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10:大使館のあとしまつ
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西の国からの侵攻を停戦という形で終わらせた金羊国は、静かな夏の訪れが来ていた。
侵攻に疲れた人々は夏の収穫祭に伴う休暇を家族と静かに過ごす人が多く、去年のような賑やかさのないまま収穫祭が終わっていた。
「こちら、お借りしていた武器類と使用した薬莢と弾丸です」
ファンナル隊長が木栖に返してきたのは、侵攻時に彼らに貸していた武器類であった。
ご丁寧に使用した薬莢や弾丸も回収して布袋にまとめてくれているのが恐ろしい。
「……弾まで回収してくれてたのか」
「日本ではこうしているとお伺いしましたし、こちらとしても西に持って行かれて分析されたくないですしね」
体内にめり込んだものや緩衝地帯の向こう側のものは回収し損ねたらしいが、ファンナル隊長とその部下たちの律義さには感謝するほかない。
というか日本でも使用済みの弾丸や薬莢を回収してるというのは初めて聞いたが……そういうものなのだろうか?
「念のため損傷等を確認させてもらう」
そう言って目の粗い布に包まれた武器類を一つ一つ見分していく。
大使館に配備された小火器類のリストと照らし合わせて2人で盗難・紛失がないことを確認し、木栖が損傷なども見分していく。
(改めて見るとここには結構な数が配備されてたんだな?)
拳銃・自動小銃・スナイパーライフルが2丁づつとそこに使われる各種弾薬、さらに催涙弾・発煙筒などの非殺傷性武器も含まれている。
それを全部使いこなせる木栖も木栖だが、危険度不明だからとはいえたかが大使館にこんだけの量を配備してくる防衛省も防衛省である。
(確か飯山さんが猟銃の類も持ってたはずだが……さすがにそれを無断で貸したりはしてないか)
もう一人関係者が増えずに済んだことに感謝しつつ、貸した分が修理できるレベルの損傷で済んだことを確認する。
次に木栖が確認したのは薬莢の袋だった。
「貸し出した分の弾は全部使った感じか」
「そうですね、極力無駄撃ちは抑えていましたが外れるときは外れますから」
「元々1人で使う前提だからな」
大使館の秤で薬莢と弾丸の量を確認すると「7割ぐらい戻ってきた感じだな」とつぶやいた。
「……おふたりは我々の恩人です。もし責任を問われるような事があれば我々からも出来る範囲の手助けをさせてください」
ファンナル隊長が真剣なまなざしでそう告げる。
恐らくこの武器の件で俺たちが防衛省に呼び出されてることを納村に聞いたのだろう、と察すると「お気になさらず」という言葉が口から出てきた。
木栖がそれを継ぐように言葉を付け足す。
「あのような状況下では十分起こりうるミスだからな」
その言葉に口をもごもごさせるファンナル隊長を次の仕事に行くよう促すと「金羊国側からも出来る限りのことはさせていただきます」とだけ告げて帰っていった。
侵攻に疲れた人々は夏の収穫祭に伴う休暇を家族と静かに過ごす人が多く、去年のような賑やかさのないまま収穫祭が終わっていた。
「こちら、お借りしていた武器類と使用した薬莢と弾丸です」
ファンナル隊長が木栖に返してきたのは、侵攻時に彼らに貸していた武器類であった。
ご丁寧に使用した薬莢や弾丸も回収して布袋にまとめてくれているのが恐ろしい。
「……弾まで回収してくれてたのか」
「日本ではこうしているとお伺いしましたし、こちらとしても西に持って行かれて分析されたくないですしね」
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というか日本でも使用済みの弾丸や薬莢を回収してるというのは初めて聞いたが……そういうものなのだろうか?
「念のため損傷等を確認させてもらう」
そう言って目の粗い布に包まれた武器類を一つ一つ見分していく。
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次に木栖が確認したのは薬莢の袋だった。
「貸し出した分の弾は全部使った感じか」
「そうですね、極力無駄撃ちは抑えていましたが外れるときは外れますから」
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恐らくこの武器の件で俺たちが防衛省に呼び出されてることを納村に聞いたのだろう、と察すると「お気になさらず」という言葉が口から出てきた。
木栖がそれを継ぐように言葉を付け足す。
「あのような状況下では十分起こりうるミスだからな」
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