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第二章 特別な花
57,兄として
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※
翌朝。
目を覚ますと、だいぶ怠さがなくなっていた。身体が軽くてすっきりしている。唸るようなあの全身の熱さもない。
こんなにも早く体調が良くなったのは、全部レイのお陰だ。
昨日、要領よく身の回りの世話をしてくれた彼女の姿を思い出した。
本当にレイは気配りができる子だな……。俺が何も言わなくても着替えや飲み物を用意してくれた。手作りのリゾットも、ちょうどいい濃厚さで本当に旨かった。
彼女はきっといい奥さんになるんだろう。将来、結婚する奴が羨ましい……。
いつかレイが大人になって好きな相手でもできたら、きっと今みたいに俺と頻繁に会ってくれることはなくなるんだろう。
ふと、そんなことを考えてしまった。
(待てよ、羨ましいってなんだ?)
俺は義理でも彼女の兄だ。朝から訳の分からない妄想をする自分に苦笑する。
時刻を確認すると、七時を過ぎたところだった。
紅茶でも淹れるか。そう思いながら、ふとレイが寝ているソファに目を向けた。
「レイ」
呼びかけてみるが、彼女はまだ眠っているようだった。
静かに寝息を立てるレイをじっと見つめる。背中の下まで伸びた黒髪、目を閉じても分かるくっきりした二重、綺麗な小麦色の肌。
妹だけど──本当に似ていないよな。
俺は自分の両手を眺めた。少し日焼けた白い肌は、レイのものと並ぶと違いが一層分かってしまう。
彼女はどこの出身なんだろう。どんな親から生まれてきたんだろう。
一瞬だけ、そんなことを考えてしまった。だが、すぐにこんな疑問を打ち消す。
……なんてバカなことを。レイはレイだぞ。彼女の出生を知ったところでなんの意味も見出ださない。レイは俺たちの家族なんだ。生まれなんてどうでもいいし、関係ないだろ……。
愚かな自分に、俺は無意識のうちに深いため息を吐いた。
ベッドの横で顔を埋めていると──突然、俺の髪に細い指が触れた。
ハッとしてもう一度ベッドに目を向ける。すると、レイが眠たそうな顔でこちらを見ていたんだ。
「ヒルス、おはよ」
「……レイ。おはよう」
「どうしたの? まだ具合悪いの?」
「あっ、いや。違うよ。なんでもない」
項垂れていた俺を案じたのだろう、レイは柔らかい表情を浮かべながらも心配そうな口調だった。
不安にさせてはいけない。俺は満面の笑みで頷いた。
「レイのおかげで熱は下がったよ」
「本当? 元気になった?」
「ああ。ほらこの通り」
すっと立ち上がり、軽くストレッチをしてみせた。身体を伸ばし、腰を捻り、足を屈伸させる。
「今日はスタジオへ行けそうだ。レイ、ありがとうな」
「よかった。もう、大丈夫だね」
レイの声は、安心したように明るいトーンに変わった。
嬉しそうな彼女を前にすると、俺の胸はなぜだか熱くなる。せっかく熱が下がったばかりなのに、ぶり返してしまいそうだ……。
背中を向けてわざと咳払いをする。
「朝食は俺が用意するよ」
「えっ、いいの?」
「昨日のリゾット、最高に旨かったからな。そのお返しだ」
レイはソファから起き上がり、ニコニコしながら俺の前に立つんだ。
「それじゃあお願いしまーす!」
声を弾ませて目を輝かせるレイ。俺はまたもや胸がドキッとしてしまう。
ちょっと待て。なんなんだ、これは……。彼女の言動がいちいち可愛すぎて、構ってられない。最近の俺はどうしてしまったんだ?
