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心も身体も
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「優……」
俺は、自分に覆い被さる男を見つめながら、ふと問うてみる。
「……今からお前が抱こうとしてる男は、死人だぞ?……肌を……お互いの温もりを知ってしまったら……きっと、戻れなくなる。お前は、それでもいいのか?」
ーー死人である俺に囚われても本当に良いのか?
そんな気持ちを込め、優を見つめたままそう問いかけてみる俺。
と、俺の言葉に優は深くーーしかし、大きく頷いた。
「ああ、構わないよ。誰より愛しいあなたに囚われるなら、本望だ」
優は短くそれだけ告げると、そっと唇を重ねてくる。
甘く優しく……ほんの少しだけ切ない優との接吻。
やがて、ゆっくりと唇を離すとーー優は少し怒った様な眼差しを俺に向けて来た。
「さっき……あなたがあの男に襲われそうになった時、本当に苦しかった。正直、殺してしまいたいと思ったよ。私の大切なあなたを、あいつは汚そうとしたんだ。とても、許せなかった」
とても苦しそうに、絞り出す様にしてそう語る優。
彼はどうやら、下手人だけではなく、俺を守れなかった(と思っている)自分自身に腹を立てているらしい。
俺の手を拘束している優の手にも、少しだけ力が入り、握り込む力が強くなった。
(優……)
ここまで自分のことを思ってくれているなんてーー。
不謹慎だが、正直嬉しい。
それに、あの男に言ったーー「優でなければ嫌だ」という台詞は、紛れもない俺の本音、真実だ。
俺はいつの間にか、この目の前にいる男のことを……こんなにも、心から好いていたのである。
俺は、自分に覆い被さる男を見つめながら、ふと問うてみる。
「……今からお前が抱こうとしてる男は、死人だぞ?……肌を……お互いの温もりを知ってしまったら……きっと、戻れなくなる。お前は、それでもいいのか?」
ーー死人である俺に囚われても本当に良いのか?
そんな気持ちを込め、優を見つめたままそう問いかけてみる俺。
と、俺の言葉に優は深くーーしかし、大きく頷いた。
「ああ、構わないよ。誰より愛しいあなたに囚われるなら、本望だ」
優は短くそれだけ告げると、そっと唇を重ねてくる。
甘く優しく……ほんの少しだけ切ない優との接吻。
やがて、ゆっくりと唇を離すとーー優は少し怒った様な眼差しを俺に向けて来た。
「さっき……あなたがあの男に襲われそうになった時、本当に苦しかった。正直、殺してしまいたいと思ったよ。私の大切なあなたを、あいつは汚そうとしたんだ。とても、許せなかった」
とても苦しそうに、絞り出す様にしてそう語る優。
彼はどうやら、下手人だけではなく、俺を守れなかった(と思っている)自分自身に腹を立てているらしい。
俺の手を拘束している優の手にも、少しだけ力が入り、握り込む力が強くなった。
(優……)
ここまで自分のことを思ってくれているなんてーー。
不謹慎だが、正直嬉しい。
それに、あの男に言ったーー「優でなければ嫌だ」という台詞は、紛れもない俺の本音、真実だ。
俺はいつの間にか、この目の前にいる男のことを……こんなにも、心から好いていたのである。
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