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番外編〈第一部 終了ボーナストラック〉
番外編 メイドズ☆ブラスト episode17
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「イスキア! イスキア!」
第一試合開始前は自国の選手を応援する観客で一色だったがモニカの試合が始まった頃から、
「いいぞ! カルゾメイド!」
「脱げ! エロいぞ!」
「早く出てこい! 楽しませてくれ!」
主に男性客たちを中心にカルゾメイドに対する偏った声援が広がっていた。
また開会式では、ほとんどイスキア公国の毒々しい原色の国旗がふられていたが、この休憩の間に購入したと思われるメイドカチューシャを着けた者もパラパラ見受けられた。
驚くべきことに様々な色のカチューシャや、電飾がつけられピカピカ光るものまで売られているようだ。まるで縁日のような光景だった。
コンサートやアイドルイベントなどが開催されるユッカ大公のお膝元であるエスト城下町と違い、基本的に娯楽に飢えているイスキア公国の民にとって、今回の闘技大会は国をあげての一大イベント。
その盛り上がりたるや、このイスキアで一番盛り上がる建国祭に匹敵する規模のものだったのである。
「すごい盛り上がってきてるわねぇ」
だんだん出番が近づいてきたこともあり、私は緊張感からじんわりと汗がにじんだ手のひらをスカートに擦りつけた。
「そうね。この群衆の中で平気なのはパロマぐらいだと思うわ」
ダルバも落ち着かない様子で答える。
「パロマ、今頃張り切って着替えてるでしょうねぇ……」
「ねぇねぇ、マリン。そういえばパロマが自分用にどんなアーマー作ったのか知ってる?」
「さぁ──私、あの娘のアーマーに興味ないからなぁ。意外に普通だったりしてね」
闘技場のリング上ではまだ、第一試合でバルレッタが飛び散らせた毒液を会場係の腕章を着けたスタッフが一生懸命拭き取っていた。
バルレッタの放った液はかなり、粘着質なものだったようだ。
万が一、それが会場に残って後の者が足を滑らせてしまっては大変である。後の試合に響かないように、念入りにスタッフたちが掃除をしていた。
「ああやって毒を使われると本当に迷惑だこと……」
私は思わず呟くと、ダルバが答えた。
「そうね、でも伝統的に海蛇は毒攻撃が主流だから仕方ないわ……あ──あれ、蛇姫じゃない?」
ダルバは右手の大きな観覧席を指差した。
リングを一番よく見渡せる真上の場所には、イスキア公家をはじめとする貴賓席やスポンサー商会の有する特別席が日除けの天蓋つき桟敷としてもうけられている。
どうやらひときわ豪華な装飾が施されたとてつもない広さの桟敷に、イスキア公ラマンドロが戻ってきた所のようだった。
観客は礼儀上、この公国の最高支配者に対して歓呼の声を上げる。
「イスキア、イスキア──!」
無表情な支配者、ラマンドロ公は気だるげに群衆に向かって右手をあげた。
その傍らには、しなだれかかるように寄り添っている妹、蛇姫カルドンヌの姿があった。
「いやぁ、姫様っぽくないね。蛇姫は……」
「うん、何かメイクも毒々しすぎるもん──紫のリップとかあり得ないわ……」
私たちの主、お日様のように明るい美貌の女王然としたカルゾ公主ソーヴェ様と思わず比べてしまう。
「この国に生まれなくて良かったわ、私」
