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第一部
side:カルゾ女公主 ソーヴェ☆
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「グズグズいつまでも、鬱陶しいわねぇ」
大公の長男、事務方のトップを勤めるアスティに呼ばれて大公室にやって来た私は、部屋の主にクッションを投げつけた。
「グズグズとは?」
クッションを投げつけられてもボーッとしてる部屋の主は、この国の大公。私の亡き夫の親友、サングリア・サラック・エスト。
うちの夫ほどではないけど、壮年になっても若い時から変わらず、そこそこのイケメン。
クソ真面目で面白味に欠ける私の友人。
後妻として大公妃を狙う女は寄ってくるけど、女あしらいは超絶下手くそで、実際はそんなにモテない。本人もあまり、興味はないようだったんだけど……?
「キチンと仕事しなさいよ」
「やってるつもりだが?」
「アスティが決裁がたまってるから、オヤジに喝を入れてくれって言ってきたけど?」
「あぁ?そうか……?」
「あれ、今週分じゃないの?」
事務机の回りには決裁待ちの書類の山が籠に入れられて積まれていた。
うぇ~!多過ぎでしょ。
判子つくのに腱鞘炎になるわよっ。
次の大公は輪番でカルゾだけど、私は勘弁だな。絶対ヴィンセントに押しつけてやらなくちゃ。
「わかった、やっとく……」
ぽやっと、机に座り上の空で公印を手に持つが、また宙を見つめてボンヤリするサラック。
「お~い!帰ってこ~い」
私はガクガクと両肩を掴んでサラックを揺すった。
「ん~?ソーヴェ居たのか?」
本当に大丈夫かな、この人。
絶対原因は、あの日からなのよね。何か、頑として口を割らないけど。
今日こそは吐かせてやろうじゃないの。
「いい加減、吐きなさい?マルサネとあの日、何があったのよ?」
私は直球をサラックに投げつけてやった。
ほら、顔が真剣になったわ。分かりやす過ぎる。
「だからそれは、誰にも言えない」
「あたしにも?」
「ソーヴェにもだ」
これは重症だわ。私にも言えないようなことなんかい。
真一文字に口を必死に結んで、言わないアピール半端ない。
恋愛感情は全くないけど、ちょっとショックかも。
ウチの旦那が亡くなった時、同じ時期にサラックも愛妻ルガーナを亡くしている。それ以来、私たちは何でも言い合える良い友人だったハズ、なんだけどな。
ウムム……私では信用ないんかい。ムカつく!
「本当、頑固オヤジねぇ。あの娘を無理矢理襲った訳じゃないんでしょ?」
「そんなことまではしてない!」
そこはムキになって言い返すサラック。
「そんなことって?じゃあ何をしたの?」
「……それは、思わず慰めてしまったが、誓ってやましいことはしていないぞ……」
純情少年か?思い出して真っ赤になっちゃって……良いトシして、耳まで赤くして気持ち悪!
「でも、泣かせてダッシュで帰ってしまうぐらいのことはしたんでしょ?」
「……どうしてら良いのかわからないのだ」
ポツリ、とサラックが呟いた。
「ルガーナなら気にしないと思うけど。自分の息子より若い娘と再婚しても」
「……!?ゴホッ……おい、ソーヴェっ!何を……」
あ~あ、慌てて咳き込んで涙目になっちゃってるわ。 そんなに、ビックリすること?
「え?それで悩んでたんじゃないの?」
「そんなこと、私は全然……」
「じゃあ、無意識に考えてたから、意識飛んでたんじゃない?」
「……」
当たりか。
もしくは妄想でもしてたのかしら?
一途なのに意外とムッツリなのよね、この国の男達。
特にうちの息子!ムッツリレベルを超越しちゃってるし……大丈夫かなぁ。
……はっ、思わず脱線しちゃった。
「私は反対しないけどね。以前のあの娘のままならあんたの趣味と正気を疑うけどさ。
最近のあの娘なら別人みたいに落ち着いてるし、容姿も随分とマシになったわ。別に嫁に貰っても身分的に問題ないんじゃない?」
「別人か。やっぱりソーヴェから見ても、別人に見えるか?」
何か探るような表情でサラックが言った。
「あの歌声、落ち着いた受け答え、雰囲気、何もかもが猿姫って今まで呼ばれてたあの娘とは真逆だわ。タウラージからは知恵熱の後遺症だと聞いたけど、真相はどうなのかしらね?」
「……」
あらら、またダンマリになっちゃった。
何か、引っかかるのよね。
「そんなに気になるなら、コラムで『好きです』とか公開プロポーズしちゃえば良いじゃない。盛り上がるわよ~。そんでついでに実は『私は大公でした』とネタバレしたら売り上げも相当延びるだろうし」
「ウィルみたいなことを言うなよ……」
あ、そう。二番煎じか、私。
「それはともかく、コラムの連載はどうするの?」
「向こうが体調不良で書き込めないと言ってきたから、暫く休載することにした」
「え?体調不良?元気が取り柄のマルサネが?」
「仮病ならいいが、本当に病だったら心配だ……でも、見舞いにも私は行ける立場にないしな」
何だ。それで悩んでたのか。全く、男って……手がかかるわねぇ。
「フッフッフ。行けば良いじゃないの?サラック。エスト大公じゃなくて、ミスターユッカとして行くのよ?」
私の笑いを見て、サラックが青ざめた。
長年の付き合いで危険?を察知したらしい。
「一体何をやるつもりだ、ソーヴェ?」
大公の長男、事務方のトップを勤めるアスティに呼ばれて大公室にやって来た私は、部屋の主にクッションを投げつけた。
「グズグズとは?」
クッションを投げつけられてもボーッとしてる部屋の主は、この国の大公。私の亡き夫の親友、サングリア・サラック・エスト。
うちの夫ほどではないけど、壮年になっても若い時から変わらず、そこそこのイケメン。
クソ真面目で面白味に欠ける私の友人。
後妻として大公妃を狙う女は寄ってくるけど、女あしらいは超絶下手くそで、実際はそんなにモテない。本人もあまり、興味はないようだったんだけど……?
