不思議倶楽部

勝研

文字の大きさ
上 下
7 / 12

不思議倶楽部_宮澤遥_A6

しおりを挟む
夢見が差し出す飲み物を飲む、味は悪くない。〈アレ〉の次の材料は〈胃液〉なのだから調理をした人間を誉めなくてはならない。

「嘔吐ばかりしていると夢見の喉が荒れるかもしれない、、やっぱり夢見の形の良さそうなオッパイをチュッチュッさせてもらおうかしら、、。」

夢見は笑う、冗談だと思っているのだろう半分本気だったのに少し残念。 夢見には私が元気であるとアピールしなければならない、でなければ優しい彼女は行った責任に押し潰されてしまうだろう。私が治療を無駄と思いながら付き合っている理由はこれだ。彼等には〈治療をした・万全を尽くした〉という割り切りが必要なのだ、それが私が死んだ時に彼らの罪悪感を少しでも軽く出来る方法なのだから。

「そうね、夢見には公平君がいるものね。どう、あれから進展はしたのかしら。」

夢見は困った顔をする、だが目は嬉しそうだ。夢見の好きな話は流行しているファッションや美味しいスイーツ、まして男性アイドルグループの話ではなく、ゴリラ男の話題なのだ(ハッキリ言って私にとって一番価値のない話でもある)。

夢見はゴリラ男の愚痴をいう。休日はダラダラしてゲームをして全く勉強をしないとか、早起きして作ってあげた手作りのお弁当を残すとか、ものを出したら片付けずに大量にそのまま放置するとか、可愛い女の子と友達になって俺に紹介しろとか、、要するにノロケ話をする。

だが進展は無かったらしい。

「何もないのね。でも夢見、あの男は死ぬ可能性を十分承知した上で、夢見にキスをしたわ。これはなかなかに出来ることではない、口はいくらでも滑らかに動く、でも真実を含む行動だけはそうはいかない。命の比重が重ければ尚のこと。」

夢見は頬を紅くして同意する。自分が誉められている気がするのだろう。私がもしあのゴリラ男と同じ立場なら、あんなことが出来ただろうか?キスだけのために命を賭けるなんて、軽い嫉妬を覚える。

「少なくとも今の時点で彼の夢見に対する思いは、命と同程度あるということ。夢見は真面目だから彼の事を押さえつける、でもこのままでは彼はバネのように反発して何処かへ跳んでいくわよ。」

夢見の顔が曇る、ゴリラ男が私に告白したことを思い出しているのだろう。可哀想だ、、本当は敵に塩を送りたくはないのだけれど、慰めた方がいいかしら。

「、、バネには色々な特性があるわ。手で押さえつけただけでは大きく跳び上がる、だけどバネ単体で存在することは少ない。実際バネを固め周りを固定すればある方向にだけ反発するように出来る、実は扱いやすいものなのよ。」

夢見は直ぐに理解したようだった。もっと例え話を難しくすれば良かったかしら。

「もっと公平の周りの人と仲良くしてみます、外堀から埋めろですね。」

夢見の方がゴリラ男より魅力がある。全てが彼女に味方してゴリラ男に反発すれば、両手を広げて待ち構えている彼女に飛び付くはずだ。、、まぁ変態の行動など読めはしないのだけど。

「あの、、今日も食べますか?」

「そうね、、頂こうかしら。」

人肉を食べているのに奇病の進行は止まらず、現在では歩くことも出来なくなっている、足は半分真っ白で動かすことも出来ない。手はうっすらと白くなり辛うじて動かせるが今日中には完全に動かせなくなるだろう。夢見が部屋を出た後、溜め息を一つ。

そんなときにゴリラ男が寝室に入ってくる。ゴリラ男は治療が早かったからか、いつもと変わらないままだった。それとも表面だけで、徐々に内側から蝕んでいる途中ということも考えられる。

「うぃす先輩。元気してますか?」

夢見と話していたまでは元気だったが、たった凄く頭が痛くなったわ。

「ゲームやりませんか?別荘にチェスがあったんです。はははっとう!」

トタタ。

「ちょっ、、いいわよ!」

「遠慮なさらず!ねぇねぇ。」

バシン、ガゴ。

面倒になったのでゴリラ男の腕を払うと折り畳み式の硬いのチェス盤が私の膝に落ちる。

「痛いわね、ゲームなんてやる気はないわ。早く片付けて。」

「食人鬼なのに痛いんですか?」

「痛みに関しては鈍いけど感覚はあるわよ。ああっ、早く退けて。」

叱られたからか、それ以降ゴリラ男は難しい顔の椅子に腰掛けてまま黙っていた。話し掛けてもこない、只時々好きな食べ物とか食人鬼の事、そして体の状態を聞いてくる。心配なのは分かるけど、私としては疲れるだけだった。

そして、首をかしげながら退出した。何がしたかったの君は?本当にチェスがしたかっただけなの?!