「ねえ、ヒルス」
「うん?」
「もうひとつお願いがあるの!」
「お願い? なんだ、言ってみろ」
「今度のお休みに、どこかへ連れていってほしいな」
「どこかって?」
「それは、お休みの日に言うね!」
楽しそうに話すレイだったが、ほんの束の間、切なそうな顔になったのは俺の気のせいだろうか。
しかし深く問いかけたりしない。レイが行きたいところがあるなら、どこへでも連れていってやる。
「分かった。昨日の礼だ。次の休みは空けておくよ」
「やった!」
レイはすぐさま満面の笑みに戻るんだ。
朝から逐一、癒される……。
胸がキュッとしたまま共用キッチンへ赴き、いそいそと調理を始めた。トーストを焼きながら卵とベーコンをフライパンで熱する。豆のサラダなんかも作ったりして、鼻歌交じりで料理を進めた。
朝食が出来上がると、二人分のプレートを部屋へ運ぶ。二人で向かい合って座り、彼女と一緒に朝のひとときを噛み締める。なにげないこの時間が、俺の心に安らぎを与えてくれた。
「この後仕事に行くけど、夕方には終わるんだ。帰ったら実家まで送ろうか」
「いいの?」
「ああ。それくらい全然」
「分かった! それじゃあ待ってるね」
──癒しのひとときは、ここで一旦終わりを告げる。
その後レイに見送られながら、俺は一人ダンススタジオへ向かった。
フラットを出ると、冷たい風が俺の体温を一気に奪っていった。相変わらず肌が痛くなるほどの寒さだ。
まだ熱は下がったばかりで変に脱力感がある。しかも病欠の後の出勤日は妙に緊張してしまう。特にフレアとジャスティン先生には迷惑をかけたからな……。
スタジオに到着し、重い足取りで中へ入る。更衣室で着替えをしていると、スタジオの仲間たちがやって来た。
「よう、ヒルス」
「もう良くなったか?」
「体調不良なんて珍しいから心配したぞ」
「無理すんなよ」
「ああ。心配かけて悪かったな。もう平気だ」
仲間たちの思いやりのある声かけに、俺の気持ちは少しばかり軽くなった。今日は昨日休んだ分、いつも以上に気合いを入れていかないとな。
深呼吸をし、準備ができたので練習場へいざ足を向ける。
ドアを開けて最初に目についたのは──フレアの後ろ姿だった。鏡に向かって黙々とストレッチをしている。鏡越しでふと目が合ってしまい、思わず逸らしたくなってしまった。が、ここはしっかりと話をしなければ。
さりげなく隣に並び、俺も全身を伸ばし始める。
「おはよう、フレア」
「ええ。おはよう」
俺の顔を見ることもなく、彼女は無表情だ。
「……なあ。今日の帰り、少し時間あるか」
「なんで?」
「昨日、代理でレッスンの指導に入ってくれただろ? 見舞いにも来てくれたし、礼がしたいと思って」
「いらないわよ。迷惑だったでしょ?」
「いや、そんなことはない……」
どこか冷たい態度を取るフレアに、切なくなってしまう。微妙な空気が流れる中、ジャスティン先生がスタジオへやって来た。
先生にも迷惑をかけてしまったことを謝罪しなくてはならない。本当は変な空気のままにしたくなかったが、俺はそこですっと立ち上がる。
「ジャスティン先生、おはようございます」
「ヒルスおはよう! すっかり元気になったみたいだね」
「はい、お陰様で。昨日は、突発に休んでしまい申し訳ありませんでした」
「いいんだよ。今日からまたよろしくね! ただし、病み上がりだと思うからまだ無理はしないで」
「ありがとうございます」
どこまでも優しい先生の言葉に、あたたかい気持ちになる。
──その日、俺は生徒たちに指導をしている間に身体の調子もどんどん戻ってきて、レッスンが終わる頃には朝の妙な脱力感は消え失せていた。この身体は、動かしてこそ活きるらしい。
絶好調の一日だった。
翌朝。
目を覚ますと、だいぶ怠さがなくなっていた。身体が軽くてすっきりしている。唸るようなあの全身の熱さもない。
こんなにも早く体調が良くなったのは、全部レイのお陰だ。
昨日、要領よく身の回りの世話をしてくれた彼女の姿を思い出した。
本当にレイは気配りができる子だな……。俺が何も言わなくても着替えや飲み物を用意してくれた。手作りのリゾットも、ちょうどいい濃厚さで本当に旨かった。
彼女はきっといい奥さんになるんだろう。将来、結婚する奴が羨ましい……。
いつかレイが大人になって好きな相手でもできたら、きっと今みたいに俺と頻繁に会ってくれることはなくなるんだろう。
ふと、そんなことを考えてしまった。
(待てよ、羨ましいってなんだ?)
俺は義理でも彼女の兄だ。朝から訳の分からない妄想をする自分に苦笑する。
時刻を確認すると、七時を過ぎたところだった。
紅茶でも淹れるか。そう思いながら、ふとレイが寝ているソファに目を向けた。
「レイ」
呼びかけてみるが、彼女はまだ眠っているようだった。
静かに寝息を立てるレイをじっと見つめる。背中の下まで伸びた黒髪、目を閉じても分かるくっきりした二重、綺麗な小麦色の肌。
妹だけど──本当に似ていないよな。
俺は自分の両手を眺めた。少し日焼けた白い肌は、レイのものと並ぶと違いが一層分かってしまう。
彼女はどこの出身なんだろう。どんな親から生まれてきたんだろう。
一瞬だけ、そんなことを考えてしまった。だが、すぐにこんな疑問を打ち消す。
……なんてバカなことを。レイはレイだぞ。彼女の出生を知ったところでなんの意味も見出ださない。レイは俺たちの家族なんだ。生まれなんてどうでもいいし、関係ないだろ……。
愚かな自分に、俺は無意識のうちに深いため息を吐いた。
ベッドの横で顔を埋めていると──突然、俺の髪に細い指が触れた。
ハッとしてもう一度ベッドに目を向ける。すると、レイが眠たそうな顔でこちらを見ていたんだ。
「ヒルス、おはよ」
「……レイ。おはよう」
「どうしたの? まだ具合悪いの?」
「あっ、いや。違うよ。なんでもない」
項垂れていた俺を案じたのだろう、レイは柔らかい表情を浮かべながらも心配そうな口調だった。
不安にさせてはいけない。俺は満面の笑みで頷いた。
「レイのおかげで熱は下がったよ」
「本当? 元気になった?」
「ああ。ほらこの通り」
すっと立ち上がり、軽くストレッチをしてみせた。身体を伸ばし、腰を捻り、足を屈伸させる。
「今日はスタジオへ行けそうだ。レイ、ありがとうな」
「よかった。もう、大丈夫だね」
レイの声は、安心したように明るいトーンに変わった。
嬉しそうな彼女を前にすると、俺の胸はなぜだか熱くなる。せっかく熱が下がったばかりなのに、ぶり返してしまいそうだ……。
背中を向けてわざと咳払いをする。
「朝食は俺が用意するよ」
「えっ、いいの?」
「昨日のリゾット、最高に旨かったからな。そのお返しだ」
レイはソファから起き上がり、ニコニコしながら俺の前に立つんだ。
「それじゃあお願いしまーす!」
声を弾ませて目を輝かせるレイ。俺はまたもや胸がドキッとしてしまう。
ちょっと待て。なんなんだ、これは……。彼女の言動がいちいち可愛すぎて、構ってられない。最近の俺はどうしてしまったんだ?
