。
要約すると『今回の侵攻において我々の武器取り違えに目をつぶってくれた真柴・木栖両名は我が国の恩人である、したがって金羊国はふたりへの減刑・量刑減軽を希望している』という内容であった。
参考人招致直前のこのタイミングで、可愛らしいうさぎの獣人であるロヴィーサ大使が涙ながらに恩人への感謝と量刑軽減の嘆願を訴えるその映像は世界を駆け回っていくのを俺たちは見つめるしかなかった。
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