時が経つ。


ベットに座ったままの姿になった。ちょっと間抜けな姿、笑いたいけど石の皮膚が邪魔で上手く笑えないし、呼吸は肺が圧迫されて呼吸をする度に痛い。動かせるのは目や口の中だけだ。夢見が寝室のドアをノックして入ってくる。

「ご飯ですよ、遥先輩入りますね。」

そう言って部屋に入り、窓を開けて換気する。

もちろん別荘の各部屋にはエアコンが設置されていて、窓を開けずに換気することも出来る。夢見が窓を開けて換気したのは少し薄暗い部屋の雰囲気を変えたいのと、私にリフレッシュしてほしいからだろう。


そして私の近場に座りスプーンで液状の食べ物を掬い私の口に運ぶ。ゆっくり正確に、むせないよう一口ずつ私の目を見ながら、大変な作業だろう。

食事が終わると口の周りをナプキンで拭いて、会話を楽しむ。話すのは夢見だけだが、別荘に来るまでの話、そこで出会った人の良い老夫婦の話、昔に起こった不思議な体験、別荘での近況報告など私は目で合図を送りながら会話を楽しんだ。目の動きが遅くなると夢見はすまなそうに。

「疲れましたね、話ができて楽しかったです。ありがとうございました先輩。30分後にまた来ます、、トイレはその時で、、」

といって千羽鶴×2の位置を入れ替え退出する。私は千羽鶴をみて、綺麗な鶴の中、時々見える不格好な鶴を楽しんだ。

例によって、音を殺して誰かが寝室に入ってくる。ノックをしない人間など一人しかいない。ゆっくりと死角から近付いてきて、いきなり横から顔をバアと現した。

「驚きました?!なはははっ、!えっ無視。えー聞こえてます?ハルカ先輩~。お~い!!」

肯定の合図。

「無表情でわかんぇッス、オーイき・こ・え・ま・す・か?!!」

肯定の合図!

「目が動いてる、、そういえば夢見が肯定の時は目を上下するって言っていたな、、そうですか?」

肯定の合図。

「分かる分かりますよ。でも何で聞こえてるんだろ、、なるほど鼓膜は石だけど、、フムフム。」

私も考えていたことを口にする。何故聞こえるのか、内側より外側の方が進行が早いのだ。

「先輩ちょっと体調べさせてもらっていいッスかね。」

体を、、裸にされ、、しかも隅々まで調べられそうだ。途中合図に気付きそうにもない、、だが今私はなにも出来ない状態だし、夢見は体力的にも精神的にも疲弊して調べる余力がない、助かる可能性に賭けるかそれとも、このゴリラ男を信じるか。私は助かりたいのか?それとも潔く綺麗に死にたいのか?

、、、

最悪だ、こんな男に頼らざるを得ない程に死に対する恐怖が大きいなものだったのか、、

肯定の合図。

「良いんですね、よし。下心はないがよし!!」

と言って、包帯が巻かれていない左腕を上手く使い服を脱がし、私の体を触る、軽く叩く、尖ったもので刺す、耳を当て胸から腹部までの間を何往復もした。ゴリラ男は私の体を隈無く調べた、夢見が聞いたら怒るような場所もだ、最悪だ!もし治ったら夢見に言い付けてやろう。

「やっぱりだ、もしかしたらいけるかもしれない。ハルカ先輩ごちそ、、ありがとうございました!!」

そのあとハルカ先輩のお陰で男になれたとほざいていた、冗談なのか?いやゴリラ男の場合は違う、地獄に堕ちて欲しい。


そして私は思考するだけの石になった。

目は濁って見える、音も小さくは聞こえるがそれだけだ。

うっすらと声が聞こえる。集中すれば声は聞こえるはず。

「どうし、、せんぱい、、、いしに」

「心音は微かに聞こえるし、呼吸もしている。まだ生きている証拠だ。」

ゴリラ男、正解よ。呼吸の度に骨が軋むけどね。後あの件は赦さないわよ。

「でもこれじゃあ、食べ物も、、先輩が食べる食料もないし、、それに排泄だって、、」

確かにこの状態長く持ちそうにないわね。

「俺は先輩が、石になる経過を見てきたが少し疑問があった。薬は聞いているかどうかは分からなかったけどな。」

「疑問?」

「手足が石になった先輩の見舞いに来たとき、チェス盤を先輩の膝に落としたんだ。そしたら痛いってさ。」

そういうこと、、確かに疑問だけど、、

「公平分かるように説明して、そりゃあ足の膝にチェス盤が落ちたらいたいわよ、だって木で出来て━━あっそうか。」

「そうまず奇病になったとき、感覚が無くなるんだ、そして体が動かなくなる。なのに先輩は石になっても痛みを感じていた、いや感覚があった。これってもしかしたら、病気が小康状態で、、いや治りかけていたんじゃないか?」

