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俺の本気
しおりを挟む「俺の本気を見せてやるよ」
身体を確かめる。傷は光に包まれて治っていく。
レベルアップの回復とは違う。ゆっくりと傷が癒えていくのがわかる。
これは回復の術か?
体は悲鳴上げている。得体の知れない力が体中を駆け巡る。
レベルアップとは違い、存在としての次元を超えた感覚だ。
武器は無い、さっきの赤鬼の攻撃で遠くに飛んでいった。
無いなら作れ。今ならいける。
手に力を集中する。イメージは剣。
力が形になる。ガラス細工の様な剣が右手に誕生した。
目の前にいた赤鬼は我に返って俺に襲いかかろうとした。
鉄棒が迫る。突きが来た。
俺は落ち着いて赤鬼の鉄棒を片手で受け止める。
同時に俺は、ピンクうさぎに追撃しようとした赤鬼にガラスの剣を投げつける。
30メートルの距離が一瞬で埋まる。
剣は空気を切り裂く悲鳴を上げて赤鬼の腹にインパクトする。
腹から爆散する赤鬼。即死した。
(なんだこの力は……)
うさぎは意識が無いのか動かない。
もう一匹がうさぎに襲いかかろうとしている。
(待ってろ……)
片手で鉄棒を押さえた赤鬼の方を見ずに、手刀を振るう。
首が落ちるのを確認せずに凄まじい速度でうさぎのところへ向かう。
うさぎに襲いかかろうとした赤鬼に飛び蹴りを頭に加える。
弾丸の様に吹き飛んで行く赤鬼。
校舎を破壊しながらやっと止まる赤鬼。首があらぬ方向に向いている、身体がぐちゃぐちゃだ。
「3匹完了……」
残りの7匹も異変に気づきこっちに向かって来た……今まで遊んでやがったな……
アイツと戦う前にうさぎをどうにかしなきゃな……
うさぎの側に向かう。良かった、まだ息はあるな……
俺は自分の身体を治した力をうさぎに使ってみた。
温かいモノを手に感じ取ってそれをうさぎへ譲渡する。
ウサギの身体から淡い光が発生する。
よし!
うさぎはゆっくりと目を開けた。
「きゅ……」
まだ苦しそうで弱々しく泣いている。
うさぎの頭を撫でつつ俺は言った。
「後は俺に任せろ。寝て起きたら終わってる」
「きゅ~……。」
赤鬼が迫ってくる。
うさぎを左手で抱えて戦闘に入った。
7匹の赤鬼は散開した。2匹、2匹、3匹のパーティーを作り連携をしつつ俺に襲いかかって来ようとしている。
俺は右手に生成したガラスの剣を構える。左手で抱えるうさぎ。
赤鬼たちは俺を異様なモノを見る目で警戒している。
5匹は円で取り囲む様にぐるぐる俺の周りを回っている。
他の2匹は遠くから瓦礫を投げ始めた。
大きな瓦礫はあたったら甚大な被害を被るだろう……
当たればな……
2匹が襲いかかって来る。
剣を地面に刺す。
距離を詰めてきた2匹の足元から突然ガラスの剣が何本も生えてきた。
ガラスの剣で串刺しになる2匹。体中から血を流し死亡する。
「……5匹完了」
遠くから瓦礫を投げていた赤鬼に高速で距離を詰める。
移動しながら手に力を集中。イメージは刀。
ガラスの刀を生成できた。
飛びかかる。
2匹の首が宙に舞う。
振り向きざま剣を宙へ投げる。
力を集中する。空間からガラスの剣を生成する。
その数25本。宙に浮いた剣は空中で待機をしている。まるで隊列しているかの様に美しい。
「「「ーーーーーーーー」」」
残りの赤鬼が雄叫びを上げて動こうとした瞬間、剣は流星となって赤鬼に飛んでいった。
25本の剣と1本の刀。
赤鬼の身体が爆散し続ける。赤い花火が上がった。
「10匹、完了だ……」
完全にオーバーキルとなった。
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