「ねえ、ヒルス」
「うん?」
「もうひとつお願いがあるの!」
「お願い? なんだ、言ってみろ」
「今度のお休みに、どこかへ連れていってほしいな」
「どこかって?」
「それは、お休みの日に言うね!」
楽しそうに話すレイだったが、ほんの束の間、切なそうな顔になったのは俺の気のせいだろうか。
しかし深く問いかけたりしない。レイが行きたいところがあるなら、どこへでも連れていってやる。
「分かった。昨日の礼だ。次の休みは空けておくよ」
「やった!」
レイはすぐさま満面の笑みに戻るんだ。
朝から逐一、癒される……。
胸がキュッとしたまま共用キッチンへ赴き、いそいそと調理を始めた。トーストを焼きながら卵とベーコンをフライパンで熱する。豆のサラダなんかも作ったりして、鼻歌交じりで料理を進めた。
朝食が出来上がると、二人分のプレートを部屋へ運ぶ。二人で向かい合って座り、彼女と一緒に朝のひとときを噛み締める。なにげないこの時間が、俺の心に安らぎを与えてくれた。
「この後仕事に行くけど、夕方には終わるんだ。帰ったら実家まで送ろうか」
「いいの?」
「ああ。それくらい全然」
「分かった! それじゃあ待ってるね」
──癒しのひとときは、ここで一旦終わりを告げる。
その後レイに見送られながら、俺は一人ダンススタジオへ向かった。
フラットを出ると、冷たい風が俺の体温を一気に奪っていった。相変わらず肌が痛くなるほどの寒さだ。
まだ熱は下がったばかりで変に脱力感がある。しかも病欠の後の出勤日は妙に緊張してしまう。特にフレアとジャスティン先生には迷惑をかけたからな……。
スタジオに到着し、重い足取りで中へ入る。更衣室で着替えをしていると、スタジオの仲間たちがやって来た。
「よう、ヒルス」
「もう良くなったか?」
「体調不良なんて珍しいから心配したぞ」
「無理すんなよ」
「ああ。心配かけて悪かったな。もう平気だ」
仲間たちの思いやりのある声かけに、俺の気持ちは少しばかり軽くなった。今日は昨日休んだ分、いつも以上に気合いを入れていかないとな。
深呼吸をし、準備ができたので練習場へいざ足を向ける。
ドアを開けて最初に目についたのは──フレアの後ろ姿だった。鏡に向かって黙々とストレッチをしている。鏡越しでふと目が合ってしまい、思わず逸らしたくなってしまった。が、ここはしっかりと話をしなければ。
さりげなく隣に並び、俺も全身を伸ばし始める。
「おはよう、フレア」
「ええ。おはよう」
俺の顔を見ることもなく、彼女は無表情だ。
「……なあ。今日の帰り、少し時間あるか」
「なんで?」
「昨日、代理でレッスンの指導に入ってくれただろ? 見舞いにも来てくれたし、礼がしたいと思って」
「いらないわよ。迷惑だったでしょ?」
「いや、そんなことはない……」
どこか冷たい態度を取るフレアに、切なくなってしまう。微妙な空気が流れる中、ジャスティン先生がスタジオへやって来た。
先生にも迷惑をかけてしまったことを謝罪しなくてはならない。本当は変な空気のままにしたくなかったが、俺はそこですっと立ち上がる。
「ジャスティン先生、おはようございます」
「ヒルスおはよう! すっかり元気になったみたいだね」
「はい、お陰様で。昨日は、突発に休んでしまい申し訳ありませんでした」
「いいんだよ。今日からまたよろしくね! ただし、病み上がりだと思うからまだ無理はしないで」
「ありがとうございます」
どこまでも優しい先生の言葉に、あたたかい気持ちになる。
──その日、俺は生徒たちに指導をしている間に身体の調子もどんどん戻ってきて、レッスンが終わる頃には朝の妙な脱力感は消え失せていた。この身体は、動かしてこそ活きるらしい。
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