95 / 150
番外編〈第一部 終了ボーナストラック〉
番外編 白百合館へようこそ! side:マリン part6
しおりを挟む
目の前の男達は2人とも大した実力はないが、この媚薬に犯された身体では、襲ってくる凶刃を跳ね返すのが精一杯だった。
身体の中から突きあげる衝動に、満足に立つこともままならない。
「はっ……はぁ、はぁぅ……」
(……マズい!)
1対1であればまだしも、相手は2人。
そんな私を嘲笑うかのように、男達は間合いをジワジワと狭めてきた。
「くっ……!」
すんでのところで突き出された剣先をよけるが、足を滑らせバランスを崩してしまった。
私はとっさに地面に転がると、一回転して男達の凶刃から逃れる。
「あぁんっ……」
地面に肌がつくだけでも、フワフワとしたむず痒いような感覚に襲われた。
(もぉぉっ! 本当に何よ、これぇぇぇっ!!)
「遅効性の媚薬か……? 誰に盛られたのか知らないが、ずいぶんと辛そうだなぁ? 俺たちが楽にしてやろうか?」
「結構よ!」
男は両手に半月刀を持ち、カンカン!と先程とはうって変わった余裕な表情で、立て続けに連続攻撃をかけてきた。
それを受け止める衝撃で私の身体に変な感覚が走る。
変な声をあげたり、力が抜けてしまうのを歯をくいしばって全力で防いでいるうちに、気がつくとじりじりと高い邸の壁側へ後ずさってしまっていた。
もう逃げ場は、ない。
「あきらめろ……」
ニヤニヤと突きかかってくる男の一刀目をギリギリかわし、二刀目を受け流すとその腕を掴んで思いっきり身をしずめ、身体をそらして背後に投げ飛ばした。
男の身体はどさりと地面に叩きつけられる。
「はあっ、はぁっ……あぁんっ!……私をナメるんじゃないわよ!」
片膝をついて息を弾ませながら私は吐き捨てた。
投げられた男は、すぐにヨロヨロしながら立ち上がる。
(……まさか! 私の力が入らないせい!?)
この状況に私は内心焦りまくった。
(これはヤバいんじゃ……)
「おのれっ、小娘……! 俺たちがたっぷりと泣かせてやるから覚悟するがいい」
頭を振るとビュッと半月刀を突きだす。
「あぅっ!」
私が咄嗟にそれを受け止めたところで、男はニヤリと笑い、私の構えたショートソードごと力一杯壁に向かって叩きつけた。
壁に叩きつけられた私は、ズルズルと地面に崩れ落ちる。
「さぁて、何処の間者か吐いてもらおうか?」
「……しつこい」
「まぁ、いい。身体に聞いてやるか……」
男の指が私の顎にかかる。
ペッ……!
「汚い手で私に触るんじゃないわよ! このゲス野郎!」
「こいつっ!!」
顔に唾を吐きかけられた男は激昂して、反射的に私の頬を平手で強く打った。
……血の味がする。
唇が切れたんだ。
頬がジンジンした。
それがまた、心地よいような変な感覚をもたらすのが泣けてくる。
(やだぁあ……! これじゃ私、まるで変態じゃないのっ!!)
「なぁ、あの箱は何だと思う?イゾラ」
私を後ろ手に縛りあげようとしている男にもう一人の男が声をかけた。
私がカルゾ邸から持ってきた荷物に気づいていたらしい。
……うまく茂みに隠し通せたと思ってたのに!
「勝手にさわらないで!」
必死に叫ぶ私をイゾラと呼ばれた海蛇の男が面白そうに押さえつけた。
「……と言われたらなぁ? 早く開けろ、ボーサ」
「了解~♪」
「……何だ、コレ?」
ボーサと呼ばれた海蛇の男は箱の中身を見てすっとんきょうな声をあげた。
それもそのはず。
私が大事に持ってきた箱の中から出てきたのは……。
黒い猫耳のカチューシャとお揃いの猫しっぽ。
高級品らしく、艶々とした見事な毛並みのリアルな猫耳だった。
「なんでぇぇぇっ!?」
私は腕を拘束され押さえつけられた格好のまま、驚きの声をあげた。
カルゾ邸で主人から私が託されたのは、ルーチェさんの主人に贈る予定の髪飾りだったはずなのに。
それがどうして執事長のコレクションが入っているの~!?
「また、これはいい趣味してるな……?」
ボーサと呼ばれた男はニタリとすると、私の頭にその猫耳カチューシャを装着した。
「はぁん……!」
髪の毛や耳にボーサの指が触れただけで私の意思に反して、悩ましい声が出る。
(こんなの変態道まっしぐらじゃないの! 覚えてなさいよ、パロマ! 絶対にソーヴェ様にいいつけてやるから!!)
涙目で、目の前の男たちを精一杯見返しながらパロマを呪う私。
「いい仕事したな、ボーサ!」
男たちの目の前には、猫耳カチューシャをつけた発情して涙目で悶える巨乳のロリ顔メイド。
スカートが破れ、チラチラ見える白いむっちりした太腿もまた扇情的だ。
男たちはちらり、とお互いに目配せをするとゴクリと大きく喉をならして私に飛びかかってきたのだった……。
身体の中から突きあげる衝動に、満足に立つこともままならない。
「はっ……はぁ、はぁぅ……」
(……マズい!)
1対1であればまだしも、相手は2人。
そんな私を嘲笑うかのように、男達は間合いをジワジワと狭めてきた。
「くっ……!」
すんでのところで突き出された剣先をよけるが、足を滑らせバランスを崩してしまった。
私はとっさに地面に転がると、一回転して男達の凶刃から逃れる。
「あぁんっ……」
地面に肌がつくだけでも、フワフワとしたむず痒いような感覚に襲われた。
(もぉぉっ! 本当に何よ、これぇぇぇっ!!)
「遅効性の媚薬か……? 誰に盛られたのか知らないが、ずいぶんと辛そうだなぁ? 俺たちが楽にしてやろうか?」