「私も──」
そんな話を二人でとりとめなくしていると、試合開始直前であることを知らせる銅鑼やサイレンが鳴り響いた。
闘技場リングへ登っていく緩やかな階段がリング側面に四方から設置されているのだが、サイレンが鳴りやむと同時に、その階段の正面の四方の扉がバーン! と開け放たれる。
「南! イスキアのリゾン!」
審判の美声が選手の呼び出しをはじめた。
(いよいよはじまるわね……)
私は表情をひきしめてリングを見つめる。
初戦はモニカが勝ったが、続けてカルゾメイドに負けるほど海蛇も、主催者であるイスキア公家も甘くはないだろう。
海蛇は所詮、イスキア公家直属の暗殺集団。どんな汚い手段を使ってくるかわからない──。
先程私たちに見せた情けない姿とはうってかわり、リゾンは地元の大歓迎を浴び、いかにも自信満々の蛇魔女といった様子で南扉から胸を張って現れた。
その出で立ちは、蛇皮のビキニの上下、腰の回りに短く巻かれた黒いパレオ。
肩には紫地に金の縁取りがされたごてごてした鱗模様の短いマント。同じ模様の膝上までのブーツに彼女のトレードマーク、いつもの黒い三角魔女帽子。
左右には丸めた蛇皮の鞭がこれ見よがしに下げられている。灰色の髪がうねうねと子蛇のようにその背中に広がっているのが何とも不気味だ。
「リゾン! リゾン!」
「いいぞ! 魔女っ娘リゾン~!」
リングに上がると、リゾンはじっと腕組みをしてパロマが現れるのを待った。
「ねぇ、どう見てもあれじゃ悪の女幹部よねぇ──」
「うん、まぁパロマの相手でちょうど良かったんじゃない?」
私とダルバは他人事のように感想を述べる。
まぁ、私が当たらなくて良かった。
ちょっとあの魔女コスプレは痛々しい。リゾンは魔女っ娘に憧れでもあるのだろうか……。
「西! カルゾのパロマ!」
呼び出しとともに、観客席からうぉぉぉぉーっ! という異様などよめきが上がる。
──パロマが現れたのだ。
闘技場のリング下に現れたパロマの姿に観客がどよめいた理由は──それは彼女の端正な知的な冷たい美貌でもなく、当然彼女のまとっていたアーマーによるものだった。
「「うげぇっ!」」
私とダルバは思わず叫び声をあげた。
パロマは白衣を軽く羽織り、純白のミニワンピース状になった看護服を着ていたのだ。
輝く銀髪は一つにまとめて束ねられ、その頭には白いナース帽子がのせられている。
大きなむっちりとした白い胸は第二ボタンまで外された看護服に包まれ、くっきりとした谷間がのぞいていた。
足は爪先までレース柄のストッキングに包まれ、その足元はピンクのナースシューズがまた凶悪な色気を放つ。
「はぁい、リゾン。調子はいかが? お注射してあげましょうか?」
銀縁の眼鏡をくいっと押し上げ、盛大にウィンクをするとからかうようにパロマは言った。
おぉぉぉぉぉぉ──。
男たちの雄叫びで会場が揺れる。
「ナースだ! ナース!」
「めっちゃエロい看護婦さんやぞ!」
興奮した観客のどよめきが爆発した。
「パロマ! パロマ!」
あっという間に会場が異様な雰囲気に変わる。
サービスとばかりに客席に向かってポーズをとるパロマに向かい、
「……おい。カルゾメイドはコスプレ大会にやってきたつもりか? 」
呆れたようにリゾンは言った。
「私の力作のアーマー達にケチつけないでくれる? だいたいあんたにだけは言われたくないわ。あんたこそ、思いっきり魔女っ娘コスじゃないの」
「くっ……!」
パシィン!