「キチンと仕事しなさいよ」
「やってるつもりだが?」
「アスティが決裁がたまってるから、オヤジに喝を入れてくれって言ってきたけど?」
「あぁ?そうか……?」
「あれ、今週分じゃないの?」
事務机の回りには決裁待ちの書類の山が籠に入れられて積まれていた。
うぇ~!多過ぎでしょ。
判子つくのに腱鞘炎になるわよっ。
次の大公は輪番でカルゾだけど、私は勘弁だな。絶対ヴィンセントに押しつけてやらなくちゃ。
「わかった、やっとく……」
ぽやっと、机に座り上の空で公印を手に持つが、また宙を見つめてボンヤリするサラック。
「お~い!帰ってこ~い」
私はガクガクと両肩を掴んでサラックを揺すった。
「ん~?ソーヴェ居たのか?」
本当に大丈夫かな、この人。
絶対原因は、あの日からなのよね。何か、頑として口を割らないけど。
今日こそは吐かせてやろうじゃないの。
「いい加減、吐きなさい?マルサネとあの日、何があったのよ?」
私は直球をサラックに投げつけてやった。
ほら、顔が真剣になったわ。分かりやす過ぎる。
「だからそれは、誰にも言えない」
「あたしにも?」
「ソーヴェにもだ」
これは重症だわ。私にも言えないようなことなんかい。
真一文字に口を必死に結んで、言わないアピール半端ない。
恋愛感情は全くないけど、ちょっとショックかも。
ウチの旦那が亡くなった時、同じ時期にサラックも愛妻ルガーナを亡くしている。それ以来、私たちは何でも言い合える良い友人だったハズ、なんだけどな。
ウムム……私では信用ないんかい。ムカつく!
「本当、頑固オヤジねぇ。あの娘を無理矢理襲った訳じゃないんでしょ?」
「そんなことまではしてない!」
そこはムキになって言い返すサラック。
「そんなことって?じゃあ何をしたの?」
「……それは、思わず慰めてしまったが、誓ってやましいことはしていないぞ……」
純情少年か?思い出して真っ赤になっちゃって……良いトシして、耳まで赤くして気持ち悪!
「でも、泣かせてダッシュで帰ってしまうぐらいのことはしたんでしょ?」
「……どうしてら良いのかわからないのだ」
ポツリ、とサラックが呟いた。
「ルガーナなら気にしないと思うけど。自分の息子より若い娘と再婚しても」
「……!?ゴホッ……おい、ソーヴェっ!何を……」
あ~あ、慌てて咳き込んで涙目になっちゃってるわ。 そんなに、ビックリすること?
「え?それで悩んでたんじゃないの?」
「そんなこと、私は全然……」
「じゃあ、無意識に考えてたから、意識飛んでたんじゃない?」
「……」
当たりか。
もしくは妄想でもしてたのかしら?
一途なのに意外とムッツリなのよね、この国の男達。
特にうちの息子!ムッツリレベルを超越しちゃってるし……大丈夫かなぁ。
……はっ、思わず脱線しちゃった。
「私は反対しないけどね。以前のあの娘のままならあんたの趣味と正気を疑うけどさ。
最近のあの娘なら別人みたいに落ち着いてるし、容姿も随分とマシになったわ。別に嫁に貰っても身分的に問題ないんじゃない?」
「別人か。やっぱりソーヴェから見ても、別人に見えるか?」
何か探るような表情でサラックが言った。
「あの歌声、落ち着いた受け答え、雰囲気、何もかもが猿姫って今まで呼ばれてたあの娘とは真逆だわ。タウラージからは知恵熱の後遺症だと聞いたけど、真相はどうなのかしらね?」
「……」
あらら、またダンマリになっちゃった。
何か、引っかかるのよね。
「そんなに気になるなら、コラムで『好きです』とか公開プロポーズしちゃえば良いじゃない。盛り上がるわよ~。そんでついでに実は『私は大公でした』とネタバレしたら売り上げも相当延びるだろうし」
「ウィルみたいなことを言うなよ……」
あ、そう。二番煎じか、私。
「それはともかく、コラムの連載はどうするの?」
「向こうが体調不良で書き込めないと言ってきたから、暫く休載することにした」
「え?体調不良?元気が取り柄のマルサネが?」
「仮病ならいいが、本当に病だったら心配だ……でも、見舞いにも私は行ける立場にないしな」
何だ。それで悩んでたのか。全く、男って……手がかかるわねぇ。
「フッフッフ。行けば良いじゃないの?サラック。エスト大公じゃなくて、ミスターユッカとして行くのよ?」
私の笑いを見て、サラックが青ざめた。
長年の付き合いで危険?を察知したらしい。
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