土方さんちの美味しいご飯〜鬼の副長はワンコ系イケメンの溺愛で甘くほだされる〜

大切なものを探して③

（それがまだねぇってことは、きっとあいつらは優の指輪や刀をまだ売っちゃいねぇはずだ）

俺はそうあたりをつけると、俯きそうになっている優を励ます。

そうして、図面を見ながら次はどの部屋に侵入するか――思考を巡らせた。

（宝飾品が置いてある衣装部屋にもないし、貴重品が沢山ある書斎にも無かった。厠や浴室には元よりおかねぇだろうし……。となると、他に隠してそうなのは客間や本人達の寝室位か）

だが、客間に高価な品を隠すのはかなり危険だ。

客が盗むとも限らないし、何より由理恵とやらの性格上――大切なものは自分の目が届くところに置いておきたがるだろう。

なんせ、優が取り戻したがっているのだから。

となれば、他に隠している可能性があるのは……彼らの寝室という線が一番濃厚だ。

（だが……寝室ってことは本人達がいるってことなんだよな）

侵入する数時間前から近くの店などでこの屋敷を見張っていたが、由理恵とそのツレの男は夜に帰宅して以降、この家から出ていった様子がない。

そうして、寝室には先程まで明かりがついていた。

つまり、由理恵達は寝室にいる可能性が一番高いということだ。

また、寝室のどこに隠してあるかわからない以上――どんなに頑張っても音が出てしまう可能性は高い。

つまるところ、由理恵達を起こし、そのまま戦いになってしまう確率がとても高いという訳だ。