「リゾン! 開始の合図を待て!」
審判から声がかけられたが、リゾンはその制止に構うことなく、リングから飛び降りるとパロマに容赦なく鞭を振り下ろした。
パロマは素早く後ろに飛び退き、危なげなく鞭をよける。
「待てもできないの? 困った魔女さんねぇ」
「ちっ、相変わらずチョロチョロと──」
ビュッ! と鞭が空をきって左右からパロマに襲いかかった。
「何焦ってるの? こっちのリングでやるわよ、リゾン。場外であんたをギタギタにしてもお客さん達に見てもらえないからね……」
パロマはトン! と軽く飛び上がって鞭を避けるとリングへ向かう階段を一気にかけ上がり、手招きしてリゾンを挑発する。
「待て! この変態女! 直ぐにそんな軽口も叩けないようにしてやる──!」
リゾンは苦々しげにその真っ赤な唇をねじ曲げると、パロマの後を追って階段を駆けあがった。
第一試合開始前は自国の選手を応援する観客で一色だったがモニカの試合が始まった頃から、
「いいぞ! カルゾメイド!」
「脱げ! エロいぞ!」
「早く出てこい! 楽しませてくれ!」
主に男性客たちを中心にカルゾメイドに対する偏った声援が広がっていた。
また開会式では、ほとんどイスキア公国の毒々しい原色の国旗がふられていたが、この休憩の間に購入したと思われるメイドカチューシャを着けた者もパラパラ見受けられた。
驚くべきことに様々な色のカチューシャや、電飾がつけられピカピカ光るものまで売られているようだ。まるで縁日のような光景だった。
コンサートやアイドルイベントなどが開催されるユッカ大公のお膝元であるエスト城下町と違い、基本的に娯楽に飢えているイスキア公国の民にとって、今回の闘技大会は国をあげての一大イベント。
その盛り上がりたるや、このイスキアで一番盛り上がる建国祭に匹敵する規模のものだったのである。
「すごい盛り上がってきてるわねぇ」
だんだん出番が近づいてきたこともあり、私は緊張感からじんわりと汗がにじんだ手のひらをスカートに擦りつけた。
「そうね。この群衆の中で平気なのはパロマぐらいだと思うわ」
ダルバも落ち着かない様子で答える。
「パロマ、今頃張り切って着替えてるでしょうねぇ……」
「ねぇねぇ、マリン。そういえばパロマが自分用にどんなアーマー作ったのか知ってる?」
「さぁ──私、あの娘のアーマーに興味ないからなぁ。意外に普通だったりしてね」
闘技場のリング上ではまだ、第一試合でバルレッタが飛び散らせた毒液を会場係の腕章を着けたスタッフが一生懸命拭き取っていた。
バルレッタの放った液はかなり、粘着質なものだったようだ。
万が一、それが会場に残って後の者が足を滑らせてしまっては大変である。後の試合に響かないように、念入りにスタッフたちが掃除をしていた。
「ああやって毒を使われると本当に迷惑だこと……」
私は思わず呟くと、ダルバが答えた。
「そうね、でも伝統的に海蛇は毒攻撃が主流だから仕方ないわ……あ──あれ、蛇姫じゃない?」
ダルバは右手の大きな観覧席を指差した。
リングを一番よく見渡せる真上の場所には、イスキア公家をはじめとする貴賓席やスポンサー商会の有する特別席が日除けの天蓋つき桟敷としてもうけられている。
どうやらひときわ豪華な装飾が施されたとてつもない広さの桟敷に、イスキア公ラマンドロが戻ってきた所のようだった。
観客は礼儀上、この公国の最高支配者に対して歓呼の声を上げる。
「イスキア、イスキア──!」
無表情な支配者、ラマンドロ公は気だるげに群衆に向かって右手をあげた。
その傍らには、しなだれかかるように寄り添っている妹、蛇姫カルドンヌの姿があった。
「いやぁ、姫様っぽくないね。蛇姫は……」
「うん、何かメイクも毒々しすぎるもん──紫のリップとかあり得ないわ……」
私たちの主、お日様のように明るい美貌の女王然としたカルゾ公主ソーヴェ様と思わず比べてしまう。
「この国に生まれなくて良かったわ、私」
「私も──」
そんな話を二人でとりとめなくしていると、試合開始直前であることを知らせる銅鑼やサイレンが鳴り響いた。
闘技場リングへ登っていく緩やかな階段がリング側面に四方から設置されているのだが、サイレンが鳴りやむと同時に、その階段の正面の四方の扉がバーン! と開け放たれる。