「結構よ!」
男は両手に半月刀を持ち、カンカン!と先程とはうって変わった余裕な表情で、立て続けに連続攻撃をかけてきた。
それを受け止める衝撃で私の身体に変な感覚が走る。
変な声をあげたり、力が抜けてしまうのを歯をくいしばって全力で防いでいるうちに、気がつくとじりじりと高い邸の壁側へ後ずさってしまっていた。
もう逃げ場は、ない。
「あきらめろ……」
ニヤニヤと突きかかってくる男の一刀目をギリギリかわし、二刀目を受け流すとその腕を掴んで思いっきり身をしずめ、身体をそらして背後に投げ飛ばした。
男の身体はどさりと地面に叩きつけられる。
「はあっ、はぁっ……あぁんっ!……私をナメるんじゃないわよ!」
片膝をついて息を弾ませながら私は吐き捨てた。
投げられた男は、すぐにヨロヨロしながら立ち上がる。
(……まさか! 私の力が入らないせい!?)
この状況に私は内心焦りまくった。
(これはヤバいんじゃ……)
「おのれっ、小娘……! 俺たちがたっぷりと泣かせてやるから覚悟するがいい」
頭を振るとビュッと半月刀を突きだす。
「あぅっ!」
私が咄嗟にそれを受け止めたところで、男はニヤリと笑い、私の構えたショートソードごと力一杯壁に向かって叩きつけた。
壁に叩きつけられた私は、ズルズルと地面に崩れ落ちる。
「さぁて、何処の間者か吐いてもらおうか?」
「……しつこい」
「まぁ、いい。身体に聞いてやるか……」
男の指が私の顎にかかる。
ペッ……!
「汚い手で私に触るんじゃないわよ! このゲス野郎!」
「こいつっ!!」
顔に唾を吐きかけられた男は激昂して、反射的に私の頬を平手で強く打った。
……血の味がする。
唇が切れたんだ。
頬がジンジンした。
それがまた、心地よいような変な感覚をもたらすのが泣けてくる。
(やだぁあ……! これじゃ私、まるで変態じゃないのっ!!)
「なぁ、あの箱は何だと思う?イゾラ」
私を後ろ手に縛りあげようとしている男にもう一人の男が声をかけた。
私がカルゾ邸から持ってきた荷物に気づいていたらしい。
……うまく茂みに隠し通せたと思ってたのに!
「勝手にさわらないで!」
必死に叫ぶ私をイゾラと呼ばれた海蛇の男が面白そうに押さえつけた。
「……と言われたらなぁ? 早く開けろ、ボーサ」
「了解~♪」
「……何だ、コレ?」
ボーサと呼ばれた海蛇の男は箱の中身を見てすっとんきょうな声をあげた。
それもそのはず。
私が大事に持ってきた箱の中から出てきたのは……。
黒い猫耳のカチューシャとお揃いの猫しっぽ。
高級品らしく、艶々とした見事な毛並みのリアルな猫耳だった。
「なんでぇぇぇっ!?」
私は腕を拘束され押さえつけられた格好のまま、驚きの声をあげた。
カルゾ邸で主人から私が託されたのは、ルーチェさんの主人に贈る予定の髪飾りだったはずなのに。
それがどうして執事長のコレクションが入っているの~!?
「また、これはいい趣味してるな……?」
ボーサと呼ばれた男はニタリとすると、私の頭にその猫耳カチューシャを装着した。
「はぁん……!」
髪の毛や耳にボーサの指が触れただけで私の意思に反して、悩ましい声が出る。
(こんなの変態道まっしぐらじゃないの! 覚えてなさいよ、パロマ! 絶対にソーヴェ様にいいつけてやるから!!)
涙目で、目の前の男たちを精一杯見返しながらパロマを呪う私。
「いい仕事したな、ボーサ!」
男たちの目の前には、猫耳カチューシャをつけた発情して涙目で悶える巨乳のロリ顔メイド。
スカートが破れ、チラチラ見える白いむっちりした太腿もまた扇情的だ。
男たちはちらり、とお互いに目配せをするとゴクリと大きく喉をならして私に飛びかかってきたのだった……。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説

婚約したら幼馴染から絶縁状が届きました。
黒蜜きな粉
恋愛
婚約が決まった翌日、登校してくると机の上に一通の手紙が置いてあった。
差出人は幼馴染。
手紙には絶縁状と書かれている。
手紙の内容は、婚約することを発表するまで自分に黙っていたから傷ついたというもの。
いや、幼馴染だからって何でもかんでも報告しませんよ。
そもそも幼馴染は親友って、そんなことはないと思うのだけど……?
そのうち機嫌を直すだろうと思っていたら、嫌がらせがはじまってしまった。
しかも、婚約者や周囲の友人たちまで巻き込むから大変。
どうやら私の評判を落として婚約を破談にさせたいらしい。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中

今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。


悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした
珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。
色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。
バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。
※全4話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる