75 / 150
番外編 〈第25.5話~〉
カルゾメイドの溜息!〈sideマリン〉part8
しおりを挟む
「これ、どうしよう……」
ずっとポケットに入っている紙袋を見て、私は溜め息をつきました。もう、紙がよれてきちゃってボロボロです。
ちょっと人に渡すにはみっともないレベルかな。もう一回、紙袋を入れ換えしなきゃ。
う~ん。多分、ですけど。
この紙袋の中身、裏庭で落とされたことはナルドさん、気づいてないみたいなんですよね。
一体、これはどなたとお使いになるのですか?と聞きたいような、聞きたくないような……。
私たちのかわりにソーヴェ様を起こして下さったので、お怪我をさせた責任を感じてます、と先日からちょっとベタベタまとわりついてみましたが、女の影は全くありませんでした。
パロマの調査(プライバシーの観点から恐ろしくて詳細は聞けない)によると、娼館にもどうやらここ数年は行っていないようですし、はたまた派遣のプロもご利用にはなってはいないようで……。
あとは休日の外出時のナンパ等ですが、お休みの日はほぼ、身体を鍛えて過ごすか寝ていらっしゃるらしく……。
まぁ、とにかく真面目。
パロマ調査によると現在お見合い話が沢山舞い込んでいて、その真面目さとお給料の手取額から、お見合いサイトのランキング上位にいるらしいです。
「素敵な貴女との出会いを楽しみにしています。絶対に後悔はさせません。一目惚れって信じますか?情熱的な一夜を貴女と過ごしたい」
ナルドさん本人がしたとは思えない書き込みがされているので、多分ご親戚のおば様方が喜んで?書き込まれてるのだろうとパロマの推測です。
確かに。酷いセリフですね。あんな風にヴィンセント様にからかわれて、すぐに真っ赤になるナルドさんが書き込まれたセリフとは思えません。
なんだか言い回しも古臭いし……おば様方の世代臭がします。
年齢といえば最近お腹に脂肪がつくのが気になるのか、食堂のメニューもガッツリ油脂ものから週末はヘルシー志向に変わってきたとか、洗濯物の出し具合から寝る時はパジャマとか着てないんじゃないか、とかもパロマ情報です。
パロマ怖い……。
どうやって嗅ぎ回ったんだろうと想像すると、我が同僚ながら引いちゃいます。
ネットの活用はまぁ、やるだろうと思いますが洗濯物って……他にもゴミを開いたりしたんでしょうか。
完全にストーカーの域ですよねぇ。
ある意味、絶対に敵に回してはいけない人物だと思いますわ。
しかし、パロマも何だって急にナルドさんのことを調べたくなったんでしょうか……。
頭のイイ人の考えることは、私にはよくわかりません。
「マリン!」
あ、噂をすればパロマです。
「ねぇねぇ、聞いた?」
「何を?」
「今日の大公宮での舞踏会のこと。ヴィンセント様も国外追放らしいわ!」
「はい~?何で?」
「自分から大公様に国外追放してくれって言ったんだって」
「え……?」
「もう、さっさと舞踏会からお帰りになって色々、出国準備中よ。それはもう、ウキウキとご機嫌に」
「……アルルを追っかけられる気、満々ってこと?」
「それしかないでしょ」
「ちょっとアルルがお気の毒というか、なんというか……」
「ソーヴェ様は引き止めたかったみたいなのよね。まぁ、無理だと思うけど。これでヴィンセント様も堂々とベイト国に乗り込めるもん。止まらないわよ」
そっかぁ。ヴィンセント様まで出国されるんだ……誰が止めても絶対に行くでしょうねぇ。
お姿をお見かけするという毎日の楽しみがまた一つ、減っちゃうなぁ。
「それでね、ソーヴェ様は執事長をお目付け役につけようかって言ってるみたいよ?」
「は……?」
「御友人のファーラ様に猛烈に通信を送ってみえたけど、心配なんじゃない?」
「ナルドさんもベイトへ?」
「執事長じゃ、とてもヴィンセント様を止められないと思うけどねぇ」
「……いつ出国されるの?」
「明日らしいわよ。本当は今から出たかったみたい。ヴィンセント様も留守じゃ、私たちの毎日の楽しみが減っちゃうわよね。私もベイト留学、申請してみようかしらん。元々、行ってみたかったし」
「はぁ……」
パロマなら、本当にやりそうな気がします。
ウィル様ほどじゃないけど、Gnetや情報端末の扱いでカルゾで彼女の右に出る人間はいません。
そっか。みんな居なくなっちゃうんだ……。
寂しいなぁ……。
は、でも出国されるなら早くこれ、渡さなきゃ。
私はポケットの包みをギュッと握りしめました。
ずっとポケットに入っている紙袋を見て、私は溜め息をつきました。もう、紙がよれてきちゃってボロボロです。
ちょっと人に渡すにはみっともないレベルかな。もう一回、紙袋を入れ換えしなきゃ。
う~ん。多分、ですけど。
この紙袋の中身、裏庭で落とされたことはナルドさん、気づいてないみたいなんですよね。
一体、これはどなたとお使いになるのですか?と聞きたいような、聞きたくないような……。
私たちのかわりにソーヴェ様を起こして下さったので、お怪我をさせた責任を感じてます、と先日からちょっとベタベタまとわりついてみましたが、女の影は全くありませんでした。
パロマの調査(プライバシーの観点から恐ろしくて詳細は聞けない)によると、娼館にもどうやらここ数年は行っていないようですし、はたまた派遣のプロもご利用にはなってはいないようで……。
あとは休日の外出時のナンパ等ですが、お休みの日はほぼ、身体を鍛えて過ごすか寝ていらっしゃるらしく……。
まぁ、とにかく真面目。
パロマ調査によると現在お見合い話が沢山舞い込んでいて、その真面目さとお給料の手取額から、お見合いサイトのランキング上位にいるらしいです。