「南! イスキアのリゾン!」
審判の美声が選手の呼び出しをはじめた。
(いよいよはじまるわね……)
私は表情をひきしめてリングを見つめる。
初戦はモニカが勝ったが、続けてカルゾメイドに負けるほど海蛇も、主催者であるイスキア公家も甘くはないだろう。
海蛇は所詮、イスキア公家直属の暗殺集団。どんな汚い手段を使ってくるかわからない──。
先程私たちに見せた情けない姿とはうってかわり、リゾンは地元の大歓迎を浴び、いかにも自信満々の蛇魔女といった様子で南扉から胸を張って現れた。
その出で立ちは、蛇皮のビキニの上下、腰の回りに短く巻かれた黒いパレオ。
肩には紫地に金の縁取りがされたごてごてした鱗模様の短いマント。同じ模様の膝上までのブーツに彼女のトレードマーク、いつもの黒い三角魔女帽子。
左右には丸めた蛇皮の鞭がこれ見よがしに下げられている。灰色の髪がうねうねと子蛇のようにその背中に広がっているのが何とも不気味だ。
「リゾン! リゾン!」
「いいぞ! 魔女っ娘リゾン~!」
リングに上がると、リゾンはじっと腕組みをしてパロマが現れるのを待った。
「ねぇ、どう見てもあれじゃ悪の女幹部よねぇ──」
「うん、まぁパロマの相手でちょうど良かったんじゃない?」
私とダルバは他人事のように感想を述べる。
まぁ、私が当たらなくて良かった。
ちょっとあの魔女コスプレは痛々しい。リゾンは魔女っ娘に憧れでもあるのだろうか……。
「西! カルゾのパロマ!」
呼び出しとともに、観客席からうぉぉぉぉーっ! という異様などよめきが上がる。
──パロマが現れたのだ。
闘技場のリング下に現れたパロマの姿に観客がどよめいた理由は──それは彼女の端正な知的な冷たい美貌でもなく、当然彼女のまとっていたアーマーによるものだった。
「「うげぇっ!」」
私とダルバは思わず叫び声をあげた。
パロマは白衣を軽く羽織り、純白のミニワンピース状になった看護服を着ていたのだ。
輝く銀髪は一つにまとめて束ねられ、その頭には白いナース帽子がのせられている。
大きなむっちりとした白い胸は第二ボタンまで外された看護服に包まれ、くっきりとした谷間がのぞいていた。
足は爪先までレース柄のストッキングに包まれ、その足元はピンクのナースシューズがまた凶悪な色気を放つ。
「はぁい、リゾン。調子はいかが? お注射してあげましょうか?」
銀縁の眼鏡をくいっと押し上げ、盛大にウィンクをするとからかうようにパロマは言った。
おぉぉぉぉぉぉ──。
男たちの雄叫びで会場が揺れる。
「ナースだ! ナース!」
「めっちゃエロい看護婦さんやぞ!」
興奮した観客のどよめきが爆発した。
「パロマ! パロマ!」
あっという間に会場が異様な雰囲気に変わる。
サービスとばかりに客席に向かってポーズをとるパロマに向かい、
「……おい。カルゾメイドはコスプレ大会にやってきたつもりか? 」
呆れたようにリゾンは言った。
「私の力作のアーマー達にケチつけないでくれる? だいたいあんたにだけは言われたくないわ。あんたこそ、思いっきり魔女っ娘コスじゃないの」
「くっ……!」
パシィン!
「リゾン! 開始の合図を待て!」
審判から声がかけられたが、リゾンはその制止に構うことなく、リングから飛び降りるとパロマに容赦なく鞭を振り下ろした。
パロマは素早く後ろに飛び退き、危なげなく鞭をよける。
「待てもできないの? 困った魔女さんねぇ」
「ちっ、相変わらずチョロチョロと──」
ビュッ! と鞭が空をきって左右からパロマに襲いかかった。
「何焦ってるの? こっちのリングでやるわよ、リゾン。場外であんたをギタギタにしてもお客さん達に見てもらえないからね……」
パロマはトン! と軽く飛び上がって鞭を避けるとリングへ向かう階段を一気にかけ上がり、手招きしてリゾンを挑発する。
「待て! この変態女! 直ぐにそんな軽口も叩けないようにしてやる──!」
リゾンは苦々しげにその真っ赤な唇をねじ曲げると、パロマの後を追って階段を駆けあがった。
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