65 / 94
伸るか反るか⑧
しおりを挟む
と、俺が見ている目の前で、優が箱の中に突っ込んでいた手をそっと引き抜く。
見ると、彼の手にはーー細長い物体が握られていた。
上品な絹の様な布で包まれた、細長い物体。
優はそれを箱から完全に取り出すと、先端部分の布をそっと外してみる。
すると、そこから現れたのはーー使い込まれた、古めかしい刀の鞘だった。
(俺は……あの鞘に見覚えがある……!)
そう、あれはーーいつも、俺の尊敬する人の腰で彼の生き方と共に光を放っていた、あの刀だ。
(間違いない、これは虎徹だ……)
そう確信した俺は、優に大きく頷いてみせる。
と、優も俺の意図を理解してくれたのだろう。
彼もまた、俺に頷き返すと、虎徹を手に撤退の準備を始める。
しかしーー。
カチリ。
金属が擦れ合う様な嫌な音がする。
同時に、ゴリッと何か固いものが俺の後頭部に押し付けられた。
(しまったーー!)
そう思った時には、もう遅い。
「この男の頭を吹き飛ばされたくなかったら、その刀も……持ち出そうとしている物全てを床に置きなさい」
俺の直ぐ後ろから、由理恵の冷徹と思えるほど冷たい声が部屋の中に響き渡った。
見ると、彼の手にはーー細長い物体が握られていた。
上品な絹の様な布で包まれた、細長い物体。
優はそれを箱から完全に取り出すと、先端部分の布をそっと外してみる。
すると、そこから現れたのはーー使い込まれた、古めかしい刀の鞘だった。
(俺は……あの鞘に見覚えがある……!)
そう、あれはーーいつも、俺の尊敬する人の腰で彼の生き方と共に光を放っていた、あの刀だ。
(間違いない、これは虎徹だ……)
そう確信した俺は、優に大きく頷いてみせる。
と、優も俺の意図を理解してくれたのだろう。
彼もまた、俺に頷き返すと、虎徹を手に撤退の準備を始める。
しかしーー。
カチリ。
金属が擦れ合う様な嫌な音がする。
同時に、ゴリッと何か固いものが俺の後頭部に押し付けられた。
(しまったーー!)
そう思った時には、もう遅い。
「この男の頭を吹き飛ばされたくなかったら、その刀も……持ち出そうとしている物全てを床に置きなさい」
俺の直ぐ後ろから、由理恵の冷徹と思えるほど冷たい声が部屋の中に響き渡った。
10
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる