73 / 254
6.5:大使館の小さい秋
6.5-後
しおりを挟む
なんとなく庭に出たらデカいのがもぞもぞしている。
1.5メートルはありそうなデカいのが庭先をもぞもぞしているのでしばらく動けずにいたら、ふいに視線がかみ合った。これは嘉神の飼ってるジョンだ。
「お前デカくなったな」
「ぬー?」
本当にこいつはアルマジロなんだろうかと真剣に悩む大きさである。アルマジロってこんなに大きいのか?
そう言えば夏に出した検査の回答がまだ来ていないがあれはいつ来るのだろうか。
「何してるんですか」
「嘉神、本当にジョンはアルマジロなのか?」
「今月届いた中間報告書お渡ししてないですもんね」
嘉神が口にしたその書類には身に覚えがない、恐らく運搬係になってる納村が飼い主である嘉神に直接得渡したのだろう。
しかしその様子だと本当にジョンはアルマジロでなく別の生き物だったんだろうか?
「あくまで中間報告で確定ではないんですけど、ジョンはアルマジロよりもグリプトドンに近い生き物じゃないかって報告がありました」
「グリプトドン」
全く知らない生き物の名前が出てきたのでおうむ返しで答える。
「地球上ではすでに絶滅してるそうです」
「こいつ絶滅種だったのか」
「推定ですけどね。それで相談なんですけど、ジョンは最悪の場合4メートルを超える可能性があるのでジョンを飼育するスペースを別で用意したいんですが」
「もっとデカくなるのかこいつ……」
4メートルのアルマジロがのしのしと大使館の庭を歩くのを想像すると若干の恐怖すら感じるので、人間と同じぐらいの大きさにして欲しいところである。
「飼育スペースに土地を買うとかするのか?」
「それも検討してます」
一体4メートルの生き物を買うにはどれぐらいの土地がいるのか、想像もつかない。
しかしジョンが雑草や野菜の皮などを食べてくれるので生ごみ処理もだいぶ楽をしてるのも事実なので、定期的に来てもらって雑草駆除をして貰ってもいいかもしれない。
「大使館での飼育が無理だと判断したら個人で土地を買う事になりそうだな、それと帰国後の事も考えたほうがいいぞ」
「わかりました」
ジョンとのんびり散歩する嘉神と別れて自分の部屋に戻る。
……出来るならジョンはもうこれ以上大きくならないで欲しいところである。
1.5メートルはありそうなデカいのが庭先をもぞもぞしているのでしばらく動けずにいたら、ふいに視線がかみ合った。これは嘉神の飼ってるジョンだ。
「お前デカくなったな」
「ぬー?」
本当にこいつはアルマジロなんだろうかと真剣に悩む大きさである。アルマジロってこんなに大きいのか?
そう言えば夏に出した検査の回答がまだ来ていないがあれはいつ来るのだろうか。
「何してるんですか」
「嘉神、本当にジョンはアルマジロなのか?」
「今月届いた中間報告書お渡ししてないですもんね」
嘉神が口にしたその書類には身に覚えがない、恐らく運搬係になってる納村が飼い主である嘉神に直接得渡したのだろう。
しかしその様子だと本当にジョンはアルマジロでなく別の生き物だったんだろうか?
「あくまで中間報告で確定ではないんですけど、ジョンはアルマジロよりもグリプトドンに近い生き物じゃないかって報告がありました」
「グリプトドン」
全く知らない生き物の名前が出てきたのでおうむ返しで答える。
「地球上ではすでに絶滅してるそうです」
「こいつ絶滅種だったのか」
「推定ですけどね。それで相談なんですけど、ジョンは最悪の場合4メートルを超える可能性があるのでジョンを飼育するスペースを別で用意したいんですが」
「もっとデカくなるのかこいつ……」
4メートルのアルマジロがのしのしと大使館の庭を歩くのを想像すると若干の恐怖すら感じるので、人間と同じぐらいの大きさにして欲しいところである。
「飼育スペースに土地を買うとかするのか?」
「それも検討してます」
一体4メートルの生き物を買うにはどれぐらいの土地がいるのか、想像もつかない。
しかしジョンが雑草や野菜の皮などを食べてくれるので生ごみ処理もだいぶ楽をしてるのも事実なので、定期的に来てもらって雑草駆除をして貰ってもいいかもしれない。
「大使館での飼育が無理だと判断したら個人で土地を買う事になりそうだな、それと帰国後の事も考えたほうがいいぞ」
「わかりました」
ジョンとのんびり散歩する嘉神と別れて自分の部屋に戻る。
……出来るならジョンはもうこれ以上大きくならないで欲しいところである。
1
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

異世界転移~治癒師の日常
コリモ
ファンタジー
ある日看護師の真琴は仕事場からの帰り道、地面が陥没する事故に巻き込まれた。しかし、いつまでたっても衝撃が来ない。それどころか自分の下に草の感触が…
こちらでは初投稿です。誤字脱字のご指摘ご感想お願いします
なるだけ1日1話UP以上を目指していますが、用事がある時は間に合わないこともありますご了承ください(2017/12/18)
すいません少し並びを変えております。(2017/12/25)
カリエの過去編を削除して別なお話にしました(2018/01/15)
エドとの話は「気が付いたら異世界領主〜ドラゴンが降り立つ平原を管理なんてムリだよ」にて掲載させてもらっています。(2018/08/19)

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる