土方さんちの美味しいご飯〜鬼の副長はワンコ系イケメンの溺愛で甘くほだされる〜

天咲 琴葉

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伸るか反るか⑤

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俺の言葉に、やや不貞腐れた様な表情を見せる優。

しかし、彼は直ぐに表情を真剣なものに戻すと、小さく頷いてみせた。

「成る程ね。確かに、土方さんの言い分は最もだ。彼女なら……私への嫌がらせも込めて、そういうことをするだろう」

優の言葉に、大きく頷いて見せる俺。

「だろ?だからさ……敢えて、お前の誕生日で回してみないか?」

俺はそういうと、優の答えを待つ様に視線を送る。

俺の視線に応える様に、大きく首を縦にふる優。

「……分かった。もう一度、あの部屋に行ってみよう」

彼はそう言うと、静かにきびすを返した。

俺も、足音を立てない様にして優の後についていく。

そうして、俺達は再度、由理恵達の寝室に侵入した。

先に扉を開け、念入りに周囲を見回す優。

どうやら、まだ由理恵達は眠っているらしい。

それを確認した優が先頭で中に入りながら、後に続く俺に手で合図を出してくる。

その合図に頷くと、そっと部屋に入っていく俺。

俺達は無言で部屋の端ーーべっどの側まで進むと、そこでそっと身を屈めた。

視線の先にはーーあの黒い箱がある。

互いに頷き合う俺と優。

優はそのままそっと数字の刻まれた取っ手に手を伸ばし、それを回し始めた。

(どうか……どうか、予想が当たっていてくれ……)

取っ手を回す優を、俺は固唾を飲んで見守る。
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