「遥先輩は何らかの理由で表面だけ奇病が進行していた。」

「ああっ、これってさ【コンクリート別荘殺人事件】にも繋がらないか?つまり〈コンクリートの様なもので体を固められた〉つまりは表面の皮膚の部分が石化するんだ。内蔵や筋肉はそのままで。」

「確かに表面だけでも体は動かなくなるかな。食人鬼でも人間と体の構造は一緒だと思うし、、」

つまりは硬い皮膚という殻を破れば、もしかしたら。

「よし!なら先輩を地下の倉庫に連れていこう、あそこには工具がたくさんあったし、水を掛ければ多少石を脆く出来るかもしれない。」

そこからが大変だった、二人で石になった私を運ぶのは大変な作業だろう。夢見は文句すら言わずに黙々と運んでいたがゴリラ男は事あるごとに休憩を求めた。夢見も一人では流石に運べないので渋々付き合う。そして一時間後にようやく地下に到着した。

「公平は出ていって、流石に服を脱がさなきゃいけないし。」

「だけど、、いや俺は先輩の裸を見たいわけではなく、本当に見たくなくて、見たくない、見たくない、見たくないな~。ホントだって、俺の綺麗に澄んだ目を見てみろよ。」

私が見ても濁りきっている目に、夢見の目が光る。とても目が怖いわ、、夢見。

「公平。覗いたら、、殺すから!背中でも半殺し、お尻は全殺し、胸なら魂まで消滅させて私も死ぬから!!」

「いや、、あははっ。」

ゴリラ男は誤魔化すように笑う、何とかしてこの場にいる理由を探しているようだ。夢見は錐とハンマーを両手によいしょと持った。

「、、なにまだいるの?なんでいるのかな?私言ったよ〈出ていって〉ってあれ?覗きたいの、公平は、先輩の裸を、、確かにスタイル良いもんね、、胸大きい方が良いもんね、、私、、胸小さいし、、公平のエッチな本、、全部、、巨乳ものだしね、、あははは、、ははは、、ふふっ。」

