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ダンジョンキングのお仕事

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これまでのあらすじ:チートスキルで世界中のダンジョンを安全化する仕事をしてる俺・中村リョウタは自分の所有する旧新宿駅ダンジョンの様子を見に護衛の姫村カズキと徳永さんと一緒にバックヤードへ来ている。
この広い世界に於いてダンジョンのバックヤードに足を踏み入れた冒険者はそう多くない。
いつもはダンジョンの中で戦ってるモンスターが俺に敬礼を向ける様子は普通の冒険者も見ることのない光景だろう、それは一流冒険者であるカズキや徳永さんも同じようで2人とも目を見張っている。
「キングが前回来訪した昨年5月から本日までのデータ集計です」
駅長の制服に身を包んだダンジョンマスターのゴブリンがデータを詰めた小さな魔法石が渡される。
魔法石は魔法的な方法によりあらゆる情報を記録して持ち運べる媒体で、これを読み取りコピーするにははダンジョンキングの権能が必要になる。
「ありがとう。死者は出てないね?」
「はい。王命故」
俺がダンジョンの所有権を保有しているのは緊急時の死人を避けるためだが、日常的にも死人を出さないように運営するように命令を出している。
しかし俺以外のダンジョンでは死亡は珍しくないので、どうせダンジョンでは死なないからと油断して他所のダンジョンで死なれても困る。
そこで導入されたのがデスペナ制度……一度死んでも本人の保有魔力(魔力が少ない人はプラス自分の保有する武器ひとつ)と引き換えに蘇生させてダンジョンの入り口へ送り返すものである。
「4ヶ月前辺りからデスペナ数が増えてない?」
「新しい報酬として追加した魔導書が思いの外人気が出た結果、デスペナの増加になりました」
「そっか、カズキはなんか知ってる?」
急に話を振られたカズキはわたわたしつつ、記憶を掘り起こしてから「あっ」と声を上げた。
「新宿駅で回復の魔導書が入手出来るって話が出てきたのがその時期か」
「回復の魔導書は世界的に需要が高いもんな。入場者を増やすテコ入れにはいいだろうけど……入場者を増やすって事は拡大するのか?」
「はい。旧新宿駅のうちダンジョンとして解放できていない旧京王線ホームのダンジョン改装を進めております」
徳永さんがスマホでサッと外部に情報を送っているのが目の端についた。
警察にとってはダンジョンの範囲拡大って警備エリアの拡大を意味するから把握しておく必要があるらしいもんな。
「解放時期の目安は?」
「来年春を目指しております、キングへの上納魔力を25000から30000へ増やせる見込みです」
「わかった。他のダンジョンとの交流は?」
「先程の回復の魔導書導入のためにキング支配下のダンジョンから魔導書製本機を借りることが出来ました」
ダンジョンを複数所有するとこういう風に他所のダンジョンの報酬を導入したり出来るらしく、これもダンジョンを沢山所有する事の大きなメリットとされている。
「後はなさそうだね?」
「ございません」
念のためダンジョンキングの権能でザッとダンジョン内部のスキャンを行い、嘘をついていないことを確認する。
ごく稀にダンジョンマスターが俺に対して嘘をつく場合があって、その場合は人間に敵意があると判断してダンジョンキングの権能で俺が経営権を強制奪取して新しいマスターが育てつつ直接運営する事になる。
そんなめんどくさい事したくないのでチェックは大事なのだ。
「じゃあ大丈夫そうだな。カズキ、徳永さん。ぼちぼち帰ろうか」
「え、もっと見たいんだけど」
「他のダンジョンの視察も行くのか?」
「うん。久しぶりの日本だしね」
そんな訳で俺はのんびりとダンジョンを出ていくのであった。
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