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伸るか反るか⑧

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と、俺が見ている目の前で、優が箱の中に突っ込んでいた手をそっと引き抜く。

見ると、彼の手にはーー細長い物体が握られていた。

上品な絹の様な布で包まれた、細長い物体。

優はそれを箱から完全に取り出すと、先端部分の布をそっと外してみる。

すると、そこから現れたのはーー使い込まれた、古めかしい刀の鞘だった。

(俺は……あの鞘に見覚えがある……!)

そう、あれはーーいつも、俺の尊敬する人の腰で彼の生き方と共に光を放っていた、あの刀だ。

(間違いない、これは虎徹こてつだ……)

そう確信した俺は、優に大きく頷いてみせる。

と、優も俺の意図を理解してくれたのだろう。

彼もまた、俺に頷き返すと、虎徹を手に撤退の準備を始める。

しかしーー。

カチリ。

金属が擦れ合う様な嫌な音がする。

同時に、ゴリッと何か固いものが俺の後頭部に押し付けられた。

(しまったーー!)

そう思った時には、もう遅い。

「この男の頭を吹き飛ばされたくなかったら、その刀も……持ち出そうとしている物全てを床に置きなさい」

俺の直ぐ後ろから、由理恵の冷徹と思えるほど冷たい声が部屋の中に響き渡った。
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