ブンブンブン。何故かハンマーを素振りする夢見。

「失礼しましたぁ~。」

、、これはあの件は言わない方が良いかも知るないわね。

バタン。

公平の出て行ったドアを凝視して沈黙していた夢見が振り返る、。

「さぁ先輩、ちょっと痛いかも知れませんが我慢してくださいね。石と体の境目を見るために目立たない部分から削りますから。」

いつもと変わらない夢見の笑顔、、先程までとは別人。夢見は怒らせない方が良いわね、、本当に。



ジャワワワ~。

カキィカキィカキィ。

渇いた石を削る音が聞こえる。水で柔らかくというよりは粉塵のようなモノを出さない為に私に水を掛けているようだった。

カチン。

「取れた。」

夢見は剥がれた石化した部分を拾い、私の体も見る。

「石の部分の厚さはあまりないみたい、、でも硬い、、皮膚が高質化してるのかな?、、剥がれた所は赤くなっていて新しい皮膚が形成されているみたいだけど、、」

ものすごく手間が掛かる作業だ。私の体を傷付けずに石の部分を取り除く。ゴリラ男なら数分で飽きる作業を永遠と2時間はやっている。今ようやく右手が終わろうとしていた。

「先輩、間接動かせますか?」

右腕を動かしてみる。

ミシミシ。

イタタ、皮が引っ張られて激痛が走る。

「結構動かせますね。本当は頭の部分をやりたいのですが、やはり顔は失敗出来ませんし、、最後でいいですか?」

ミシミシ。

「良いってことですよね。有難うございます。」

カチィカチィと音を立てて作業を再開する夢見。

淡々と。

黙々と。

誰かを助けるために。

自分を犠牲にして。

「先輩、もう少しですから、、はぁ、、はぁ、、」

大量の汗を腕で拭う。地下は簡単な換気で出来るだけでかなりの温度と湿度が高い、何時間も続ければ倒れることもあるだろう。

、、夢見、、

私は勘違いをしていた。

夢見が素晴らしいのは容姿ではなかった。

そこばかりに目がいっていた、今はそれがすごく恥ずかしい。

彼女が素晴らしい点はそこではない、純粋で慈愛に満ち、力強く一途。高潔な魂そのものが彼女の魅力なのだ。

ああっ夢見、私は貴方をますます好きになってしまったわ。



7時間程だろうか、食事や水も飲まず続けていた作業は終わった。多少目は濁っていて耳は遠いいけど、直治るだろう。夢見は疲れきった表情で私を見る。

「、、どうですか?体は、、多少赤くなっていますが、、」

「ええっまぁ少し日焼けしている感じかしら、違和感はあまりないわね。ありがとう夢見、貴方のお陰よ。」

「そんな、、あの、、これで前を、、」

私は夢見から手渡されたタオルを手に取ると、体に巻き付けて部屋を出る。ドアの近くには人の気配があった、多分ゴリラ男。

「ハルカ先輩~ぃ。良かったぁ~。」

ゴリラ男がいきなり抱きつこうと飛び付いてくる。私はそれを軽く避ける、そしてゴリラ男は勢いそのままに夢見に抱き付く。

真っ赤になり驚いた表情の夢見だったが、公平が直前にいった言葉を思い出し、顔を引き吊せた。夢見の説教は一時間続いた、最後にゴリラ男の特技である〈アクロバティック土下座〉でその場はようやく収まったのだった。

疲れきった夢見が起きるのを待って、最後に全員で食事をすることになった。ゴリラ男が事前に買ってきていたハムスターで奇病自体のキャリアになっていないかを調べる。

私とゴリラ男は白だった。しかし、いつどうなるのかは分からない為に今後も何かしらの対策をした方が良いかもしれない。


「「乾杯!!」」

全員で残り物全てを使った豪華な食事を食べる。ほとんどが夢見で私も多少手伝った。夢見はやはり料理が得意な様だった。

テーブルで向き合い、二人に話し掛ける。

「今回は本当にごめんなさい、全面的に私が悪いわ。これは謝罪だけではすまない問題だと思う。なにかお礼、、いえ要求を言って、それで帳消しにしてほしいの。」

夢見はもう許しているし、そんなものは必要ないと言ったけど。私の心の問題だという気迫に押され、渋々了承した。ゴリラ男は考える事もせずにホクホク顔で頷く、鼻の下が伸びてほほが真っ赤、、発情期かしら、、このゴリラ。

私はゴリラ男に魔法の言葉を言う。

「公平君は決まっているわよね。あの件を忘れてください、でしょ?」

「?!!!」

固まるゴリラ男に夢見は疑惑の目を向ける。

「なに?あの件って??」

「あっ、ゴフンゴフン。んんっ。」

ゴリラ男の顔を見るために夢見は顔を近付けるが、明後日の方向を見てやり過ごすゴリラ男。

「ああっ、そんな、、まぁ、、人助けの事だ。」

「人助けを、、忘れる??んんっ???」

「結果的には不幸な行き違いが合っただけだ、、んんっ、、あーハラヘッタ!イッパイクウゾー。」

ガツガツガツ、ガツガツガツ。

食べている間は話さなくて良いと気が付いたのか、一心不乱に食事を食べる。

「夢見は何?言ってみて?」

夢見は少し考える。

「そうですね。では大事なお願いがありますー

夢見の願いそれは、、。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

コドク 〜ミドウとクロ〜

藤井ことなり
キャラ文芸
 刑事課黒田班に配属されて数ヶ月経ったある日、マキこと牧里子巡査は[ミドウ案件]という言葉を知る。  それはTMS探偵事務所のミドウこと、西御堂あずらが関係する事件のことだった。  ミドウはマキの上司であるクロこと黒田誠悟とは元同僚で上司と部下の関係。  警察を辞め探偵になったミドウは事件を掘り起こして、あとは警察に任せるという厄介な人物となっていた。  事件で関わってしまったマキは、その後お目付け役としてミドウと行動を共にする[ミドウ番]となってしまい、黒田班として刑事でありながらミドウのパートナーとして事件に関わっていく。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

青い祈り

速水静香
キャラ文芸
 私は、真っ白な部屋で目覚めた。  自分が誰なのか、なぜここにいるのか、まるで何も思い出せない。  ただ、鏡に映る青い髪の少女――。  それが私だということだけは確かな事実だった。

百合系サキュバス達に一目惚れされた

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...