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求婚

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「優……」

すると、優が不意に体を離すや、取り戻したばかりのゆびわとやらを箱から取り出してくる。

(何かするつもりなんだ……?)

俺が傾げながら見つめていると、優はそれをーーそのまま、俺の左手の薬指に嵌めてきた。

「っ……?!」

突然のことに驚き、言葉を失くす俺。

と、そんな俺に再度柔らかく微笑んで見せる優。

彼はその表情のまま、そっと指輪を嵌めた方の俺の手を取るとこう言った。

「驚いた?この時代にはね、愛する人に指輪を贈る習慣があるんだよ」

それは知らなかった。

がーー。

「あるんだよ、ってお前!これ、大事な物なんだろう?!確か、両親の形見だったよな?」

俺は慌ててそう告げると、ゆびわとやらを薬指から外そうとする。

しかし、そんな俺をやんわりと制止してくる優。

彼は、俺の手を優しく……包み込む様に握ると、静かにこう話しかけてきた。

「いいんだよ、土方さん。これでいいんだ。この指輪はね?前に両親から、こう言われていたんだ。私に……もし、一生をかけてでも守りたい大切な人が出来たら、その人に贈る様に、と」

「一生をかけてでも守りたい、大切な人……?」

ーーん?ってことは、それって俺ってことなのか?

そう思い至った俺に、優が満面の笑みで大きく頷いてきた。
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