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6:大使館に休みはない
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さっそく仕上げられた書類の封筒を納村に預けると、納得のいかなさを全身に漂わせて「追加料金取りますよ」と言った。
「緊急だからな、これで飲み物でも買ってくれていいぞ」
500円玉を1枚握らせるとそれ以上文句を言う気はないらしく「夕飯までには戻ります」と言って書類とともに受け取った。
自分の仕事部屋に戻ると窓をコツコツと叩く鳥がいた。北の国からの原油買取の件を伝える伝書鳩だ。
窓を開けて手紙を受け取った後、水と餌(俺は主にふすまを与えている)を鳩に与えておく。
原油の買取交渉を担うのは宰相第三補佐であるアネッテ・ディ・シェーベイルで、今のところ彼女を中心に進捗的な3人の領主が日本への原油販売に乗り気となっている。
その原油は大使館仲介の元で紅忠が購入し、系列のエネルギー商社で精製と販売を請け負う。
しかしここで問題になっているのは輸送である。
当初は金羊国経由での輸送を検討していたが、政経宮からの反対が出た。
宰相誘拐事件での対応などから信頼できない北の国関係者を入れたくないという意見が出たのだ。
そこで大森林の目前で一度北の国の人間から金羊国の人間へ引き継ぐというのを提案したのだが、今度は輸送効率の問題が出た。
魔術を使うことで1人で樽6つをやすやすと運ぶことができる北の国の人々と、魔術を使えないため1人についき樽2つが限界の金羊国人では輸送効率が悪いという指摘が北の国側から出たのだ。
金羊国と日本を繋ぐ通路でも通ることができる軽トラによる輸送は現地での石油精製が出来ないので難しく、紅忠側など新しい2国間を繋ぐ通路づくりまで提案してきたが国内トップクラスの魔術官を長期で王城から引きはがせないと断られた。
物流については現状ここで話が止まっており進展はない。
今回の手紙は原油にかける関税についての報告だった。
「関税は当座はかけない、か……そのうちかけるんだろうがな」
まずは原油がどの程度買われるかの様子見という事だろうか。
原油販売に乗り出す領主が増えればまた変わるだろうが、そのあたりは未来に持ち越そう。
便せんをめくると北の国からある提案が綴られていた。
「……魔術による北の国国内での原油精製?」
要するに地球で使われている車をこちらに持ち込めないのはこの世界にガソリンが無いからだ。
そこで魔術を使った原油精製を試みたいので技術提供をお願いしたいという事であった。
石油精製自体は世界各地で行われているし、基礎レベルの技術輸出であれば問題ないだろう。
(金羊国側がどう思うかは分からんが国内で原油が見つかってないから使いようがないか……)
北の国と金羊国側が国交を持てば北の国で産出された原油を金羊国で精製して使うという選択肢も生まれるが、これはあくまで仮の話なので置いといて。
「人材とかは紅忠側に振るか」
河内さんは月に1度ほどこちらに来て現地調査や支社の建設進捗を見に来ており、話を振れば動いてくれるはずだ。
そろそろ来る頃合いだろうから後は丸投げさせてもらおう。
窓のほうを見れば餌を食べ切った鳩がクルッポーと鳴いている。
「帰っていいぞ」
そう告げると鳩はバサバサと翼を羽ばたかせて帰っていった。
「緊急だからな、これで飲み物でも買ってくれていいぞ」
500円玉を1枚握らせるとそれ以上文句を言う気はないらしく「夕飯までには戻ります」と言って書類とともに受け取った。
自分の仕事部屋に戻ると窓をコツコツと叩く鳥がいた。北の国からの原油買取の件を伝える伝書鳩だ。
窓を開けて手紙を受け取った後、水と餌(俺は主にふすまを与えている)を鳩に与えておく。
原油の買取交渉を担うのは宰相第三補佐であるアネッテ・ディ・シェーベイルで、今のところ彼女を中心に進捗的な3人の領主が日本への原油販売に乗り気となっている。
その原油は大使館仲介の元で紅忠が購入し、系列のエネルギー商社で精製と販売を請け負う。
しかしここで問題になっているのは輸送である。
当初は金羊国経由での輸送を検討していたが、政経宮からの反対が出た。
宰相誘拐事件での対応などから信頼できない北の国関係者を入れたくないという意見が出たのだ。
そこで大森林の目前で一度北の国の人間から金羊国の人間へ引き継ぐというのを提案したのだが、今度は輸送効率の問題が出た。
魔術を使うことで1人で樽6つをやすやすと運ぶことができる北の国の人々と、魔術を使えないため1人についき樽2つが限界の金羊国人では輸送効率が悪いという指摘が北の国側から出たのだ。
金羊国と日本を繋ぐ通路でも通ることができる軽トラによる輸送は現地での石油精製が出来ないので難しく、紅忠側など新しい2国間を繋ぐ通路づくりまで提案してきたが国内トップクラスの魔術官を長期で王城から引きはがせないと断られた。
物流については現状ここで話が止まっており進展はない。
今回の手紙は原油にかける関税についての報告だった。
「関税は当座はかけない、か……そのうちかけるんだろうがな」
まずは原油がどの程度買われるかの様子見という事だろうか。
原油販売に乗り出す領主が増えればまた変わるだろうが、そのあたりは未来に持ち越そう。
便せんをめくると北の国からある提案が綴られていた。
「……魔術による北の国国内での原油精製?」
要するに地球で使われている車をこちらに持ち込めないのはこの世界にガソリンが無いからだ。
そこで魔術を使った原油精製を試みたいので技術提供をお願いしたいという事であった。
石油精製自体は世界各地で行われているし、基礎レベルの技術輸出であれば問題ないだろう。
(金羊国側がどう思うかは分からんが国内で原油が見つかってないから使いようがないか……)
北の国と金羊国側が国交を持てば北の国で産出された原油を金羊国で精製して使うという選択肢も生まれるが、これはあくまで仮の話なので置いといて。
「人材とかは紅忠側に振るか」
河内さんは月に1度ほどこちらに来て現地調査や支社の建設進捗を見に来ており、話を振れば動いてくれるはずだ。
そろそろ来る頃合いだろうから後は丸投げさせてもらおう。
窓のほうを見れば餌を食べ切った鳩がクルッポーと鳴いている。
「帰っていいぞ」
そう告げると鳩はバサバサと翼を羽ばたかせて帰っていった。
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