「素敵な貴女との出会いを楽しみにしています。絶対に後悔はさせません。一目惚れって信じますか?情熱的な一夜を貴女と過ごしたい」
ナルドさん本人がしたとは思えない書き込みがされているので、多分ご親戚のおば様方が喜んで?書き込まれてるのだろうとパロマの推測です。
確かに。酷いセリフですね。あんな風にヴィンセント様にからかわれて、すぐに真っ赤になるナルドさんが書き込まれたセリフとは思えません。
なんだか言い回しも古臭いし……おば様方の世代臭がします。
年齢といえば最近お腹に脂肪がつくのが気になるのか、食堂のメニューもガッツリ油脂ものから週末はヘルシー志向に変わってきたとか、洗濯物の出し具合から寝る時はパジャマとか着てないんじゃないか、とかもパロマ情報です。
パロマ怖い……。
どうやって嗅ぎ回ったんだろうと想像すると、我が同僚ながら引いちゃいます。
ネットの活用はまぁ、やるだろうと思いますが洗濯物って……他にもゴミを開いたりしたんでしょうか。
完全にストーカーの域ですよねぇ。
ある意味、絶対に敵に回してはいけない人物だと思いますわ。
しかし、パロマも何だって急にナルドさんのことを調べたくなったんでしょうか……。
頭のイイ人の考えることは、私にはよくわかりません。
「マリン!」
あ、噂をすればパロマです。
「ねぇねぇ、聞いた?」
「何を?」
「今日の大公宮での舞踏会のこと。ヴィンセント様も国外追放らしいわ!」
「はい~?何で?」
「自分から大公様に国外追放してくれって言ったんだって」
「え……?」
「もう、さっさと舞踏会からお帰りになって色々、出国準備中よ。それはもう、ウキウキとご機嫌に」
「……アルルを追っかけられる気、満々ってこと?」
「それしかないでしょ」
「ちょっとアルルがお気の毒というか、なんというか……」
「ソーヴェ様は引き止めたかったみたいなのよね。まぁ、無理だと思うけど。これでヴィンセント様も堂々とベイト国に乗り込めるもん。止まらないわよ」
そっかぁ。ヴィンセント様まで出国されるんだ……誰が止めても絶対に行くでしょうねぇ。
お姿をお見かけするという毎日の楽しみがまた一つ、減っちゃうなぁ。
「それでね、ソーヴェ様は執事長をお目付け役につけようかって言ってるみたいよ?」
「は……?」
「御友人のファーラ様に猛烈に通信を送ってみえたけど、心配なんじゃない?」
「ナルドさんもベイトへ?」
「執事長じゃ、とてもヴィンセント様を止められないと思うけどねぇ」
「……いつ出国されるの?」
「明日らしいわよ。本当は今から出たかったみたい。ヴィンセント様も留守じゃ、私たちの毎日の楽しみが減っちゃうわよね。私もベイト留学、申請してみようかしらん。元々、行ってみたかったし」
「はぁ……」
パロマなら、本当にやりそうな気がします。
ウィル様ほどじゃないけど、Gnetや情報端末の扱いでカルゾで彼女の右に出る人間はいません。
そっか。みんな居なくなっちゃうんだ……。
寂しいなぁ……。
は、でも出国されるなら早くこれ、渡さなきゃ。
私はポケットの包みをギュッと握りしめました。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

せっかく家の借金を返したのに、妹に婚約者を奪われて追放されました。でも、気にしなくていいみたいです。私には頼れる公爵様がいらっしゃいますから
甘海そら
恋愛
ヤルス伯爵家の長女、セリアには商才があった。
であれば、ヤルス家の借金を見事に返済し、いよいよ婚礼を間近にする。
だが、
「セリア。君には悪いと思っているが、私は運命の人を見つけたのだよ」
婚約者であるはずのクワイフからそう告げられる。
そのクワイフの隣には、妹であるヨカが目を細めて笑っていた。
気がつけば、セリアは全てを失っていた。
今までの功績は何故か妹のものになり、婚約者もまた妹のものとなった。
さらには、あらぬ悪名を着せられ、屋敷から追放される憂き目にも会う。
失意のどん底に陥ることになる。
ただ、そんな時だった。
セリアの目の前に、かつての親友が現れた。
大国シュリナの雄。
ユーガルド公爵家が当主、ケネス・トルゴー。
彼が仏頂面で手を差し伸べてくれば、彼女の運命は大きく変化していく。

魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完
瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。
夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。
*五話でさくっと読めます。

真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。


溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。
ふまさ
恋愛
いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。
「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」
「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」
ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。
──対して。
傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる